ネタバレ激多!!!


第四話B『鉄ちゃんの恋』
←前の話 →次の話

 7月6日(火)

 修学旅行先でようやく官憲の魔の手から解放されたかと思ったら、またしてもポリ公から電話がかかって来やがりました。
 もういい加減大森巡査の顔を見るのもウンザリな当方です。この人のモデルは最初の方のドラマ金八で鈴木正幸という人が演じていた同名の警官(本作の声優も鈴木氏が担当)だそうですが、当方内におけるドラマ金八の記憶は『贈る言葉』『人として』『スタートライン』の三つしか存在しない(要するに主題歌しか知らない)ため、「大森巡査だヒャッホウなっつかしィー」と白々しく浮かれることもできません。大体カンカンって誰って感じです。森田順平? ああ、FF10でティーダの声やってる人ね、とか素で間違えてました。(←「森田」しか合ってねえよ)

 教師はつくづくサツと縁の深い職業だと実感しながら交番へ向かってみると、そこにいたのは我がクラスの黒部鉄郎。一周目ではまるで目立たなかったため、ほとんど話をした記憶がない生徒です。
 鉄郎はなんとローカル線の踏切内に立ち入り、線路の上に寝そべっていたのだとか。「自殺なんかしたら家族も友達も悲しむ」と説得する巡査に「友達なんか居ないです、居なくても困ったことありません」と冷たく言い放って帰ってしまう彼。
 久しぶりにスゴイ心の閉ざしっぷりの生徒が来ましたね。桧山太陽も最初はこんな感じだったなあ。アイツは「友達はネットでも作れます」とか言ってて別の意味でアクティブでしたが、この子は本当に友達誰も居ないんじゃないかと心配になってしまいます。お世辞にもあまり人気のあるタイプには見えません。

 しかし、こんな時こそ迷える我々を救う強い味方、説明書の21ページを思い出す時。確か「ザッピングシステム」の例として、本シナリオ『鉄ちゃんの恋』と『連弾』の導入部のストーリー展開が解説されていましたね。
 その記述によると、どうやら黒部鉄郎は高千穂誠と仲が良いようです。というわけで、本章最初の特攻先は高千穂誠。早速【友だちはいらない】カードを持って、彼に会いに行ってみましょう!

 ところで当方は問題の21ページを最初に見た時『鉄ちゃんの恋』『連弾』というシナリオ名の下に『どうやら鉄郎と誠は友達同士らしい?』というチャートが載っているのを見て、鉄郎が恋しているのは誠だと本気で信じ込み「同性愛というタブーの恋に悩むジレンマを主軸にしたシナリオを用意するとは、さすがチュンソフト、あなどれぬ会社よ!」といらん感銘を受けておりました。すみません。すぐ勘違いに気付いたので勘弁してください。

 音楽室にいた誠は、確かに鉄郎と仲が良いようで「誤解されやすいけど悪い奴じゃない」と彼を気遣っています。
 転校したてで周囲と打ち解けられなかった頃、誠が【しろくに】と呼ばれる蒸気機関車の下敷きを持っていたのが縁で、鉄郎は彼の最初の友達になってくれたのだとか。
 どうやら鉄郎はかなりの鉄道マニア、俗に言う鉄ヲタだったようです。彼をよく知る誠が言う通り、鉄郎は電車に飛び込んで死のうとしたのではなく、大好きな電車を肌で感じたかっただけなのかもしれません。電車の運転手から見ればこれ以上の恐怖はあったもんじゃありませんが。

 しかしこうなると、かれこれ二年以上付き合っている友人がいるというのに、鉄郎が「友達などいない」と言い切った理由が気にかかります。誠には鉄郎と仲たがいした様子は見られませんし、彼が鉄郎を思いやる気持ちにも嘘はないようです。だとしたら、鉄郎は一体何が原因で誠を遠ざけるようになってしまったのでしょうか?

※ちなみに本章では、第四話C『連弾』との内容重複を避けるため、ザッピングは一切しないことを前提にプレイ日記を執筆しています。実際にはこの章から、第四話BとCの結末を両方見ることが出来るようになっているみたいですが当方に出来た訳ねえだろこん畜生め(←皆解ってますからいちいちキレないでください)。


7/7 7/8 7/9 7/12 7/13 7/14 7/15 7/18 7/19


 7月7日(水)

 りん子先生と相沢・ザ・爆破コント大先生(敬称)が、黒部鉄郎に元気がないと心配しています。友達がほとんどいない上に彼自身がクラスメートと関わり合いたがらないため、どうやらますますクラスからの孤立を深めてしまっている様子。
 相沢先生は「同じ鉄道マニアとして心配」と意外なことを言っています。なんと、ロケットヲタ・特撮ヲタに続いて鉄ヲタでもありましたか! 時刻表検定は二級ぐらい余裕で持ってそうだなあ。家に鉄道レイアウトまで作ってたら凄いですね。

 いかにもキーパーソンっぽい相沢先生も鉄郎もマップ上に出て来ないので、今日も高千穂誠を訪ね、まだ数少ない二枚のカードを見せて質問してみます。
 が、返ってきたのは「しろくにの下敷きはさすがにもう持ってきてません(【しろくに】)」「その話前にもしました(【友だちは〜】)」というハズレ情報ばかり。そりゃあそうです、昨日後者を見せて前者を貰ったばかりなのをスッカリ忘れてました。これが太陽相手だったら「超既出。質問厨UZeeeee!!!」と、バリバリの某巨大掲示板スラングで罵られていたこと間違いなしです。

 が、三ターン目の夕方になって、マップ上の線路に鉄郎が出てきてくれました。当然駆けつけて【しろくに】を見せますと、鉄郎、どう勘違いしたのか主人公まで鉄ヲタ認定。昨日の拒絶ぶりが嘘のように、アッサリ心を開いてくれます。鉄道の種類は見抜けても、ヲタと一般人の違いは見分けられないみたいです。

 鉄郎は昨日と同じように、柵をくぐって線路の中へ入って行きます。そればかりか線路内に横たわって、頭をレールに乗せて、そのまま眠っているかのように目を閉じてしまいました。
 「次の電車は9分30秒後だから大丈夫」と見事な博識ぶりを見せますが、ダイヤ狂いは当たり前、調子の良い時は一週間に一遍の割合で人を轢き殺している殺人快速中央線を知る当方としては、見ていて気が気ではありません。前の電車の遅れを取り戻すために一時的に列車間隔が狭まってたらどうしようとか色々考えてしまいます。

 こうしてコッソリ線路に忍び込み、レール越しに遠くから聞こえてくる線路の響きを聴くのが好きだと語る鉄郎。
 以前は誠と一緒に何度も来ていたそうですが、「もう友達じゃない」と、今は誠に対する嫌悪をあからさまに表しています。誠には仲たがいの心当たりなど全く無さそうなのに、どうして鉄郎だけが一方的に誠を拒絶しているのでしょう。

本日の太陽 図書室にて遭遇。【友だちはいらない】を見せたところ「僕も引きこもっていた時は同じ気持ちでした、それって孤独を認めたくないから、虚勢を張っていたに過ぎないんですよね」と深い発言。つまりアレか。友達はいらないが毎日メールを打ってきてくれる未来の妻は超必要だったという訳だな。いい心掛けだ(←折角の良い台詞を汚すんじゃないよ)。

7/6 7/8 7/9 7/12 7/13 7/14 7/15 7/18 7/19


 7月8日(木)

 どういうわけだか黒部鉄郎高千穂誠も相沢先生も出て来ず、拍子抜けしてしまうほどやることの無さそうな本日。仕方がないので【友だちはいらない】を色々な人に見せて回ってみることにしました。
 その中で少々気になることを言っていたのが、鉄郎と同じくこれまでほとんどパッとしなかった天城あずさ

 「それって何だかワガママに聞こえます。あんなに素敵なお友だちがいるのに」

 「お友達」というのはもちろん誠のことでしょう。どうやらあずさは誠に好意を抱いているみたいですね。一方、鉄郎にはあまり良い印象を持っていないようです。
 なんとなくですが、鉄郎だけが一方的に誠を避けている理由は、ここにあるのではないかと思えてきました。『鉄ちゃんの恋』の相手は、もしかして彼女なのでは?

 一方、それとは別の意味で気になることを言っているのは、一部の女子に圧倒的な人気を誇る美☆少年・白石雪也です。

 「確かに友達の存在が煩わしい時ってありますよね。そんな時は人間より動物に側にいてもらいたいな。干渉されないし」

 この歳にして都会の世知辛さに疲れた独り暮らしのOLみたいなこと言ってますよこの子!?
 ……まあ当方宅では、隙あらば可愛がろうとしつこく干渉するので犬が当方を煩わしがってますけどネ!(見下されている飼い主の典型)

本日の美咲 いつもの橋にて遭遇。【友だちはいらない】を見せたところ「友達がいなかったら寂しくて死んじゃう。ヒカルちゃんと太陽くんにはホントに感謝してるよ」と彼女らしい素直な発言。「友達より老け顔の変態尻小玉を取ったくせに……」と魔の九・十章を思い出して覿面に鬱になる当方。

7/6 7/7 7/9 7/12 7/13 7/14 7/15 7/18 7/19


 7月9日(金)

 黒部鉄郎が職員室へやってきて、大切にしている機関車模型をネットで売りたいと相談してきました。
 噂に違わぬ鉄ヲタ相沢大先生は、鉄郎が抱えてきた模型を「C62(しろくに)の2号機」と号数まで一目で判別。どうやらマニアの間では、かなりの高額で取り引きされている品物のようです。
 大切にしている模型を売ってでも、早急に手に入れたいものがある様子の鉄郎。しかしそれが何なのかを尋ねると「もういいです」とにべもない様子で立ち去って行ってしまいました。

 ここは彼と同じ志を持つ相沢先生におすがりするしかありません。
 理科室にいた相沢のもとへすかさず特攻、さっきの【しろくに】について聞いてみると、少し前に鉄郎が相談にきたばかりだといいます。彼はどうも、模型を売って【パソコンが欲しい】と考えていた様子。

 改めて本人に尋ねてみても「しろくにの模型は大切だけど、今はそれよりもっと欲しいものがある」とどうにも曖昧な返事しか返ってきません。
 あえて言うなら【パソコンが欲しい】を見せてこの答えが返ってくるのが妙ですね。本当に欲しいものはパソコンではなく、他の何かだと言っているように聞こえます。

 さらにこの発言を裏付けたのは「鉄郎はあずささんのために頑張っている」という高千穂誠の証言。
 つまり、天城あずさにプレゼントするためにパソコンを買おうと思い立った訳ですか……まさか自分自身が恋敵とはつゆ知らず「何も相談してくれないのが寂しい」と洩らしている誠が少々気の毒です。

 価値観は人それぞれですけれども、金品に比例した好意を期待したり期待させたりするのは、なんかあんまりスマートじゃないですねえ。彼氏に貢ぐために援助交際に励む女子高生や、ブランド女を落とすために貯金を切り崩す会社員を連想してしまいます。ついでに「架空のキャラにハマって関連出版物やDVDやゲーム等を買い漁るヲタも同じようなものかも知れない」と書こうとして俺じゃんと途中で気付きました。……小説三作も攻略本二冊も設定資料集も全部買っちゃったなあ……(遠い目)

本日の太陽 第一公園にて遭遇。才能開花により職業Fの裁判官に開眼、職業イラストの中国人風チョロヒゲがナイス。「いいと思います、けど本当に僕の進むべき道なんでしょうか」と不安そうである。そんなに医療関係がいいのか太陽。病気萌えか。

7/6 7/7 7/8 7/12 7/13 7/14 7/15 7/18 7/19


 7月12日(月)

 本日は、三角関係の渦中にあるらしい天城あずさ嬢を直撃。彼女は黒部鉄郎が自分のために【パソコンを買いたい】と思っていたことに相当ショックを受けているようです。
 そもそも原因は、鉄郎が急に「いま一番欲しいものは何か」と尋ねてきたので、あずさが適当に「パソコン」と答えたことにありました。鉄郎はあずさの誕生日が近いことを知って、彼女が一番欲しいものをプレゼントしようと思っていたのです。

 鉄郎の不器用な好意を負担に感じている様子のあずさ。しかし、偶然そこへやってきた高千穂誠が「あいつなりに一生懸命なんだ、わかってやってほしい」と、彼女を必死に説得し始めました。
 もちろん、好きな人に直々にそんな頼みをされたあずさが断るはずもありません。鉄郎の好意を素直に受け止めると約束した上で、彼女は鉄郎のために【パソコンはいらない】ことを伝えて欲しいと主人公に依頼して来ます。

 しかしまさか、あずさの名前が電車みたいだから惚れたとかそういうことは無いですよね鉄郎くん。我がクラスには北健太という男子生徒がいますが、仮に彼の親がアホで、自分の息子に「健太」ではなく「斗星」と名付けていたとしたら、性別が同じでも彼の方に惹かれてしまったりはしませんよね。「君が北斗星なら僕はカシオペアです、冬の銀河鉄道をずっと二人で走り続けましょう」とか口説き始めたりしないですよね。心配です。(←こんなこと書いてるお前の頭の中身の方が遥かに心配だよ)

 鉄郎は珍しくサクラ通りにいるようです。早速向かってみたところ、そこには高校生とおぼしき不良学生にカツアゲを受けている彼の姿が。間の悪いことに、例の貴重な「しろくに」の模型を抱えています。
 模型を安物の玩具だと勘違いしたらしく「中学生にもなってオモチャで遊んでるぜ」と嘲り笑う高校生たち。幸い、それを無理矢理奪い取って壊すほど腐った奴らではなかったようで、主人公に気付くとアッサリ立ち去ってくれました。しっかし、大事な模型を裸のまま抱えて歩くのはマニア失格ですヨ鉄ちゃん! 何かの拍子で傷がついたり埃が入ったり見る目のあるヲタに強奪されたりしたらどうするんですか!

 次ターンでも街にいた鉄郎へ再度特攻、今度はあずさから受け取った【パソコンはいらない】という伝言をきちんと伝えます。
 彼が街を歩いていたのは、質屋で模型を買い取ってもらうためでした。 馴染みの模型屋に行きゃあ買い取り手紹介してもらえたかも知れないのに 良識ある店主だったらしく、売り手が中学生なのでちゃんと取引を断ってくれたようです。
 ともかく、間一髪のところで「しろくに」を手放させずにすみました。「真心でドーンとぶつかってみます」と珍しく謝意を示してくれた鉄郎。よし、ドーンと当たって砕けて来い! 間違っても代わりのプレゼントにオレンジカードなんか選ぶんじゃないぞ!


7/6 7/7 7/8 7/9 7/13 7/14 7/15 7/18 7/19


 7月13日(火)

 放課後、職員室に高千穂誠がやって来ました。彼はなんと、家庭の事情で長野に転校することになってしまったようです。残された時間は今学期いっぱい。あと一週間しかありません。
 転校のことをクラスメートには話さないで欲しいと頼む誠。しかし、このまま事実を告げずにいたら、彼は黒部鉄郎と仲たがいしたまま別れることになってしまいます。
 ……あっ、こんな大事な時なのにカードが出てきません! どういうことだ主人公!! ここで【誠の転校】を入手して速攻で鉄郎にバラすのが問題解決への第一歩だろうが!!(←ものぐさ野郎にもほどがありますよ)

 教室にイベントサインが出ていたので向かってみると、半分開いたドアの向こうから、困惑している様子の天城あずさが見えました。一緒にいるのは、どうやら鉄郎みたいですね。
 鉄郎はあずさに誕生日プレゼントとして「しろくに」の模型を贈ることにしちゃったみたいです。いくら真心ったってそりゃあないだろ鉄! 文系の娘だってことは赤の他人だって顔見りゃ解るんだから、文芸映画の前売券とか図書カードとか色々考えようがあるだろ!

 「価値が解らないし、鉄郎君の大事にしているものを受け取れない」と、見事な社交辞令でプレゼントを断ってみせたあずさ。丸く収まりそうな気配を見せたかと思いきや、鉄郎が立ち聞きに気付いたことで、一気に風向きが怪しくなってきてしまいました。
 今、廊下には高千穂誠がいます。担任が廊下の外から盗人よろしくコソコソ教室を覗いているので、不用意にこちらへ近付いてきてしまったのです。
 どういうわけだか誠があずさと相思相愛で、彼女に片思いする自分を見下していると思い込んでいる鉄郎は、誠の姿に気付くと声を荒らげて激昂。懸命に否定する誠の言葉をろくに聞きもせず、その場を走り去ってしまいました。

 誠との【壊れた友情】をなんとか元に戻せないものかと、鉄郎を追いかけて線路へ。
 本当は鉄郎も、誠があずさのことで気を遣っていることはわかっているようです。ただ、最近はそうした気配りが目に見えて顕著になっているらしく、それが一層彼を苛立たせてしまっている様子。

 「友達ぶっていてカンに触る、別れ別れになるわけでもないのに」と思いを吐露する鉄郎。だから【誠の転校】取っとけっつったじゃねえかと怒りをぶち撒ける当方。

 ここまで追い込まれてまだ転校を秘密にしている誠にまで理不尽な不満を抱いてしまいます。心配させたくない一心で問題を隠す気持ちは解りますが、この姿勢は一歩間違うと「ヤーイ、三菱ふそう」と指差して罵られる危険を孕んだ諸刃の剣です。タイムリー・ディスクロージャーが重要視される昨今の風潮を忘れてはなりません。

 ところでイベントが発生したことからもわかる通り、あずさの誕生日は7/13。彼女だけでなく、生徒たちの誕生日はひとりひとりきちんと設定されており、メニュー画面の『プロフィール』で日付を確認することができます。
 我らがバカップルの誕生日はそれぞれ10/19と6/16。美咲の方が四ヵ月だけお姉さんですネ(悦)。
 実はコッソリ、生徒の誕生日を祝ったりプレゼントをあげたりするミニイベントを期待していた当方です。最悪の物を贈ると仰げば尊しを歌ってくれなくなったり、全員に感謝されると才能開花が可能になる生徒が居たりしたら面白そうだなあ。太陽に美咲の隠し撮り写真とかエロゲーとか週刊わたしのおにいちゃんとか贈ってすげえ嫌な顔されてみたいなあ(変態)。


7/6 7/7 7/8 7/9 7/12 7/14 7/15 7/18 7/19


 7月14日(木)

 黒部鉄郎が学校を休んでいるようです。昨日のことがあっただけに、欠席の原因が気がかりなところ。
 そこで家庭訪問に行ってみると、鉄郎を心配した高千穂誠と天城あずさが、ちょうど彼の自宅を訪ねようとしているところでした。

 現れた鉄郎は意外にも元気そう。学校を休んだのは、この春廃線になった北海道の鉄道路線跡を見に行こうとしたためだったようです。大好きな鉄道で傷心を癒そうとしたのでしょうか。絶交状態の誠と顔を合わせていても、電車の話をする時だけは表情が穏やかですね。
 電車代がないことに途中で気付いて諦めたと苦笑いする彼。お金があってもパスポートと観光ビザがないと北海道には入れないよ、などという地方差別的なブラックジョークは紳士たる当方のポリシーに反するため書きませんが(←現地の方に夕張メロン爆弾(※ラベンダーの香り)を喰らっても知りませんよ)、いかにも彼らしい話です。

 鉄郎が語る廃線歩きに興味を惹かれ「今度の日曜日にやってみないか」と提案する誠。一度は乗り気になって近所の廃線跡を紹介するかに見えた鉄郎ですが、急に言い淀んで「この近くに廃線なんかない」とそっぽを向いてしまいました。やはり、誠に対する不信感は未だ根強いようです。

 さらにこの日、教室にいた中島ヒカルを尋ねてみると、思いがけない話を聞くことが出来ました。大掃除で班分けを発表した時、鉄郎と他の生徒の間でイザコザがあったというのです。
 誠・鉄郎と同じ班に決定した雨池マミと白駒クミが「この班キモイ人がいるから嫌」と言い出したのを皮切りに、二人との交替を申し出たあずさが「好きな人がいるからこっちの班が良いんだよね」とからかわれたり、耐えかねた鉄郎があずさと班を替わってしまったりと、見るに耐えない大惨事だった模様。

 「あずささんの好きな人が僕じゃないことぐらいわかってる、それにキモイ人って僕のことでしょ」と無感動に言い放つ鉄郎の言葉があまりにも痛切です。
 本当にキモイ人は、この場でこんなことを口にできるほど強くありません。むしろ「あずささんは僕が好きだから班を替わって欲しいと思ってるんだなウヒヒ」とほくそ笑んだり、ムービー中で桧山太陽が壁を除く全ての隣接席で女子に囲まれているのに気付き、その四面楚歌っぷりにのたうち回っていたりするはずです(←後者はどう考えてもお前だけです)。

 鉄郎の心の傷は予想を遥かに上回る深いものでした。夜の河川敷で「僕にとって鉄道は神様に等しい存在です。そこに召されるのなら死んでもいい」と呟いて去っていった彼は、まさにその直後、またしても線路に飛び込もうとして大森巡査に救助されました。

 冒頭でウンザリなんて言って申し訳ありません大森巡査、って言うか自殺をほのめかすような台詞を口にした生徒をひとりで帰らせるなクソ教師!!  日本における「さよなら」の同義語が「オレ死ぬかも」であることぐらい覚えとけ! それでも国語教師か!!


7/6 7/7 7/8 7/9 7/12 7/13 7/15 7/18 7/19


 7月15日(木)

 本当に自殺しようとした黒部鉄郎のことを気にかけて、大森巡査がわざわざ学校まで訪ねてきてくれました。
 死に魅せられているような節のある鉄郎の姿から「銀河鉄道の夜」を連想したのか、巡査は近所の公園から深夜に汽笛が聞こえてくるという不思議な話をしてくれます。なんと、学校からほど近いサクラの森公園は、電車の車庫跡にできた場所だったのです。

 【車庫だった公園】の話を音楽室にいた高千穂誠に伝えると、彼はもう一度鉄郎を【廃線歩き】に誘って欲しいと頭を下げて来ました。転校前の最後の思い出に、どうしても鉄郎との思い出を作っておきたいのでしょう。

 そこで今度は校門前の鉄郎を直撃。予想通りあまり気乗りしていない様子です。が、一体いつの間にどこから見張っていたのか、誠がいきなりやってきて「こうなれば私自らが出る!」とばかりに説得を始めました。
 さっきは「僕が誘っても聞いてもらえない」と消極的なことを言っていたにも関わらず、鬼気迫るような押しと粘りで同行を承諾させる誠。転校のことを知らないため、鉄郎は誠の恐ろしいまでの情念に少々引き気味です。

 「頼むよ……!! 鉄郎……!!」ですよ。ただの「頼むよ」や「鉄郎!!」ではありません。「……!!」です。転校どころか不治の病で明日にも死にそうな勢いです。鉄郎が勘違いして「そうとも知らずに誠くんにひどいことを……僕が先に待っててやるからなあぁうわぁぁぁーん(泣)」と線路ダイブを決行してしまったらどうするつもりなのでしょうか。

 あとは運を天に任せて、日曜日の廃線歩きを待つばかり。恐らくこの日が仲直りの最後のチャンスです。楽しい一日を過ごさせてあげられれば良いのですが……


7/6 7/7 7/8 7/9 7/12 7/13 7/14 7/15 7/18 7/19


 7月18日(日)

 黒部鉄郎は約束通り公園に来てくれました。廃線歩きのメンバーは、高千穂誠天城あずさ、雨池マミ、白駒クミ、夏沢レミの三人娘……

 ってちょっと待て、よりによって誠さんはどうしてその三人組を選びましたか? 事情を説明すれば絶対来てくれそうな中島ヒカルとか、普段仲の良い白石雪也とか、皆と仲の良い月山美咲とか、彼女に引きずられてきた桧山太陽とか、最適な人材はいくらでも居たじゃないですか。

 最近鉄郎をキモイ人呼ばわりした人間を二人も連れて来ておいて「俺たち皆クラスの仲間なんだし」とすごい弁解をする誠。普段の一人称は「僕」なのに、知らずして「俺」とワルぶった呼び方をしてしまっているあたり、密かな動揺が見受けられます。鉄郎が嫌っている人間をあえて配置しておけば、その分自分の嫌われ具合が霞むと目論んだのでしょうか。こいつ優しそうな顔してすっげえ腹黒ですよ! 鉄郎気を付けて!!

 立派な一眼レフカメラで線路の跡を撮影しながら、そこがかつてどんな場所だったのかを皆に説明している鉄郎。彼の博識ぶりに感嘆しているあずさ、見慣れた公園の思わぬ一面に興味しんしんの三人組、そして 鉄郎が仲直りの隙を見せるのを虎視眈々と狙って 友達の姿を深く心に刻んでいる誠。早くも先が思いやられたものの、参加者たちは皆意外に楽しんでいるようです。

 その時、鉄郎が持っているカメラを見て、誠は記念撮影がしたいと切り出しました。
 まだ転校のことを誰にも伝えていない彼は「いつ別れるかわからないから、毎日会えるからこそ、今のうちに【思い出の写真】を撮っておきたい」と、苦しい言い訳で鉄郎を説得します。
 しかし、昨日は陥落した鉄郎も、今日は頑として首を縦に振りません。「そんな下らないことに大事なカメラを使えない」と心にもないことを言って、先に帰って行ってしまいました。あんな言い訳でお茶を濁すからだよバカ! 明日転校するから最後の思い出が欲しいって一言言えばいいだけの話じゃねえか!!

 ……ここで「あ、じゃあ俺がひとっ走り行って使い捨てカメラ買ってくるわ」とコンビニへ移動できない主人公の無能ぶりが悔やまれてなりません。行ったら行ったで、帰ってきた時には鉄郎どころか誰一人いなくなってそうなのが鬱ですが。


7/6 7/7 7/8 7/9 7/12 7/13 7/14 7/15 7/19


 7月19日(月)

 結局最後の最後までクラスメートに事実を隠したまま、長野へ出発してしまった高千穂誠
 初めて聞かされた誠の転校に、生徒たちは驚きを隠せません。中でも天城あずさのショックは大きく、そのあまりに「鉄郎くんは平気なの!? 誠くんはずっと友達だって言い続けてきたのに!」と、黒部鉄郎を強くなじり始めてしまいました。

 もちろん、鉄郎が動揺していないはずもありません。転校のことを知らなかったばかりに、誠に何度もひどいことを言って、最後の記念撮影まで拒絶してしまったのです。
 後悔と悲しみにさめざめと涙を流す鉄郎。そんな彼の背を押したのは、後ろの席から強い口調で発せられた北健太の言葉でした。

 「なに甘えてるのさ! 友達だって言ってくれる人がいるんだろ!? 羨ましいよ!!」

 あの夏(五話)に見たズッコケ三人組の美しい友情を思い返し、束の間『愛と勇気だけが友達さ』とアンパンマンに歌われたカレーパンマンや食パンマンの気分を味わってしまった当方。しかし哀愁に浸っている場合ではありません。過ぎてしまった時間は取り戻せないけれど、誠に最後の思い出を届けてあげることは、きっと可能なはずです。
 この時点で既に駅へ向かってしまっている誠。今から追いかけても間に合わないと誰もが思った時、奇跡は起こりました。

 ……そして、数時間後。長野行きの列車に揺られる誠の胸には【思い出の写真】という、諦めかけていた最高の思い出がしまわれています。
 二人の人生のレールはここで大きく別れてしまいましたが、線路はどこまでも繋がっているもの。いつかまた出会って、同じ道を歩む日がやってくるかも知れません。


 ちなみに奇跡といっても「誠が乗った電車が人身事故の影響で大幅に遅れた」等の血生臭い出来事ではありませんので安心してください。心身共に打ちのめされている時、オレンジ色の電車が来るホームの先頭に立っちゃ駄目だゼ! 当方とのお約束だゾ!?
 (↑せめて一度くらいまともな締め方はできないものか)

【 →第六話B『僕と犬の楽園』へ続く】

本日の太陽 某所にて、限りないゼロ距離で美咲と接近している貴重なショットを披露。後半は四章Aで既出のセリフばかり喋っていた二人だったが、最後の最後で当方を熱狂させる(ただし割と一瞬なので注意)。
ところでこのシーンのメンバーをよく確認すると、伊吹銀平と岩木竜二がちゃんと加わっていることがわかる。「いいヤンキーだ」と思わず心和んだ。


7/6 7/7 7/8 7/9 7/12 7/13 7/14 7/15 7/18


←前の話 →次の話

3-B生徒たちの素敵な顔アイコンは『P:Mo』様、画像素材は学校印様よりお借り受けいたしました。
Kaiketsudoh Honpo: Shigen Harubara (Storekeeper)
harubara@cmail.plala.or.jp