エコノミークラス症候群

■エコノミークラス症候群とは?

旅行者血栓症やロングフライト血栓症とも呼ばれ、飛行機だけ
ではなく、バスや電車、乗用車等でも起こることがあります。
医学的には、深部静脈血栓症、肺塞栓症と呼ばれています。

原因
長時間(6~8時間以上)乾燥した狭い空間で同じ姿勢を続けて
いると、静脈に血液の塊り(血栓)が出来やすくなります。
特に座位の姿勢を長時間続けると、下肢の静脈に血栓が出来や
すくなります。

下肢の筋肉は血液を心臓に返す大切なポンプの役割を果たして
いる為、筋肉を動かさないと血液が滞ることになります。
流れが悪くなると血液の塊り(血栓)が出来やすくなります。
又、乾燥していると体内の水分も失われていきます。
水分が不足すると血液の濃度が濃くなる為、さらに血栓が出来
やすくなります。
特に飛行機の中は乾燥している為注意が必要です。

症状
初期の段階では、ふくらはぎの不快感や、腫れ、鈍い痛みを
伴うことがあります。
血栓がふくらはぎの静脈から徐々に大腿(太もも)さらに骨盤
の静脈に延びていくと、痛みやむくみの症状も強くなります。

※両方の下肢に症状が出ることは稀で、多くは片方に出ること
が多いようです。
※片足の膝の裏辺りが腫れて痛いのが特徴。

●下肢の上記症状がなくても、下記の症状があれば
肺塞栓症の可能性はありますので注意が必要です。
血管の壁にくっ付いていた血栓が剥がれ落ちると大静脈を
通って心臓に入り、その後肺へと運ばれます。
この時に肺の血管が詰まって肺塞栓を起こします。
肺塞栓を起こすと、胸の痛みと呼吸困難の症状が出ます。
呼吸困難になると、意識を失ったり、ショック症状を呈する
可能性が高くなります。ひどい場合は、死亡することも
あります。

血管壁の血栓がいつ剥がれるかはわからないため、症状が出る
のは、数日後の場合もあるようです。

座っているときは平気でも、立ったり歩いた瞬間に症状が出る
場合もあるようです。

●歩行時の息切れ、胸の痛み、片側の足のむくみや痛みなどが
ある場合は早めの診察が必要です。


■エコノミークラス症候群になりやすい人

中高年(50歳以上の人)、肥満、大きな手術を受けた人、
骨折直後の人、 妊娠中の人、
血栓の出来やすい病気を持っている方(糖尿病や高血圧、癌など)、
ホルモン剤(経口ピル等)を服用されている人等。

※環境が悪ければ若い健康な人にも起こります。

■予防は?

下肢の筋肉を動かすことと、
水分補給がとても大切になります。

下肢の運動は?
歩ける空間がある場合は歩行。
下肢の屈伸運動。
座位のままの場合は、足首を回したり、上下に動かす。
足を組むのは血行を悪くするので避ける。

下肢だけではなく、上肢や首の運動、腹式呼吸などで、
体全体の筋肉を動かし循環を良くする。

水分補給は?
ミネラルウォターやジュースなどの水分補給をする。

*アルコール類やコーヒー、紅茶、濃いお茶等、利尿作用が
ある飲み物は避ける。




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◇参考文献
インターネット
日本旅行医学会HP内
ロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)
http://jstm.gr.jp/lft_01.html
厚生労働省HP内
深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)について PDF
www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-
10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000121801.pdf

書籍
「最新・医学大辞典」
「家庭医学大百科」





開設日:2008/?
最終更新日 : 2010/4/16
リニューアル: 2017/08/25