ネタバレ激多!!!


第一話『ようこそ3年B組へ!』
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 オープニング

 ちゃららーんちゃーんちゃーん ちゃーんちゃーんちゃーん

 メーカーロゴの後、上戸彩嬢の歌う「送る言葉」のピアノイントロが美しく響きます。
 既にクリア7周を越えてスッカリ金八信者と化した現在の当方は、このイントロを聴くだけで生徒たちの姿を眼に浮かべて涙ぐめる程のステージに到達していますが、残念ながらこの頃の当方はまだ魂のレベルが低く、説明書の13ページ「ゲームの始め方」に書かれた

 「オープニングムービーでは、上戸彩さんの歌う「送る言葉」が流れます。
  最初のプレイではその歌に最後まで耳を傾けましょう。」


 という一文に「余計なお世話だよ! 小学生か!」と反発を覚え憤るのが精一杯でした。
 上戸嬢の歌も曲のアレンジも、優しく凛とした感じで良いですね。ところどころ音程のピントが外れてるのは、恐らくアイドルの掟に忠実に従っているだけでしょうから気にしません。そうです、彼女は何も悪くないのです。


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 4月12日(月)

 ひと通りムービーを見終えたところで「始めから」を選択。どうやらこのたび主人公は、母校の担任教師を勤めることになった様子です。
 赴任の初日とおぼしきこの日、学校近くの土手で腰掛け、川を眺める主人公。ぼちぼち生徒が登校しはじめていると言うのに、朝っぱらから遅刻の可能性を軽くスルーして余裕ぶっこいている度胸は非常に評価できます。

 そこへ声を掛けてきたのは一人の女生徒。いきなり「おじさん誰?」と来ました。説明書によると主人公の設定年齢は28歳。平成生まれのヤング共は20代にも容赦がありません。
 どうやら彼女はミサキという名前のようです。自分の事を名前で呼んだり、見ず知らずのおっさんに「ここはミサキのお気に入りの場所なんだ☆」といきなり語り出したり、今どきエロゲーにも出て来ねえよこんな都合のいいキャラと思いましたが、直後にクラスメイトとおぼしき女生徒三人組が「ほんとウザイなー」と当方の心の闇を代弁してくれたので良しとします。教師失格ですね、すみません。この頃はまだなんにも判っちゃいなかったんです。


 ようやっと重い腰を上げて登校(出勤)してみると、どうやら生徒たちとの対面は次の日にお預けの様子。
 校長から「今日は他の先生方に挨拶していらっしゃい」と、新任教師というより前の学校で引きこもっていた転校生を相手にするような口調で命ぜられましたので、副担任の広沢りん子先生に案内されて、校舎を見て回ることにしました。

 ここで本ゲームの主人公・唯一のコミュニケーション手段である「カード」の一枚目、【よろしく!】が入手できます。
 これは名前の通り自己紹介をするためのカード。狭い範囲ながらもようやくマップ移動ができるようになったので、これからお世話になる先生方へどしどし挨拶アタックをかけていきます。
 最初に表示されたのは、隣のクラスを担当している、数学教師の高峰先生ですネ! いかにも理系の眼鏡眩しい色男(主観)です。早速話しかけてみましょう。ヨロスク!

「貴方が金八先生の代理ですか。僕は評定4の生徒を5に引き上げるのが趣味なんですけど、3-Bには落ちこぼれが結構多いんで担任の貴方がしっかりしてもらいたいもんですね」(要約)


 当方が在学していた高校は成績表が5段階評定だったので、冬休みに他校の生徒と先学期の成績の話をした際、普通の高校は10段階評価であることをスッカリ忘れて「平均は4ぐらい」と答えたところ、即座に哀れみの視線を返されて何故なのか少々悩んだ記憶があります。そりゃあ10段階評価で2だの3だのボカスカ取ってたら進級も危ういわけで、しかし相手の名前も知らない今となっては訂正する術もなく、何とも儚い青春の1ページだったと時折しみじみ回想する次第で……は? 誰でしたっけ高峰って。知りませんそんな人。


 どうもサクラ中学にはろくな先公が居ない模様です。
 全く空気の読めていないセクハラ体育教師、教頭の腰巾着、爆破コントが趣味の理科教師、授業が第一次世界大戦に突入すると途端に目の色を輝かせて戦争犠牲者と称する某国の方々の悲惨極まりない体験談を女生徒に泣くまで朗読させていそうな社会科教師(←いくらなんでもそれは言い過ぎです)と、こいつらが地方公務員試験に通ったという世界の神秘、奇蹟の連鎖をまざまざと感じさせてくれる面子揃いであります。
 唯一まともそうなのはスクールカウンセラーの久保真理子先生ですが、この人は非常勤講師みたいですし、キャラが立ってないので居るのか居ないのか良く解りません。

 先公共(敬称略)との対面シーンに挟まるようにして、生徒たちがその教師に対する印象を携帯メールで交わすシーンが挿入されています。
 「バカの一つ覚え」「生まれてくる時代間違ったね」「一番嫌い」「ほんとに悩んでる奴はあんなとこ行かないよ」「教師は落ちこぼれがなる職業だから」「可哀想だからそっとしといてやろうね」……

 もう既に学校行くの嫌になってきました。次の日から早々に教師間イジメを受けて学校を叩き出される主人公の姿が目に浮かびます。赴任早々このザマか!


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 4月13日(火)

 重い気分を抱えながら登校。りん子先生に連れられて、今日はいよいよ3-B生徒との対面を果たすことになります。
 うさんくさげに見つめてくる者もあり、そっぽを向いてメールを打ち始める者もあり。そんな彼らの中に、偶然にも見知ったばかりの顔がありました。土手で出会ったミサキという少女、なんと3-Bの生徒だったのです。

 「なんと」とか書いてますがこれは社交辞令です。本当は昨日の時点で「どうせこいつ教え子のひとりなんだろ、お約束だな」とか思ってました。すみません。ホントすみません。

 元気良く自己紹介してくれたミサキこと月山美咲に続いて、二人の学級委員が顔を見せてくれました。
 男子の方は高千穂誠、女子の方は中島ヒカル。どちらも成績優秀・眉目秀麗を地で行った印象の生徒で、どこの馬の骨とも知れない(←教師だって事は知れてるだろ)主人公に愛想良く接してくれます。
 人の名前を覚えるのが大層苦手な当方は「タカチとナカジの委員長コンビ」と適当な渾名を付けて二人を記憶。とりあえず、生徒の名前を覚えていくことから始めなくてはなりません。

 おまけにこのクラス、成績は良いのに中1の頃から不登校を続けている生徒がいるようです。
 りん子先生によると、その生徒の名前は桧山太陽。流石にこの名前は一発で記憶できました。自分の子供にこんなDQNネームを付けるとは一体どこのアホ親でしょうか、などと書くと全国の太陽くんの親御さんからPTAを通じて苦情が来かねないので書きませんが、ともかく彼のことは気掛かりです。【不登校の太陽】カードをもらったことですし、周囲の人に話を聞いてみた方が良いかもしれません。


 放課後に職員室を訪れると、田沼教頭と小須田教諭に、桧山太陽の家に行って親に挨拶して来いと命令されました。
 そこで、本日から学校外へも移動できるようになったことを幸い、新たなカードを携えて太陽宅へ特攻。
 顔を見せた母親に【不登校の太陽】を見せてみると、彼女はなんと、自室にいるはずの息子と、当たり前のように携帯メールで連絡を取り始めました。
 やはり引きこもりの壁は厚し。太陽の声すら聞けずに撤退を余儀なくされたうえ、「公立高の勉強は進学の邪魔、帰れ」と母親からのキツイ一言がおまけ付き。新しいカード【学校は必要ない】を入手できたものの、なんだか釈然としない気分です。


 ところで、△ボタンを押すと、現在持っているカードや生徒の簡単な説明を見ることができるようですね。以前にもざっと眺めてはいたのですが、ここで改めて、不登校の桧山太陽がどんな顔をしているのかを確認してみることにしましょう。

   ……………………あれっ(何だよ)

 ……いや、不登校って言うからもっとこう斜に構えたというか、目の奥にドス黒い闇をたたえた感じで、いかにも夜中に畳をライターで焦がしてたりとか皿に取ったマヨネーズをつまようじで掬ってジリジリ舐めてたりとかしてそうな感じの生徒だと思ってたんですが(←それじゃただの変態だよ)、写真で見る彼は温和でおとなしそうな眼鏡の少年です。少なくともひねくれた子には見えません。

 最終ターンの夜には病院の金八先生を訪問。一年間の入院を余儀無くされてるわりには元気そうで、出社拒否症候群に陥りかけた当方、いや主人公を力強く励ましてくれました……っていうかアテレコ上手いな武田鉄矢!


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 4月14日(水)

 朝、オデコの広いメガネの生徒(大山太郎)が「おはよッス」と挨拶をしてきてくれました。
 主人公の操作可能な時間は放課後に限られているらしく、その前の授業風景は、生徒の声と教室前のグラフィックだけで簡単に表現されています。
 今日は英語の授業で例文を音読する大山君。「ざっといず、とえんてぃー、いやーず、おーるど」懐かしいなあ。そういや男子は何を読むのも棒読みだったなあ。

 今日も頼みの綱のりん子先生を訪れ、【学校は必要ない】カードを見せて今後の相談をしようかと思いきや、高峰とかいうムカつく教師が割り込んできました。
 勉強も友達を作ることも、学校以外の場所で充分可能だ。だから学校へ来たくない生徒に、無理矢理登校を義務付けようとする必要はない、と彼は言います。そう言われてしまうと何となく納得してしまう単純な当方ですが、学校を「成績優秀な生徒を造る工場」と割り切ってしまう高峰の意見には、やはり偏りがあるような気がしないでもありません。

 りん子先生から【勉強が全てじゃない】カードを受け取ることができました。早速太陽の母にそれを見せてみる当方ですが、「はぁ?」と軽くあしらわれてしまって少しショックです。

 ここまでで余ったのは2ターン。まだあまり親しい生徒がいないので、マップのあちこちに生徒の顔が表示されているものの、どこへ行ったら良いのか迷ってしまいます。
 仕方がないので顔見知りの月山美咲を尋ねてみると……おや? 彼女の隣にはまたもや例の民間上がりが。

 「あっ先生、これから高峰先生と二人で数学の補習なんだ!」
 「補習の邪魔ですから先生はお引き取りください」


 てんめええええええ成績の悪い生徒はスルーじゃなかったんかこの淫行教師! 二人っきりで大人の補習授業か!? 「これから君を因数分解してあげるよ」とかナメた台詞を掛けてやがるんじゃねえだろうなチキショウ美咲にもしもの事があったらただじゃ置かねえぞ高峰えええ(←もう少し落ち着いてください)

 目を巨神兵のように爛々と光らせて憤る当方でしたが、二人が補習を受けている3-Bに顔アイコンが表示されなくなってしまった今、もはやどうすることもできません。
 仕方なく校門前を訪れてみると、主人公が昔教師を務めていた、クヌギ中学の卒業生だと名乗る女性が立っていました。
 主人公が五年前にも教師だったという事実のみならず、そこの生徒まで出てきちゃったのには、さすがに少し戸惑いを覚えてしまいます。「竹内直美です。覚えてらっしゃらないですよね」と言われましても、当方にはそんな中学で何かを教えてた覚えがないので全くわかりません。

 さらにこの日の深夜、何者かが集積場のゴミに火をつけるシーンが唐突に挿入されました。後ろ姿なので誰かは判然としませんが、長髪の若い女に見えます。
 ムウ、困りました。まさかこの放火の犯人は我が3-Bに!?


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 4月15日(木)

 授業の後に月山美咲が話しかけてきてくれました。大丈夫か美咲! あのメガネ野郎に変なことをされなかったか!?
 と思ったら、高峰教諭は美咲の成績があまりにも悪いので、単に彼女を立ち直らせようとしているだけの様子。うーん、あの先公にそんな優しいところがあるとは、にわかには信じられません。それほど成績が悪いのなら、むしろ美咲は真っ先に切り捨て対象になってもおかしくないはずなのですが……

 「ついでに国語の勉強も教えてもらえると嬉しいな。今度先生のうちに遊びに行っちゃおうかなー」

 問題はむしろこっちの方か!! 頭の足りない幼女と人格の破綻したロリイケメンが四六時中アホみたいにまぐわっとるエロ少女漫画しか読んでないだろう貴様!!(下品)

 心配になって今日も補習中の高峰と美咲を訪れてみると、美咲は勉強をさせられているのに楽しそうです。
 高峰にとっては、勉強が全くできないのに学校を楽しみにしている、美咲のような生徒は信じがたい様子。当方の通っていた学校では、給食を食べに学校へ来る奴だとか休み時間の大縄跳びで新記録を出すために(略)だとか道徳の時間の「さわやか三組」を見(略)だとか、そんな生徒ゴロゴロいましたけどね(←っていうかそれ全部小学校時代のお前じゃねえか)。

 前半に張り切ってイベントをこなし過ぎてしまったせいか、本日および翌日の16日はこれといった収穫もなく、生徒たちに【よろしく!】を突き付けまくったり、太陽のママンに門前払いにされたりして無為な生活を送る羽目になりました。
 神社にいた一見コワモテの岩木竜二が、話してみると案外お茶目な奴ですね。
 「……岩木竜二。妹ひとり、子分二人。まあ、よろしく頼むわ」ドスを効かせようとしているのか笑いを取ろうとしているのかがイマイチわからない点が憎めません。
 そして「かもです」だの「よろしくです」だのと、完結している言葉に「です」を付ける生徒が多いのはシナリオ担当の癖でしょうか。「かもです」を初めて聞いた時には、戸田奈津子の生霊が背後に立ったのをにわかに感じて戦慄しました。……それはちょっと大変かもだぜ! 早くお祓いせにゃかもだ!(手遅れ)


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 4月17日(土)

 本日は何故か夕刻、主人公の住まいとおぼしきうらぶれたアパートからスタート。ああそうか、今の公立中って完全週休二日制なんですね。
 などと呑気に思ってたら、本当に月山美咲が遊びに来ちゃいましたヨ!

 「来ちゃった。今日、泊めてもらっていい?」

 テメエ、いい加減にしろ! なんだこのギャルゲー的シチュエーションは!! 新任教師の俺に淫行フラグを成立させて早くもこの学校から追放しようという魂胆だろうが、そうは問屋が下ろさない(死語)ぜ!!
 そんな当方の精神を察したのか、主人公、一度開けたドアを無言で閉めます。笑いのツボをわきまえた良いタイミングで、思わず惚れ惚れするほどでした。伝説の教師はそうでなくっちゃネ!
 「冗談だよー! 本当は勉強教えてもらいたかったのー!」と、ドアの外で必死に弁解する美咲。なんかこの子はアホで可愛いのですが、冗談のセンスがちょっときわど過ぎる気がします。やっぱり愛読書がチー●"だったりクッ●ーだったりするのが原因でしょうか(決定かよ)。目を覚ませ!

 流石に女生徒を家に上げるのはマズイと思ったらしく、やってきたのは近所のファミレス。ここで国語の補習をすることになったようです。
 相変わらずギリギリの冗談を飛ばす美咲に「これで顔が可愛くなかったらお前の言動は逆セクハラに等しいぞ」と黒いことを考える当方。当の彼女は知らぬ顔で、仮にも補習中に堂々とメールを送ったりしています。

 「新しい先生は暇なんだね。暇な先生は教える能力も低いよ」と本人の目の前で堂々と返事を読み上げる美咲。そのナイス度胸に一瞬教師としてあるまじき感情すら抱いてしまいましたが、そんな感情を吹き飛ばす情報が唐突に飛び込んできました。
 その無礼千万な差出人は、美咲が頻繁にメールを交わすメル友で、「太陽」という名前らしいのです。
 こんな DQNネーム 珍しい名前はそう多くありません。おそらく相手は不登校の桧山太陽に間違いないでしょう。予想外のところで糸が繋がり、【太陽はメル友】カードを手に入れることができました。


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 4月19日(月)

 朝っぱらから田沼教頭と小須田教諭に呼び出され、桧山太陽の家から家庭訪問の件で苦情が来たと怒られました。今後、桧山太陽の家庭訪問は一切禁止、だそうです。まあそりゃあ怒るわな、一日に二回連続で特攻して、カード突き付ける前に追い返されたりとかしてたしな(反省)。
 しかし今、当方の手の中には大きな切り札【太陽はメル友】が隠されています。このカードがあれば、引きこもりっぱなしの太陽も少しは興味を示してくれるはず。ここは何としてでも桧山家を訪れておきたいところなのですが……

 そんな当方の思いに応えるかのように、くっきりと移動マップに表示されている太陽の家。教頭の命令なんかまるっきり無視か! あんた漢だよ主人公!!
 これで新しいカードを太陽の母親に突き付けることが……と思いきや、なんかまたカードを出す間もなく追い返されました。ヌウ、思わぬ伏兵だわい! まだ充分に機が熟していない様子です。

 仕方がないので、太陽の話をもう少し詳しく聞くため、サクラ橋にいた美咲のもとへ。ところがこっちにもカードを突き付けられません。どういうことだ、揃ってシカトしやがって!
 代わりに、ここが美咲の一番気に入っている場所だということを教えてもらえました。辛いときはいつもここに来るのだそうです。これは間違いなく伏線ですね。いつかこの情報が必要になるときが必ず来るはずです。
 次ターンには公園に移動していたので再び追いかけてみると、今度は「ここは小さい頃にヒカルちゃんとよく遊んだ思い出の場所」だと話してくれます。ヒカルちゃんというのは委員長の中島ヒカルでしょうか。そしてこれは間違いなくミスディレクションですね。いつかこの情報に惑わされるときが必ず来るはずです。


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 4月20日(火)

 本日はターン開始前から大問題が発生。放課後の教室で、月山美咲が雨池マミ、白駒クミ、夏沢レミの三人にからかわれ、机に突っ伏してしまっています。
 どうやら美咲がテストでとんでもなく低い点を取ったことが原因の様子。側にいた中島ヒカルの咎めも功を奏さず、美咲は泣きながら教室を飛び出していってしまいました。

 残った三人から軽く事情を尋ねてみると、どうも彼女たちは、ファミレスでの特別補習を偶然目撃していたようです。一人だけ高峰や主人公に補習をしてもらっているくせに、全くその成果が現れていない彼女に、つい不満をぶつけてしまったのだとか。
 寄ってたかって一人を苛めるのは決して誉められたことではありませんが、彼女らの言うことにも一理あります。主人公の目を通して見ればこそ美咲はアホで一生懸命な可愛い子ですが、端から見れば先生にヒイキされて喜んでいる不真面目な子に映ってしまうのかもしれません。
 が、今は美咲の安否が最優先。学校の中には見当たらないようですし、急いで後を追いかけなければ!

 というわけで早速昨日の伏線が役に立ちました。友人である美咲を心配するヒカルと共に、目指すはサクラ橋一直線。果たしてドンピシャです。
 思いのほか元気そうだったものの、テストの一件でやっぱり落ち込んでいた美咲を【勉強が全てじゃない】カードで力付けてやると、彼女は自分と太陽にまつわる思い出話をしてくれました。

 まだ小学生の頃、美咲はこのサクラ橋で、大事なテスト(おそらくは中学受験)に失敗して落ち込んでいた太陽と初めて出会い、同じように「勉強だけが大事じゃない」と励ましたことがあるのだそうです。
 しかしその言葉に「でも僕、勉強しかして来なかったから、ほかに何もないんだ」と答える太陽。当方の涙腺ここで不覚にも決壊。

 わずか12歳のガキンチョが、自分のことを「勉強以外に何もない」などと言うようなことがあって良いものでしょうか。もうそれだけで可哀想で泣けてきます。これが「同人活動」や「くさや同好会」だと一気にコメディ色を帯びるというか、むしろ自慢してるだろお前といういわれのない腹立たしさまで感じてしまうので言葉とは不思議ですね。
 「だったら美咲が友達になって、勉強以外のことを教えてあげるよ」と屈託なく笑う美咲。つられて一緒に笑い、笑った後で少しだけ涙をこぼす太陽に、彼女は無言でハンカチを差し出します。

 長々と語っていることからもお解りでしょうが、このイベントは当方がこの初々しい二人に萌えを覚えた最初のきっかけであり、何周プレイしようとも、決してスキップせずに鑑賞する当方の心のイベント・第一弾です。
 二人ともちゃんと今より幼い小学生の顔をしているし、声優さんも子供っぽい声で演技をしています。そして当方の萌えツボに決定的なトドメをさしたのは、最後のハンカチの場面でわかる二人の身長差。この頃はまだ太陽の方が少しだけちっちゃいのです。そう、小学校高学年時は、まだ男子より女子の方が成長が早いんだよ! リアルだよ!! 禿萌えだよバカ!!!(←ロリコンに間違われるので少し落ち着いてください)


 ええと、取り乱し過ぎて何を書いていたのか少々忘れました。……ああ、思い出話が終わったんでしたっけね。
 そうそう、そんなやり取りの後、美咲はその場で太陽にメールを返信したのでした。意地悪な友達がいるような学校になんか行く必要はない、と書いてきた太陽に、「心配してくれる友達や先生がいるから大丈夫」と。

 しかし直後に届いたのは「そんな先生いるわけない」という沈痛な返事。これほど頑なに閉ざされた彼の心を、主人公や美咲は、果たして外へ連れ出してやることができるのでしょうか?
 そして、ここまで自分の書いてきた文章の長さに茫然としている当方は、以降のエピソードもちゃんと消化していくことができるのでしょうか?

【→第二話『大人は判ってくれない』へ続く】


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