ネタバレ激多!!!


第七話B『キネマ狂想曲』
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 9月27日(月)

  再来週に控えた体育祭が終わると、三年生はいよいよ本格的な受験シーズン。多くの日本人にとって、ここは人生で二番目に必死になって勉強する忍従の時期(一番目は大学受験前)ですから、教える側もそれなりの心構えを持たなければならないようです。
 ところが、よりにもよってこんな時期に、岩木竜二がクラスメートを誘って映画を作ろうとしているとのこと。皆が受験勉強に没頭しているというのに、一体なんでまた突然映画製作など思い立ったりしたのでしょうか。

 そこで本日は神社の境内にいた竜二を訪ねてみます。今日は件の映画製作が目的みたいですね。
 なんでも映画祭に出品するショートフィルムを撮るつもりらしいのですが、メンバーが一人も集まらずにイラついている様子です。声をかけたクラスメートは、いずれも適当な理由をつけて撮影現場に来ようとしないのだとか。

 彼が声をかけたのは北健太・櫛形陽子・久住あい・黒部鉄郎・白石雪也・桧山太陽の六人。物理攻撃力が低そうな男子ばかりだと思ってよく見たら、三話Aの月山美咲救出部隊が全員入っています。これで美咲がいたら観光組も全員集合になりますね。あえてハブったのは絶対にセリフが暗記できないと踏んだからでしょうか。

 ともかくメンバーを順繰りにあたって【竜二が映画製作!?】の件について聞いてみることにしました。
 まず、自宅にいた桧山太陽は「受験前なんでさすがにムリです」と予想通りのお返事。既に3ーBでは神クラスの成績なんだから、ちょっとぐらいサボったって平気そうなんだけどなあ。

 続いて学校にいた黒部鉄郎にアタック。彼はカメラの知識を買われて、撮影スタッフとしてスカウトされたみたいです。
 が、なんと映画を撮るというのに機材がカメラすらないのに呆れて帰ってきてしまったのだとか。そりゃあ確かにごもっとも! いくら鉄ちゃんだって念写じゃ撮れねえぜ竜二!
 幸い、カメラがあるなら撮影に参加しても良いと言ってくれた鉄郎。……なんか成りゆき上【カメラを探せ】という展開になっちゃったみたいです。いいのか、こんな時期に?

本日の美咲 サクラ橋にて遭遇。【竜二が映画製作!?】を見せたところ「今手編みのセーターに凝っててそれどころじゃないんだ」と大変重要な発言。なるほど、だから竜二は美咲だけ映画に誘わなかったのか! 確かにそれを着る予定の人物によっちゃ映画製作どころじゃねえや!(おい)

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 9月28日(火)

 開始二日目にしてバッドエンドシグナルに赤ランプが! 今日中にイベントを進めなければ、どんなにあり得ない状況でも首が飛ぶ恐怖のサインが早くも出てしまったため、今日も真面目に岩木竜二の映画製作スタッフを当たっていきます。

 「桧山だって受験が忙しいって断ってるのに、私が参加できる訳ないじゃないですか」
 「この時期に面倒だし……リーダーが岩木じゃ皆嫌がると思いますよ」
 「だって岩木君が主役で監督なんですよ。話もなんだか子供っぽいし」
 「どうせ奴隷みたいにコキ使われるに決まってるから行きたくないです」

 これはこれは……どうも製作時期以前の問題だったようです。……結構な嫌われようですね、竜二。
 確かに自主製作映画レベルで監督兼主役は痛いな……明らかに自分を投影したとおぼしき主人公と肉感的な美女が酒場で喋るのとホテルで種付けするのをダラダラと繰り返すだけのセルフ萌え小説をハードボイルドと銘打って堂々とネットに上げてる自称物書きぐらい痛いな……(←読んだこともない小説の作者を敵に回すのはやめた方がいいと思います)


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 9月29日(水)

 金八先生が入院している病院に、「レイカ」という人物アイコンが表示されています。
 そういえば、本章のオープニングに出てきた少女が、坊主頭の兄にそんな名前で呼ばれていましたね。仮に兄が幼い頃の岩木竜二だとすると、彼女は竜二の妹なのでしょうか。

 とりあえず病院へ行ってみますと、そこには頭に包帯を巻いた小学生くらいの女の子が立っておりました。服装からして、面会人ではなく入院患者のようです。

 レイカ「おじさん、誰?」

 はぐ!(ダメージ50)
 流石に悪意がない分、年齢一桁のヤングは一撃の重みが違います。確かにこれだけ小さい子だと、大学生だってオジサンに見えてしまうわなあ。

 レイカ「わかった、おじさんの子が入院してるんで、お見舞いに来たんでしょ。早く退院できるといいね」

 あまりの衝撃に声もない(というか声出ない)主人公の精神力を、畳み掛けるような瞬殺コンボでゴリゴリと削り取って行く少女。おそろしいことですが明日は我が身です。このような時「おじさんじゃない、お兄さんだよ」と頬を痙攣させながら訂正する方がおられますが、これはある意味自傷行為に近い行動であるためやめておいた方が賢明です。

 死にそうになりながら彼女の話を聞いていると、そこへ担当医らしい医者が通りがかりました。
 どうやらレイカが入院している場所は、感染抵抗力の弱い子供を集めた特殊病棟だったようです。人の立ち入りが厳しく制限されている病室らしく、丁寧ながらも有無を言わさぬ対応で追い返されてしまいました。
 ここで【病院の少女】カードを入手、いつもの通りカードの説明を読んでいますと……な、なんと!

 「少女の側にいた医者は桧山太陽の父親。」

 ……不覚! もっと良く顔を見ておくんだった!!(後悔)
 だから太陽は時々病院にいたり、医療関係の才能ばっかり開花してたんですね。そういえば眼鏡とかが似てたような気がします(←ヤドカリじゃないんだから眼鏡は遺伝しません)。

 ついでに金八先生の所へ寄ってみると、丁度お見舞いに来ていたりん子先生が、竜二の映画製作について相談しているところでした。
 「相沢先生は若い頃映画青年だったらしいぞ」と、久々に貴重な情報を提供してくれた金八先生。しかしあまりにも広過ぎる相沢先生のヲタ範囲に圧倒されてしまい、折角の有り難いお言葉もろくすっぽ耳に入りません。なんかあの人、金八先生や主人公よりよほど役に立っている印象です(言ってはならないことを……)。


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 9月30日(木)

 映画製作を始めることができず、岩木竜二は苛立っている様子。今日はついに、製作メンバーと教室でケンカを始めてしまいました。
 が、どうもケンカの原因は竜二の爆発ではないようです。それどころか、どちらかというと腹を立てているのは他のメンバーたち。
 なんと映画を出品する予定の「レイカプログラム映画祭」が、どこにも実在しない嘘っぱちだったのだとか。最初から竜二は、完成した作品を余所へ出品するつもりなどなかったらしいのです。

 クラスメートから責められたことに腹を立て、走り去ってしまった竜二。慌てて後を追いかけると、ひどく急いでいる素振りでどこかへ走って行ってしまいました。
 一方、教室に戻ってりん子先生に事の次第を報告すると、そばにいた神崎教諭が「岩木竜二を病院で見かけた」と教えてくれます。
 やはりあの【病院の少女】は、竜二の妹に間違いないようですね。架空の映画祭に妹の名前を付けたことから予想するに、竜二は 深刻な妹萌え 入院しているレイカのために映画を作ろうとしているのかもしれません。


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 10月4日(月)

 T都民なのに都民の日を忘れていたため「おかしいな、どうして10/1が飛ばされてるんだろう」とメモを見ながら何度も首をひねっていた当方です(哀しい会社勤め)。
 公立学校は自治体の記念日が休日になるんですよね。開校記念日も休みになりますが、サクラ中学は記念日いつなんだろう。『桜』の行事予定表を見てみたけど載ってなくて残念です。

 病院にいた岩木竜二【病院の少女】を見せてみると「先生、レイカを知ってんのか」と驚いている様子。運のいいことに、丁度レイカもやってきました。どうやら顔を覚えていてくれたようです。

 妹「おじさん、先生だったのか!」(ダメージ50)
 兄「レイカ、よーく手ぇ洗ったか? 先生バイキン持ってそうだからなぁ」(ダメージ150)

 ぼちぼちLPが削れそうです。(ロマサガ的表現)
 今日もちまっこくて可愛いレイカたん。彼女が冒されている病は、なんと難病の代表格である白血病で、もうすぐ骨髄移植予定なのだそうです。竜二が自主映画の製作を思い立ったのは、映画好きなレイカを手術の前に元気づけてあげるためだったのでした。

 こんな理由があったのなら、映画づくりを応援しない訳にはいきません。竜二の【映画への執念】を届けるため、もう一度製作メンバーを訪ねてみることにした当方。
 ところが、残念ながら今日は製作メンバーが誰もマップに出てきません。唯一線路沿いにいた黒部鉄郎「山手線ゲームを体育祭の種目にしたらどうでしょうか」と見当違いの話題を語り出す始末で、がぜんやる気がしぼんで来ました(短気)。


 が、この日は、思わぬところでとんでもないイベントが発生したのです。
 いつものように月山美咲を付け回し、サクラ橋で才能開花に励んでいた時のことでした。
 その日に開花したのは、職業Hの「保育士」。「面白そう、そういうの得意だから頑張ってみるかなー」と珍しく自信のあるコメントを発した彼女に、育児が得意なのはいいが保育士試験に通るのだろうかと一抹の不安を覚えたりしたものです。
 ところで、既にお馴染みの通り、才能開花によって新たな将来の道を開くと、ボーナスとして新たな才能カードを入手できることがあります。

 問題はこのとき手に入れたカードの絵柄でした。

 
子供カード


 この眼鏡! この髪型!! どうみてもこれはあの二名のお子らに間違いありませんヨ!!?(大興奮)

 このカードを目にした瞬間、当方の脳内では桧山太陽と月山美咲が太陽の街医者開業に時期を合わせた十年後に大恋愛の末ゴールイン、ハネムーンベビーだった長女を手始めに五年連続で年子出産の快挙を成し遂げ、上から順に「陽汰(ようた)」「真紗輝(まさき)」「照(てらす)」「亜帆炉(あぽろ)」「呼露菜(ころな)」といったDQNネームの見本市ともいえる三男二女の幸福な家庭を築き上げていました(←そんなだから現実でまともな生活ができないんですよ)。

 いやもうぶっちゃけこれで当方の金八先生は終わったと本気で思いました。少ない燃料から大きな萌えを自己発電。萌力発電は地球に優しい新たなエネルギーを貴方の社会に提供します。もうなに書いてるんだか自分でもよく解りません(←いいから早く寝ろ)。


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 10月5日(火)

 もはや意地を張っている場合ではないと気付いたのか、岩木竜二が遂にメンバー全員の前で頭を下げました。妹のレイカのことを打ち明け、改めて映画製作への協力を頼んでいるようです。
 しかし、話を聞いて名乗り出てくれた生徒は誰もいません。口惜しいことです。もしもこの場に月山美咲がいたら


レイカの話を聞いて可哀想になった美咲号泣
 ↓
「わかった、美咲レイカちゃんのために映画手伝うよ! 太陽くんも一緒にやってくれるよネ!(拒否権なし)」
 ↓
俳優が足りないので美咲が適当な出会い系サイトから調達
 ↓
カメラがないので太陽が念写用メガネを発明
 ↓
撮 影
 ↓
完 成
 ↓
映写機がないので太陽が映写用メガネを発明
 ↓
上 映
 ↓
太陽が世界一のメガネ発明王としてノーベル科学賞受賞
 ↓
後に「桧山効果」と呼ばれる経済効果により、メガネ産業を中心として日本経済が急成長
 ↓
我が国が押しも押されぬメガネ大国として繁栄を極める
 ↓
そんな中突如、東京都足立区がメガネ共和国として独立を宣言
 ↓
これが以後2000年の長きに渡るメガネ政権の始まりであった


 という具合で何もかもうまく行ったに違いないのですが(行ってたまるか)。
 残念ながら美咲は現在映画どころではありませんので、やはり主人公が人肌脱いでやるより他にないようです。

 ようやく相沢先生がマップ上に出て来てくれたので、まずは理科室へ。【カメラを探せ】カードを見せると、8mmビデオカメラと映写機を快く貸し出してくれました。理科室で現像までさせてくれるみたいです。
 二周目はまさに相沢先生さまさまですね。しかし何故こんなものを学校の理科室に常備していたのかが謎です。学校の理科準備室を私物の物置きにしているとしか思えません。

 早速借りて来た【8mm機材一式】を見た黒部鉄郎は一も二もなく撮影を承諾してくれました。その筋のマニアが見れば喉から手が出る超高性能機材だったみたいです。見る目のあるカメラマンに使ってもらえるのなら、相沢先生も本望でしょう。

 続いて久住あい北健太【映画への執念】でもう一度説得。
 どうやら二人は、竜二が大将気取りで監督と主役の兼任を豪語していたり、他の男子を力づくでコキ使わせるつもりなのが気に入らないようです。
 「出てもいいけど【竜二主役はイヤ】」「【竜二が雑用を】全部やってくれるのなら参加する」という二人。問題は竜二がこの条件を呑んでくれるかどうか、なのですが……


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 10月6日(水)

 今日も神社で待ちぼうけをしている岩木竜二。昨日久住あい北健太から聞いて来た【竜二主役はイヤ】【竜二が雑用を】という条件を伝えると、予想通り相当不満そうです。特に日頃「チビ太」と呼んで見下している健太に条件を付けられたのが応えているみたいですね。
 しかし、これも病床の妹のため。怒りたいのをグッとこらえて、主役を別のメンバーに任せ、全ての雑用を引き受けると約束してくれました。

 まずあいに竜二の言葉を伝えると「竜二がただカッコ付けたいんじゃなくて、本当に映画を撮りたいのがわかった」と、保護者のようなコメント付きで参戦表明をしてくれました。さりげなく寄り添い、突き放すべきところは突き放す。いい女ですね。竜二にはちょっと勿体ねえなあ。

 片や健太は「面白いことになりそう」と、ドラえもんにひみつ道具を貸してもらった直後ののび太(TV版)のようにほくそ笑んでいます。
 全然関係ない話ですが、道具を使って調子こいてる回ののび太はたいがいオチでろくでもない目に遭いますね。それなのにどうして懲りもせず同じ過ちを繰り返すのでしょうか。あとF先生御逝去以降の映画版ドラは途端にエコロジーな話ばかりになっていて個人的には興醒めです。アテネオリンピックの時にテレ朝が中継テロップで流してたCGのドラの方が10倍は生き生きしていたし100倍は萌えました。砲丸投げしてる奴特に可愛かったです(←本当に全然関係ないまま終わらせるか)。


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 10月7日(木)

 続いて今日は白石雪也桧山太陽を説得。条件を提示してきた昨日の二名とは異なり、どちらも【映画への執念】一発でアッサリ参加を決意してくれました。
 前章の頑固っぷりはどこへやら、「皆参加してるみたいだから僕もやります」と何とも軽佻浮薄な動機でOKしてくれた雪也。犬以外のことは心底どうでもいいという気概がダイレクトに伝わってきて好感が持てます。

 一方、対照的なのは太陽です。「岩木君にとって、いま映画を撮ることは本当に大事なことなんですね。……僕は自分の受験、そんなに大事じゃないから、やる気を分けてもらいに行こうかな」と、驚異的な物わかりの良さで参戦表明。雪也とは違う方向に素直過ぎて、彼の今後が心配になってきます。彼の熱血属性を開発してしまったのは誤りだったのでしょうか。

 ともかくこれでメンバー全員が映画づくりに参加してくれることになりました。徐々に集まりつつあるスタッフに、岩木竜二も心強さを覚えてきているようです。
 ようやくカメラも揃いましたし、あとは本格始動を待つばかりですね!


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 10月8日(金)

 映画製作スタッフは全員説得したはずなのに、何故かまた赤ランプが点灯してしまいました。
 おかしいな、と思ってマップをあちこち眺め回していたら、櫛形陽子を説得し忘れていたことが発覚。ウワー! またクッシーに申し訳ないことをしてしまったわい!!(申し訳ないことその1は第二話の5/5を参照)
 彼女も「人に頭下げさせといて何もしないのはね」と相変わらずの男前っぷりでメンバー加入。当方はテレビの前で頭が上がりません。ごめんなさいワザとじゃないんです。反省しているので防人の歌を枕元で歌わないでください。

 陽子の加入によって、今度こそスタッフが全員揃いました。
 その夜、皆で病院のレイカに映画のことを報告に行きます。兄に対等な友達ができたことを健気に喜んでいるレイカに、生徒たちは皆好感を持った様子。主人公にはタメ口(しかもおじさん呼ばわり)だったのに、兄の級友にはちゃんとした敬語を使っているレイカちゃんの適応能力にひれ伏してしまいそうです。
 彼女の手術は今月の21日に決定。この日がクランクアップの目標日となります。
 やるからにはいいものを作れるように頑張りましょう。例によって主人公は地縛霊より役に立たない有様ですが。

本日の美咲 サクラ橋にて遭遇。才能開花により職業I・料理教室の先生に開眼。さすがに講師をやるとなったら「今日はウニ丼を作ります。まずプリンの白いところだけをお皿に移して、醤油を(略)」というわけにはいかない。大丈夫なのだろうか。

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 10月12日(月)

 映画の主役はチビ太こと北健太に決定したようです。昔上映されていた、少年魔法使いアリーの物語を踏襲した筋立てで行くとのこと。当然ながら、モデルは例の賢者の石取ったり秘密の部屋入ったり囚人に狙われたりするあの人です。
 これまで逆らえなかった岩木竜二が下手に出ているので、健太は調子に乗って竜二をすっかり下僕扱い。いささか目に余る態度ですが、当方はメガネの魔法使いが主人公なのに主役が桧山太陽じゃないことの方に腹を立てているのでそれどころではありません(←少しは空気読めよ)。

 ともかく配役が決定し、早くも本格的な撮影に取りかかっているスタッフたち。
 撮影の合間を縫ってレイカのお見舞いに行くと、入院生活は退屈だと珍しく愚痴をこぼしています。窓の外は建物に邪魔されて景色も見えないし、テレビはなかなか見られないとなると、九歳の女の子には確かに酷なものがありますね。
 ここで【窓の外は白壁】カードを入手。これ、説明書きのとこに「伏線」って二文字書いとけば用が足りるような気がします。

 竜二の自宅である映画館へ行けるようになったので訪ねてみますと、チョビ髭と蝶ネクタイが印象的なお父さんが出迎えてくれました。あの竜二の父親とは思えないほど腰の低い人です。
 彼によると、竜二が今回モデルにした魔法使いの物語は、昔この映画館でレイカのために上映した映画のようでした。上映中に事故でフィルムが燃えてしまったため、レイカは結局物語の結末を見ることができずじまいだったとか。
 ……ってことは当初の竜二は眼鏡のアリー役を自らやるつもりだったってことになるな……髪型はヅラでも被って誤魔化すつもりだったのでしょうか。あえてそのまま行ったらそれはそれで面白い絵ヅラになってただろうなあ……

本日の美咲 サクラ駅にて遭遇。なんと太陽の誕生日(10/19)合わせで手袋を編んでいることが発覚した(悦)。セーターは技術的困難により諦めた模様。最終的に毛糸玉をそのまま渡して「手作りのマリ」などと言い出さないか心配である。


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 10月13日(火)

 久しぶりに田沼教頭のお呼び出しがかかったと思ったら、なんと桧山太陽の父上が学校に乗り込んできました! どうやら息子が映画製作に加わっていることを知り、受験勉強の妨げになるので撮影を中断しろと言いに来たようです。
 あの太陽の親父なだけあって、言うことに筋道が立っていてソツがありません。確かに本来は受験一色という雰囲気が当たり前の時期、これで受験に支障が出たらどうするのかという意見はごもっともですからねぇ……

 騒ぎを聞いて指導室にやってきた岩木竜二は、もちろん太陽の父に猛反発。しかし彼の意気込みも虚しく、太陽をはじめとしたほとんどのメンバーが製作チームから離脱してしまいました。
 結局この日撮影場所にやってきたのは、竜二と黒部鉄郎の二人だけ。
 やはり一気に五人が抜けたことは相当応えたらしく、「一人になっても絶対諦めねえ」という折角の勇ましい決意もつい弱々しくなってしまいがちな竜二。

 そんな彼を「馬鹿ですね。一人じゃありません」と強く励ましたのは、驚いたことに鉄郎です。その視線の先には、バイオリンケースを抱えて微笑む美原京子の姿がありました。この窮地かつこの時期に、あえて音楽担当として参加を申し出てくれたのです。
 ここの鉄郎は四話Bと比べ物にならないほどカッコイイですね。高千穂誠が見たら泣いて喜ぶこと請け合いでしょう。ずっと自分の殻に閉じこもっていたポータブル引きこもり少年が、まさかこんなことを言えるほど強くなってくれていたとは……

 二人の心強い仲間に励まされ、改めて【あきらめねーよ】と強く誓った竜二。彼らを見守る者として今できるのは、この決意をバラバラになったメンバーに伝えることぐらいです。

 まずは主役の北健太、そして女優の櫛形陽子のところへ。
 竜二に仕返しをする目的で参加したものの、段々と彼の熱意に心を動かされつつあった健太。そして撮影から逃げ出してしまった自分に不甲斐なさを覚えている陽子。二人とも映画への未練は窺えるものの、やはり簡単には戻ってきてくれないようです。ともかく明日もダメモトで、他のメンバーをあたっていくしかありませんね。


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 10月14日(金)

 今日も魔の赤ランプが大変眩しいです。追い立てられるように久住あい・白石雪也への説得を試みるものの、やはり反応は芳しくない様子。二人とも、このまま映画製作を諦めてしまうつもりなのでしょうか。

 父に押し切られて製作から手を引いた桧山太陽も、後ろ髪を引かれつつ復帰にまでは踏み切れずにいるようでした。
 「人から信頼されるためには自分の仕事を全うすること、そして学生の仕事は勉強だから、今は勉強だけしていれば良いと父さんは言います。でも、本当にそうなのかな」と呟く太陽。

 おかしいな、お前の父さん昨日学校で「何も子供に『勉強だけしていれば良い』と言うつもりはありません」って間違いなくハッキリ言ってたよ。相手によって己の思想をねじ曲げる人はいかに実力があろうとも尊敬されないと思うんだけど、その辺どうよ、親父?

 と思った途端本当に父親が家から出てきたのでテッキリ釈明でも始めるのかと思いましたが、単に太陽を連れ戻しに来ただけのようです。「生憎太陽も私も暇ではないのでね」と言っていますが、昨日は学校へ押しかけ、今日は日中自宅待機とあからさまに病院外で仕事をサボっている辺り、暇でないようにはとても見えません。
 小児科って医者不足のせいで毎日夜遅くまで休む暇もないんじゃなかったんですか? 教えてブラックジャック先生!

本日の美咲 サクラ橋にて遭遇。な、なんと、今日太陽に出来たてのマフラーをあげてきたばかりだと爆弾発言。もう2〜3段階進化するものと思っていたが、どうやらマフラーで落ち着いたらしい。こりゃ映画どころじゃ(略)。


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 10月15日(金)

 キャスト全員を欠いたまま、今日も神社に集まっている岩木竜二黒部鉄郎美原京子の三名。
 ところがそんな彼らの前に、一昨日去っていった仲間たちが戻ってきてくれました! 皆に伝えた竜二の思いは無駄ではなかったようです。
 ただし戻ってきたメンバーの中に、残念ながら桧山太陽の姿はありません。人によって発言を翻すサボリ親父の圧力がかかっているためでしょう(←仮にも太陽の親父なんだから少しは敬ってやれ)。
 が、これだけメンバーが揃えば、映画撮影を続行するのに充分です。問題は上映の方。竜二が何度も病院に上映許可を申し込んでいるらしいのですが、全く聞き入れてもらえないみたいですね……

 というわけで、本日は出来たてホヤホヤ愛のラブマフラー(重複表現)をもらったばかりの太陽を直撃。映画の件なぞ当然後回しです(←もう誰も突っ込んでくれないと思いますよ)。
 教室にいた太陽は、美咲からもらったマフラーっぽいものからはみ出ていた毛糸を一本引っ張ったらバラバラに分解したと大騒ぎしていました。メガネ共和国の初代国家元首ともあろう者が、何を取り乱しているのでしょうか(←脳内共和国の話ももういい)。

 「どうすればいいのか」と聞かれましたが、バラバラになったものをマフラーだと思い込んでいるのがそもそもの誤りです。それはマフラーではなく、よく出来た手品グッズだと認識を改めれば何の問題もありません。腕のいい手品師を彼女に持って幸せだな太陽!

 重要な用事が済んだので、今度は病院へ行って太陽の親父を【あきらめねーよ】でとりあえず説得。
 鼻で笑われた上とっとと追い返されるかと思ったら、突然「映画を見せれば彼女は治るんですか。そんなことで病気が良くなるなら、私のような人間は必要ない!」と険しい表情で食ってかかってきました。これは予想外。息子の隠れ熱血はこの人からの遺伝だったようです。

 その時、なんとレイカの容態が急変。太陽父はためらう隙も見せず病室へ急行します。こういう時はやはり医者ですね。
 知らせを聞いて竜二と彼のお父上も駆け付けてきました。が、撮影を放り出して病院へ来た竜二に「馬鹿野郎! 作りかけの映画を放って来る奴があるか!」とドスの効いた声で大激怒する父。こちらもやっぱり竜二のお父さんだな、という貫禄です。今日は保護者二名が揃ってカッコイイですね。
 思い出の映画──【魔法のレイカプログラム】の完成こそが、いま自分がやるべき最も重要な仕事であると気付き、決意も新たに制作現場へと戻っていく竜二。タイムリミットである手術の日まで、残すところあと五日です。


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 10月20日(水)

 そしてレイカの手術前日、遂に岩木竜二の映画は完成しました。
 編集作業を残すのみとなった前日の19日には、最後のメンバーだった桧山太陽が晴れて現場復帰。これで文字通り、映画スタッフ全員の努力が実を結んだことになります。

 ただしせっかく完成した映画も、レイカに見せることができなければ意味がありません。太陽の父親が病室前で見張っているため、部屋の中で映写機を使うわけにはいかないようです。
 そこで【窓の外は白壁】であることを利用し、病院の壁をスクリーンにして、窓から映画を観てもらうことにしました。
 映画が上映されている間、太陽の父を呼び出して時間稼ぎしてもらうように頼まれた主人公。とりあえず病院の前でわざと車にはねられて担ぎ込まれ、太陽父に治療してもらうという手を思いつきましたが、全然関係ない医者が来たらはねられ損であるため、あまり有効な作戦ではないように思えます。

 というわけで、ここはシンプルに父親を呼び出すことにしました。隙を見せたところで 後頭部をぶん殴って十五分ほど気絶 竜二の映画が病院の治療とは違った意味で、レイカの病気を治すために必要なものであることを決めゼリフまじりに説得します。
 その時、病院の外から賑やかな音楽が流れてきました。どうやら上映が始まったようですね。

 慌てて病室に駆け付けるものの、映画に釘付けの子供たちの笑顔を目にして、言葉もなく立ちつくす太陽父。
 「させておけ……私たちは私たちにできることをしよう」と呟いて去っていく姿は実に渋カッコイイですが、「させておけ」なんて今時ファンタジー漫画に出てくる悪の帝王しか使わない言葉のような気がします。さすが「やぶから棒」と素で発言していた中学生の父親です。

 病院からの処分を覚悟で上映を黙認してくれた太陽父、そして生徒たちの頑張りのおかげで、上映は大成功。
 レイカのみならず、小児科の子供たち全員を勇気づけた【魔法のレイカプログラム】は、大盛況のうちに幕を降ろしたのでした。

 ところで太陽くんは一体この映画の何に貢献していたのでしょうか。竜二は監督、鉄ちゃんはカメラ、健太たち四名が俳優をやっていたことはわかるのですが、彼がスタッフとしてどんな仕事をしていたのかがまるで解りません。なまじチョイ役として参加して親父を喚んじゃった分、むしろ居ない方が良かったんじゃないかという気さえします(←酷いことを)。
 脚本の手直しと特殊効果ぐらいはやってたのかもしれませんね。……でもやっぱりアリー役は太陽で観てみたかった当方です。めっちゃ猫背で呪文の詠唱が聞き取れない魔法使い。ショボ!

【→ 第四話C『連弾』へ続く】


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