第41回日精研春季講座
主催
日本精神遅滞教育研究会[旧 日本精薄教育研究会](日精研)
後援
文部省
静岡県教育委員会
全日本特殊教育研究連盟
日本知的障害者愛護協会
テーマ
今を積み上げて21世紀へIII−生きる力をはぐくむ
20世紀後半、知的障害のある人たちの生き方は、より主体的に、より多様にと、大きく変化してきているように思われます。その背景には、社会全般の価値観の変化やノーマライゼーションの考え方の普及、近年の法律・制度の改変などが挙げられます。一方、教育・福祉・労働・医療などの現場は、こうした変化に十分に対応できているでしょうか。利用者の主体的な選択を可能とするサービスの多様性、個別的対応、専門性、保護者や他機関との連携、人権養護など、大切さや必要性は分かっていてもなかなか実現できないことが多いのはなぜでしょうか。
日精研「春季講座・研究会」は、知的障害のある人たち(幼児から高齢者まで)の教育・福祉・労働・医療の関係者が集まり、実践の中で考えていること、工夫していること、これからの課題などを話し合い、学び合う場です。
今年度は、第1日の教育講座において日本特殊教育研究会 システム研究委員会の研究結果を踏まえて「21世紀の教育システム」を、福祉講座において個々の家族のニーズに応えうる「21世紀の家族支援」のシステムを考えます。
第2日の分科会では、「生きる力」とは何か、「生きる力」を育て、それを活用していくにはどのような支援が必要か、という点を実践報告をもとにして話し合います。
また、第3日の実技講座では、相互の意思伝達をスムーズにするためのコミュニケーションを補助する方法について、実技を交えて学びます。
例年、知的障害児・者の教育・福祉・労働等各分野の方々が集まり、ライフステージや専門分野を超えて、総合的かつ実践的に考える機会になっています。年度末の忙しい時期ではありますが、ぜひご参加ください。
日時
2000年3月27日(月曜日)〜3月29日(水曜日)
場所
静岡・伊東温泉 ホテルラヴィエ川良
日(曜日) | 時間 | 内容 |
---|---|---|
27日(月曜日) | 12時30分 | 受付開始 |
13時30分 | 開講式 教育講座 福祉講座 |
|
18時 | 自由時間 | |
19時 | 夕食 | |
28日(火曜日) | 9時30分 | 分科会 |
12時 | 昼食 | |
13時 | 分科会 | |
16時30分 | 総会 | |
18時 | 自由時間 | |
29日(水曜日) | 9時30分 | 実技講座 |
12時 | 閉講式 |
講座内容
開講式
会長の川田先生が開会の挨拶をされました。今年80歳になる先生ですが本当にお元気な姿を見せてくださいました。挨拶の中で川田先生は「生きる」という問題の重さと、指導を続ける大切さを訴えられました。
それにしても、Cocoワインがあのカリスマソムリエの田崎さんに認められ、マライヤ・キャリーに“日本のお土産”として贈られていたのは、びっくりです。
教育講座
「21世紀の教育システム」−システム研究委員会による研究結果をふまえて−
講師 藤島 岳(東洋大学)
藤島先生(東洋大学)が「21世紀の教育システム」というタイトルで講演されました。今の学校教育法が作られた当時と今の社会の変容(特に医療の発達・充実に伴って、養護学校に在籍する子どもたちが変化している点)に触れ、『養護学校のセンター化』を提言されました。
福祉講座
「21世紀の家族支援」
講師 根来正博(サービスセンター ぱる)
根来先生(サービスセンターぱる)が「21世紀の家族支援」をテーマに、以前勤められていた東久留米市での実践も踏まえ、講演されました。特にケアマネージメントについてのお話は、とても参考になりました。
分科会
共通テーマ『生きる力をはぐくむ』
それぞれのライフステージにおいて、「生きる力」としてどのようなことを教え、育てていくことが必要か、また、それらを育てていくために、どのような工夫や配慮が大切かを、事例報告を基にして話し合います。
第1分科会
「幼児期から児童期前半」
第2分科会
「児童期後半から青年期」
第3分科会
「青年期から成人期」
今年はちょっと参加者が少なかったのですが、その分中身の濃い討論が行われました。
実技講座
「電子機器やシンボルを使った知的障害児・自閉症児のコミュニケーション支援」
講師 坂井 聡 (香川大学教育学部附属養護学校)
参加者の皆さんも、ちょっと『お疲れモード』でしたが、香川大附属養護の坂井先生のバイタリティあふれる講義に、眠気も吹っ飛びました。VOCA(機能的にはいわゆるトーキングマシーンに近いものです。)を使ってコミュニケーションに関する支援についての取り組みをご紹介いただいたのですが、参加者もグループに分かれて実際にVOCAを使ってみました。ロールプレイングでは軽妙な“オチ”をつける人もいて、とても盛りあがった講座になりました。
作品展示・交換・即売
皆さんの日常の活動の様子が分かるものをお持ち下さい。活動風景などの写真、作品、教材、資料など、何でも結構です。
夕食(1日目)
今回は川田先生のご好意で、初日の夜からCocoワインが振舞われました。思わぬプレゼントに、参加者一同感激です。初めて会う人たちなのに、ワインを囲んで大いに盛り上がりました。
言いたい放題コーナー
全国からの参加者と共に、講師・助言者と膝を交えて気楽に、自由に話し合う場です。例年、日精研ならではのホットスポットになっています。
20時から始まった春季講座名物の「言いたい放題コーナー」。今年は明治学院大学の野口先生・金子先生、東京学芸大学の松矢先生など、“ビッグネーム”が揃ったこともあって、日付が変わっても話は尽きません。
日精研総会
平成11年度の決算・諸報告、そして平成12年度の予算・諸計画が議案に挙げられ、全て提案通りに採決されました。
川田会長からは、「もうそろそろ会長を交代させてくれ」と動議が出されましたが、全会一致で“否決”され、平成12年度も『川田昇会長』は健在です!
懇親会(2日目)
夕食を食べながら、部屋ごとに趣あふれる出し物が披露されました。二人羽織あり、『鬼のパンツ』あり、徳島の三人“娘”による鉄腕アトムあり。事務局の若手+本橋副会長もステージにあげされていただきました。川田会長の大サービスで提供された、1本1万円のCocoブランド最高級ワイン「マグナム・オーパス」に参加者全員大感激!!!大いに盛りあがった宴は、恒例の「静かな湖畔」の輪唱でしめられました。
夜も更けて午前2時。事務局本部の部屋では、まだまだ“熱い想い”が語られています。
閉講式
3日間頑張った参加者の皆さんに、川田会長からのねぎらいの挨拶がありました。
体力的にはかなり厳しかったことと思いますが、みなさん、それぞれに大きなお土産を持って帰途に着かれたようです。来年もまた伊東の地でお会いできることを楽しみにしています。
講師・助言者
- 根来正博(サービスセンター ぱる)
- 坂井 聡(香川大学教育学部附属養護学校)
- 吉田昌義(文部省特殊教育課)
- 松矢勝宏(東京学芸大学)
- 野口明子(明治学院大学)
- 金子 健(明治学院大学)
- 星野常夫(文教大学)
- 山本良典(東京都心身障害者福祉センター)
- 松為信雄(障害者職業総合センター)
- 川田 昇(こころみ学園)
- 本橋駒三郎(日精研副会長)
- 藤島 岳(東洋大学)
- 井村逸郎(東京福祉商経専門学校)
- 大見川正治(文京女子大学)
- 山田耕一郎(東京学芸大学附属養護学校)
- 梅田靖子
- 加藤正仁(うめだ・あけぼの学園)
- 河村好人(八王子養護学校)
- 小笠原まち子(東京学芸大学附属養護学校)
- 原 直志(王子第二養護学校)
- 松本千*(*=糸曽)(東京都心身障害者福祉センター)
- 清水正雄(東京都教育委員会)
会員 | 一般 | |
---|---|---|
合計 | 39,000円 | 41,000円 |
うち 宿泊費(2泊3日) | 28,000円 | 28,000円 |
研究会参加費 | 13,000円 | 11,000円 |
春季講座 第1〜9回 第10〜19回 第20〜29回 第30〜39回 第40回 第41回 第42回 第43回
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