食中毒の原因には細菌やウィルスによるもの、自然毒、化学物質、寄生虫などがあります。
このうちで細菌やウィルスによるものが大部分を占めるようです。
細菌
腸炎ビブリオ、ブドウ球菌、サルモネラ菌、カンピロバクター、大腸菌(腸管出血性大腸菌など)
ウェルシュ菌、ボツリヌス菌 など
ウィルス
ノロウィルス、ロタウィルス、アデノウィルス、A型肝炎ウィルス など
自然毒(動物性自然毒、植物性自然毒)
フグ、キンシバイ、二枚貝 など
キノコ、ジャガイモ、アジサイ、ジキタリス、スイセン、トリカブト類、ユウガオ など
科学物質
洗剤の混入など
その他
寄生虫など
このページではウィルスによる主な食中毒について下記の項目ごとに簡単にまとめてみました。
特徴 存在している場所 感染経路 発生しやすい時期
潜伏期 主な症状 経過・予後 治療 予防
ウィルスによる食中毒
ノ ロ ウ ィ ル ス
ノ ロ ウ ィ ル ス
特 徴
・患者数では最も多い食中毒
・熱に弱い
・原因食品が判明しない場合が多い。
・寒い時期に発生しやすい
・ウィルスの数が少なくても感染し発病
・人から人へ感染(飛沫感染などの直接感染)
・症状がなくなっても(回復しても)、糞便中にウィルスが
1週間程度、長いときには1ヶ月程度、排泄が続く。
存在している場所
・河川や海水など
感 染 経 路
・食品や手指などを介して経口感染
・調理者からの二次感染も多い。
*サンドイッチやパンなど
*飲食店、旅館、仕出し屋、学校などでの集団発生が多い。
・人から人へ感染(飛沫感染などの直接感染)
*ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口などに入って感染することもある。
・原因食品の事例では、魚介類、仕出し弁当、ロールキャベツ、朝食バイキング など
*貝ではカキが多い それ以外にもウチムラサキ貝(大アサリ)、
シジミ、ハマグリ等
発生しやすい時期
・ピークは、12月から翌年の1月
・1年を通して発生
・11月ごろから3月ごろまでが多い。
潜 伏 期
1日から2日
主 な 症 状
・嘔気、嘔吐、下痢、腹痛が主症状
・発熱はあっても軽度
・その他の症状として、頭痛、筋肉痛、咽頭通、倦怠感など
・感染しても、症状が出ない人や軽い風邪症状の人も。
経 過 ・ 予 後
・予後は良好
・症状が1〜2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。
・感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。
☆高齢者や子供、抵抗力の衰えている人は症状が重くなる場合もあります。
治 療
・抗ウイルス剤はなく、通常、脱水症状がひどい場合に
輸液を行うなどの対症療法が行われます。
※注意
・乳幼児や高齢者で抵抗力の低下している方は重症化しやすい。
・脱水に注意(酷い場合は点滴)
脱水症状
ノドが乾く
唇が乾燥している
頭痛、吐き気、めまい、皮膚の乾燥、体温上昇、倦怠感、目がくぼむ、
尿が少ないなど
予 防
・加熱
表面を洗うだけではウイルスの多くは除去できません。
食品の中心温度85℃以上で1分間以上の加熱を行えば、
感染性はなくなるとされています
・ *現時点においてこのウイルスを培養細胞で増やす手法が
確立していないため、正確な数値はないようです。
・手洗いの徹底。
・調理台や調理器具は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、
次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で浸すように拭くことでウイルスを失活化できる。
・まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等は、熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効。
・感染者のふん便や吐ぶつを処理する際に注意する。
・使い捨てのマスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、
ふん便、吐ぶつをペーパータオル等で静かに拭き取ります。
・ふん便や吐ぶつが付着した床等は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)で
浸すように拭き取ります。
・拭き取りに使用したペーパータオル等は、
次亜塩素酸ナトリウムを希釈したもの(塩素濃度約1000ppm)に5〜10分間つけた後、処分します。
※11月頃から1月の間に、乳幼児の間でノロウイルスによる
急性胃腸炎が流行します。この時期の乳幼児の下痢便および
吐ぶつには、ノロウイルスが大量に含まれていることがあり
ますので、おむつ等の取扱いには十分注意しましょう。
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※参考文献(インターネット)
厚生労働省HP内
●『高齢者介護施設における感染対策マニュアル』について
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/index.html
厚生労働省HP内
(正しく知ろう食の安全)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/kodomo/dl/02.pdf
(ノロウイルスに関するQ&A)
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
(ノロウイルス食中毒対策について(提言)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/10/dl/s1012-5a.pdf
国立感染症研究所感染症情報センターHP内
感染症の話(ノロウィルス感染症)
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_11/k04_11.html
食品安全委員会HP内
(ノロウィルスによる食中毒について)
http://www.fsc.go.jp/sonota/norovirus.pdf
農林水産省HP内
(ノロウィルス)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/norovirus.html
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特 徴
存在している場所
感 染 経 路
発生しやすい時期
潜 伏 期
主 な 症 状
経 過 ・ 予 後
治 療
予 防
細菌による主な食中毒は こちらです。 ⇒ 「細菌性の食中毒」
次回掲載予定項目
自然毒(植物性と動物性)
化学物質
その他(寄生虫など)
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参考文献
インターネット
厚生労働省
国立感染症研究所感染情報センター
国立感染症研究所
食品安全委員会
農林水産省
日本中毒情報センター
ウィキペディア
参考書籍
「よくわかる微生物」医学芸術社
「ナースのための感染症対策マニュアル」文化放送ブレーン
「医学大辞典」医師薬出版株式会社
開設日: 2008/7
更新日: 2010/07/13
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