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◇渡航する前の確認
◇各国の注意すべき感染症
◇主な予防接種の説明
◇主な感染症の説明
A型肝炎 日本脳炎 破 傷 風
ポ リ オ 黄 熱 ジフテリア
麻 疹 狂 犬 病 B型肝炎
A型肝炎
※海外だけではなく国内でも感染の可能性はあります。
病原体 = A型肝炎ウィルス
潜伏期 = 14日〜21日
感染経路 = 主に経口感染 性行為感染の報告もあり。
生水、生野菜、生の魚介類、氷などが感染源
糞便中にウィルスが排泄されるため注意が必要。
主な症状 = 多くは発熱を伴って発症。
倦怠感、食欲不振、腹痛、下痢など風邪の症状と
似ていますが、違う点は倦怠感が強いこと。
その後、黄疸。
※年齢が低いほど感染しても症状が出ない割合が高い。
予後 = 経過は良好。
1〜2ヶ月で治癒。
稀に劇症肝炎に移行することもある。
※年齢が高いほど重症度が高い。
予防 =
予防接種
A型肝炎ワクチンの接種
※日本では1995年から16歳以上にワクチン接種が可能になりました。
国内の医療機関でも予防接種が出来るようになりました。
その他の対策
流行地域での感染源となる飲食を避ける。
十分に加熱された物を口にする。
手指の清潔。
☆予防接種の詳細 ⇒ A 型 肝 炎 ワ ク チ ン
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日本脳炎
※海外だけではなく国内でも感染の可能性はあります。
病原体 = 日本脳炎ウィルス
潜伏期 = 6〜16日
※感染しても発病するのは、100〜1000人に一人
感染経路 = 蚊が媒介 ブタ→蚊→人
※人から人への感染は無い
主な症状 = 突然の発熱(高い熱)、頭痛、悪心、嘔吐、眩暈など
項部硬直、光線過敏、意識障害、病的反射、麻痺(上肢に多い)など
痙攣は小児に多い。
予後 = 死亡率は、20〜40%
後遺症(麻痺、痙攣、精神障害など)は、生存者の45〜70%
完全治癒は約1/3
※子供や高齢者は死亡率が高い。
予防 =
予防接種
日本脳炎ワクチンの追加接種
その他
・蚊に刺されないようにする。
蚊の多い水田地域やブタを飼っていいる地域では特に注意する。
肌の露出を避ける。
虫除けスプレーなどの使用 など
☆予防接種の詳細 ⇒ 日 本 脳 炎 ワ ク チ ン
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破 傷 風
※海外だけではなく国内でも感染の可能性はあります。
病原体 = 破傷風菌が出す神経毒素
潜伏期 = 通常は3〜21日
※潜伏期間が短いほど致命率は高い
感染経路 = 土壌の中に存在し、主に傷口から侵入
※人から人への感染はない。
※嫌気性菌(空気を嫌がる)なので、空気に触れない土の中に存在。
主な症状 = 特徴的な症状は筋肉のこわばり。
初期(第一期)では、顎や首筋の筋肉が張り、口が開きにくくなる。
嚥下障害や寝汗や歯ぎしりなどがみられる。
次いで(第二期)開口障害が強くなり、破傷風顔貌(ひきつり笑い)
が見られる。
さらに進行(第三期)すると、全身の弓なり緊張(後弓反張)が見られる。
軽快(第四期)に向かう場合は、全身の痙攣は消失。諸症状は徐々に良くなる。
予後 = 致死率 20〜50%
症状が発症して全身痙攣に進行するまでの期間が
短い(48時間以内)程予後が悪い。
※新生児破傷風は国内では1996年から報告がない。
予防 = 予防接種
破傷風トキソイドワクチン
その他
怪我をしないように注意する。
怪我をした場合は傷口を清潔な水できれいに洗い流し、消毒する。
破傷風菌は空気を嫌がるので、傷口はなるべく塞がないようにして、
医師に診てもらう。
不衛生な医療機関は避ける。
不衛生な施設などの利用は避ける。
治療 = 破傷風免疫ヒトグロブリンの血清療法
☆予防接種の詳細 ⇒ 破 傷 風トキソイド ワクチン
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ポリオ(急性灰白髄炎)
※国内では2000年10月にポリオ根絶宣言がなされました。
1981年以降、野生型ポリオウィルスによる発症はみられていない。
病原体 = ポリオウィルス
潜伏期 = 6〜20日
感染経路 = 経口感染 時に飛沫感染することも。
※咽頭粘膜や腸管粘膜に感染することから、
糞便、唾液、咽頭分泌物などが感染源
主な症状 = 症状が出ない場合が多い。
※感染者の90〜95%は症状が出ない(不顕性)
4〜8%が感冒様症状 1〜2%が無菌性髄膜炎
麻痺型が0.1〜2% 四肢の非対称性の弛緩性麻痺
下肢の麻痺が多い。
四肢の急性弛緩性麻痺が特徴。
以前は小児に多かったため小児麻痺とも呼ばれたいた。
予後 = 麻痺型以外は予後は良好。
麻痺型(全体の0.1〜2%)の場合の死亡率は、
小児では2〜5% 成人では15〜30%
予防 = 予防接種
ポリオワクチン
その他
手洗いの励行
☆予防接種の詳細 ⇒ ポ リ オ ワクチン
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黄 熱
※風土病の一つ 黒吐病とも呼ばれる。
風土病とは、ある一定の地域で流行を繰り返す病気
病原体 = 黄熱ウィルス
潜伏期 = 通常3〜6日
感染経路 = ウィルスを保有している蚊が媒介
※人から人への感染はない。
主な症状 = 初期症状は突然の発熱と頭痛で始まる。
感冒やインフルエンザ様の症状と似ている。
悪心、嘔吐、結膜充血、タンパク尿
重症の場合は、黄疸、出血(鼻出血、歯肉出血、下血、子宮出血など)
特徴としては、高熱にもかかわらず、徐脈
予後 = 死亡率は20〜50%
軽症であれば、1〜3日で回復。
予防 = 予防接種
黄熱ワクチンの接種
※1回の接種で10年間有効
★特定の国では入国時に接種証明書が必要
その他
・蚊に刺されないようにする。
肌の露出を避ける。
虫除けスプレーなどの使用 など
☆予防接種の詳細 ⇒ 黄 熱 ワ ク チ ン
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ジフテリア
※海外だけではなく国内でも感染の可能性はあります。
病原体 = ジフテリア毒素を出すジフテリア菌
潜伏期 = 通常2〜5日
感染経路 = 飛沫感染 人から人へ感染
主な症状 = 感染部位により、症状は異なる。
咽頭、扁桃ジフテリアの場合は、
初期は 発熱、咽頭痛、嚥下痛など
特徴としては、咽頭や扁桃周辺に白色から灰白色の偽膜を形成。
重症の場合は、気管や気管支などの粘膜にも膜を形成し、
呼吸困難や気道閉塞の危険がある。
予後 = 気道系のジフテリアの場合の死亡率は5〜10%
毒素が心臓や副腎、末梢神経系に達した場合は、
心不全や血圧低下で死に至ることも。
心筋炎の合併症を起こした場合は、最も予後が不良。
末梢神経系の場合は比較的予後は良好
予防 = 予防接種
日本では、三種混合ワクチン(DPT ジフテリア・百日咳・破傷風)
二種混合ワクチン(DT ジフテリア・破傷風)
その他
※牛や羊などの常在菌の中にジフテリアの類似疾患を
引き起こす病原体もある為注意が必要。
牛や羊などとの接触や生の乳製品の摂取などが感染源となり
類似の症状を呈する症例もあるようです。
☆予防接種の詳細 ⇒ ジフテリアトキソイド ワクチン
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麻 疹(はしか)
※海外だけではなく国内でも感染の可能性は充分あります。
病原体 = 麻疹ウィルス
潜伏期 = 10〜12日間
感染経路 = 人から人へ感染
飛沫感染、接触感染
主な症状 = 発熱と同時に、咳、鼻水、結膜炎など
上記の症状が出た3日前後に、さらに高い熱が出て、
同時に発疹が出現。
はしかの症状の特徴として、口の中の両頬の粘膜に
白い斑点(コプリック斑)が認められる。
予後 = 合併症がなければ、7〜10日後に回復
麻疹の二大死因は、肺炎と脳炎
死亡率は 0.1〜0.2%
予防 = 予防接種
麻しんワクチンの接種
その他
欧米などでは麻疹はほぼ撲滅された感染症なため、
渡航者が感染源になる危険もあります。
実際日本人の旅行者が広めた事例もあるようです。
予防接種の既往を確認することが大切になります。
☆予防接種の詳細 ⇒ 麻 疹 ワ ク チ ン
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狂 犬 病
☆日本では1957年以降国内での発生はない。
2006年にフィリピンで犬に咬まれ、帰国後発病し死亡した事例が2件
病原体 = 狂犬病ウィルス
☆人から人への感染は、角膜移植や臓器移植以外は報告されていない。
潜伏期 = 10日から数年 通常1〜3カ月
☆病原体が侵入した部位により、大きく差がある。
脳組織に近いほど潜伏期間は短い。
感染経路 = 感染した犬、猫、コウモリなどの哺乳類から感染。
唾液中にウィルスが排出される。
咬まれたり、傷口や目、口などを舐められたり
して病原体が侵入。
主な症状 = 初期は、発熱、頭痛、倦怠感、悪心、嘔吐、咽頭痛、空咳など
咬傷部位の疼痛とその周辺部位の感覚異常など。
症状が進むと、痙攣、嚥下困難、幻覚、大量のよだれ、
さらに進むと、昏睡、呼吸停止で死亡
特徴的な症状として、
音や光に敏感になる。
液体を飲むと喉の痛みや、筋肉が痙攣して
非常に苦しむことから
水を怖がるようになる、恐水症状(水を怖がる)や、
風を怖がる恐風症などが急性期には出現。
予後 = 発病するとほぼ100%の確率で死亡
予防 = 予防接種
狂犬病ワクチン
その他
むやみに動物に手を出さない。
動物に咬まれたら、すぐに傷口を清潔な水と石鹸などで
洗い流し、消毒薬があれば消毒して、出来るだけ早く医療機関に行く。
ウィルスに曝された危険があった場合は、
狂犬病と破傷風のワクチンを接種
☆予防接種の詳細 ⇒ 狂 犬 病 ワ ク チ ン
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B型肝炎
※海外だけではなく国内でも感染の可能性はあります。
病原体 = B型肝炎ウィルス
潜伏期 = 1〜6ヶ月
感染経路 = 非経口感染
血液が感染源(針刺し事故、性行為感染、母子感染など)
※抗体を持っている人は再感染しません。
主な症状 = 全身倦怠感、食欲不振、発熱(軽度)、黄疸 など
※症状が出ない場合も多い。
予後 = 経過は良好。自然治癒する可能性が高い疾患。約1カ月で回復。
持続感染(主に出生時又は乳幼児期に感染)の場合は、
10〜15%が慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん)
一過性の感染の場合は、70〜80%は症状が出ない不顕性感染。
残りの20〜30%が急性肝炎。そのうちの約2%が劇症肝炎。
予防 = 性行為に注意する。
※渡航者の場合は性行為に注意すれば感染を予防できる可能性が高い為、
日本の検疫所ではB型肝炎ワクチンの予防接種は実施していません。
☆予防接種の詳細 ⇒ B 型 肝 炎 ワクチン
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東京検疫所で実施している予防接種
A型肝炎、破傷風、日本脳炎、ポリオ、黄 熱、麻疹、狂犬病
※各都道府県の検疫所で異なります。
黄熱ワクチンは、検疫所と特定の医療機関だけ実施しています。
それ以外の予防接種は、医療機関でも接種出来ます。
※実施の有無や種類については、医療機関によって違いますので、
詳細は各医療機関にお尋ねください。
次回掲載予定項目
マラリア
エイズ
赤痢
寄生虫疾患
流行性髄膜炎
E型肝炎
コレラ
ペスト
チフス
デング熱
Q熱(リケッチア性感染症)
住血吸虫症
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参考文献
インターネット
厚生労働省検疫所
国立感染症研究所感染情報センター
国立感染症研究所
ウィキペディア
参考書籍
「よくわかる微生物」医学芸術社
「ナースのための感染症対策マニュアル」文化放送ブレーン
「医学大辞典」医師薬出版株式会社
開設日: 2010/06/16
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