ネタバレ激多!!!


第九話『Tod und Madchen: Erster Teil』
←前の話 →次の話

 1月24日(月)

 巨大な満月と男声オペラの歌声を背に、自画像とおぼしき無気味な油絵を一心不乱に描き続ける男。一見ミステリアスなクールガイを装っていますが、一月下旬の真夜中に電気も点けないでウキウキ絵ェ描いてるあたりかなりのウッカリ者です。レコードが音飛びしているのに気付かず、部屋中に絵が描き散らかっていることから、ウッカリであると同時に相当だらしない性格であることが伺えます。
 今回のタイトルはドイツ語かなんかで書いてあるので意味がわかりませんが、多分『スットコ美術教師:オラまたやっちまっただ』とかそんな感じに間違いないでしょう。全く最終話も近そうだってのにこんなアホなコメディ持って来られちゃ感動が台無しじゃないですか。最後はやっぱり心温まるほのぼのストーリーで締めてもらいたいものですよネ!

 (注※この章は当方が最も大嫌いな笑いのカケラもないシリアス&サスペンス話です)

 年度末も押し迫ったこの時期に、ヒキコモリ教師として存在を忘れられていた美術の山本先生が、急に退職してしまったそうです。
 代わりにやってきたのは、先日ウイーンから六年ぶりに帰国したばかりだという、美術担当の桐谷正輝教諭。オープニングに出てきたオッチョコチョイが早速顔見せです。薄ぼんやりとした挨拶をしたかと思ったら、こちらを見て「意外な再会だな」などと薄らとぼけたことを言いはじめました。

 どうやら記憶障害の気もあるみたいです。(←嫌いなのはわかったからもうその辺にしておいてやれ)

 赴任初の朝礼で「現代的な芸術などありはしない。あるのはただひとつの芸術、永遠に続く芸術だけである。以上」と全く空気の読めてない挨拶をして周囲を引かせたミステリアスオッチョコチョイ桐谷。
 しかしそんな彼の顔を、敵意に満ちた眼差しでずっと見つめ続けている女生徒の姿があります。我が3ーBの委員長、中島ヒカル。先日まで異国にいた桐谷教諭と面識があるとは考えにくいのですが、初対面の人間に対する態度にしては、あまりにも不自然です。

 親友である月山美咲も、様子がおかしいヒカルのことをしきりに心配しています。するとそこへ、当の桐谷教諭がやってきました。
 いつものように屈託なく桐谷へ話しかける美咲を、何故かしきりに彼から遠ざけようとしているように見えるヒカル。桐谷の方は逆に親しげと言ってよい態度ですが、キャラ的に明らかに失敗しています。端から見ると下見中の人さらいにしか見えません。

 そんな 人さらい 桐谷教諭へ会いに行ってみると、彼は屋上で「下劣だ」と文句を言いながら空を眺めておりました。
 ただの記憶障害かと思いきや、彼は本当に主人公と面識があったようです。意味ありげな口調で「君は忘れてしまったかな、冬月チハルのことを」と問いかけてくる桐谷。その言葉に主人公の記憶らしきものが次々とフラッシュバックしてきました。髪の長いセーラー服の少女、フェンス越しに彼女が飛び降りる姿、葬式の風景……
 まさか冬月チハルとは、以前金八先生が話していた、六年前にクヌギ中学で飛び降り自殺をした女生徒のことなのでしょうか? 桐谷の口ぶりからして、彼がこの女生徒の自殺に大きく関わっていた可能性はかなり高いように思えるのですが……


1/25 1/26 1/27 1/28 1/31 2/1 2/2 2/3 2/4


 1月25日(火)

 主人公と桐谷教諭がクヌギ中で同時期に教鞭を執っていたことを知った社会科の神崎教諭は、その頃同校で起きた【6年前の事件】のことを覚えていました。教師の目の前で起きた女生徒の飛び降り自殺。金八先生も話していた事件です。
 今日は桐谷に続いて、中島ヒカルまで「先生は……平気なんですね」と不思議なことを言い出しました。彼女は今日も元気がありません。

 一方、月山美咲は赴任してきたばかりのミステリアスオッチョコチョイを、やけに親しげに連れ回してあちこち案内していました。桐谷もまんざらでは無さそうにフフフと変態笑いを浮かべています。アハハとかイヒヒとかもっとこう快活な笑い方はできないものなのでしょうか。
 そんな彼女に血相を変えて駆け付け、昨日と同じように桐谷教諭から引き離すヒカル。彼女の桐谷に対する警戒心、そして憎悪は相当なもの。やはり過去に何かあったとしか思えません。

 桐谷と一緒にいた時は楽しそうな様子だったのに、その後教室にいた美咲を訪ねてみると、どうもちょっと悩みを抱えているようです。仲の良い(悦)桧山太陽とヒカルが同じ高校へ進学する予定なのに、自分の学力では追いつけそうもないことで、二人に軽い嫉妬を感じている様子。

 そして、高峰教諭は桐谷教諭のことをやたらと気にかけており、昨日に引き続いて美術室へ入り浸っています。
  逢い引きでもしてるんじゃねえかと思いきや ひとりで桐谷の描いた絵を見つめていた高峰。
 一枚の自画像の前で、この絵をどう思うかと尋ねてきました。どうと言われても美的センスが欠如した当方には「カッパに似ていますね」ぐらいしか言い様がありません。
 しかし高峰には何か感じるものがあったらしく「どの絵もまるで体から心をえぐり出そうとしているかのようだ」と神妙な面持ちで語っています。そうでしょうか。どちらかというと村人から尻子玉をえぐり出そうとしているように見えるのですが。

 そういえば昨日高峰と話していた桐谷は、自分の作風がエゴン・シーレというやたらキモイ絵(主観)ばかり描いている画家の影響を受けたものだと語っていました。
 生と死を表裏一体の存在として描き続けてきたというシーレに深く心酔している様子の桐谷教諭。
 歴史に残るものを作ると、こうやって後世の人が都合の良いように解釈してくれるから良いですね。このプレイ日記も50年後まで残っていたら「軽薄な文体の中に自己矛盾の叫びと社会に対する憤りを鋭く切り開いて閉じ込めた、現代にまでも連綿と続く警鐘の響きである」とかわかったようなわからんような言葉で誉めてもらえたりするのでしょうか(間違いなくあり得ません)。


1/24 1/26 1/27 1/28 1/31 2/1 2/2 2/3 2/4


 1月26日(水)

 今日も今日とて美術室に入り浸っている高峰教諭。エゴン・シーレが家出少女を家に置いたりヤバイ絵ばかり描いていたので牢獄にぶち込まれた画家であることを説明してくれました。
 あんなヤバイ画家のファンである桐谷は変態だから気をつけろ、と遠回しに思ってでもいるのでしょうか。そんなに婉曲に忠告されなくとも、あいつは出会って5秒でわかる変態なので大丈夫です。

 重要そうなイベントキャラが軒並み出てこなくなってしまったので、仕方なく校長室へ。
 すると、校長先生がうさんくさそうな中年の男と話をしています。身なりは小奇麗なのにどこか不審なこの男は、最近近所に出来た【真学受験会】なる受験相談会社のコンサルタント・前沢だと名乗りました。
 なんでも桐谷教諭の紹介でサクラ中へ挨拶に来たらしいのですが、絵を描くことにしか興味が無さそうな彼が、なぜ生徒の進学などという事務的なことに首を突っ込んでいるのでしょうか?

 校長室を出ると、廊下で月山美咲の姿を見つけることができたので、早速【真学受験会】のことを尋ねてみました。
 すると驚いたことに、彼女は桐谷の推薦によって、この真学受験会へ入会させてもらったというのです。
 受験会へ入りさえすれば、桧山太陽中島ヒカルと同じ開栄高校へ入学できるのだとのんきに語っている美咲。しかし三流高校への進学も危うい彼女の学力で、超一流進学校である開栄に、まともな手段で入学できるはずがありません。

 この【美咲の異変】、そして桐谷の紹介でやってきた真学受験会のうさん臭さを目の当たりにして、高峰教諭は桐谷教諭への不信感をいよいよ露わにしはじめました。
 確かにおかしな話です。徹底的な洗脳教育でも行わない限り、美咲が開栄の入学試験に合格する可能性は間違いなくゼロであるはず。
 ……まさか、真学受験会は進学を餌に生徒を洗脳するカルト組織ではないでしょうか。だとしたら美咲を一刻も早く助け出さないと、大変なことになってしまいます。


1/24 1/25 1/27 1/28 1/31 2/1 2/2 2/3 2/4


 1月27日(木)

 桐谷教諭と洗脳カルト団体真学受験会(仮)に疑念を抱き、彼らと接触を持ってしまった月山美咲のことをしきりに心配している様子の高峰教諭。
 直に桐谷のもとへ乗り込み、美咲に真学受験会をやめさせろと強く迫ります。しかし、桐谷はその言葉に全く動じません。それどころか、高峰は保護者としての役目を桐谷に奪われそうなので嫉妬しているのだと卑劣な揺さぶりをかけてきました。

 エリートなので心理攻撃に弱い高峰、アッサリ負けて「目的は何だ」と逆ギレしてしまいます。それに対しても涼しい顔で「絵を描くことですよ」と答えて去っていく桐谷。
 【桐谷の目的】と真学受験会に何故か美咲を入会させたことの間に、具体的なつながりはまだ見えてきません。
 ただ、桐谷は赴任初日から、美咲のことをやけに気にかけていました。そしてそんな彼女の横には、何故か彼に対して強い敵意を抱いている、中島ヒカルの姿。まるでヒカルにあてつけるため、わざと美咲を手なずけようとしているかのように感じられます。

 仕方なく標的を桐谷から美咲に切り替えた様子の高峰ですが、こちらは桐谷以上にとりつくしまがありません。
 美咲は自分を気遣う高峰に鬱陶しさを感じているどころか、彼が美咲のために行っている補習をサボり「真学受験会に入ったからもう勉強なんてしなくていい」とまで言い出したのです。明らかに洗脳の危険な兆候。形はどうあれ、ずっと面倒を見てくれていた高峰教諭にまで背を向けるとは……!

 二人が他でもない美咲を心配しているのも知らず、ヒカルと桧山太陽が最近よく話をしていることで、彼女は一層危機感を抱いてしまっているようです。
 っていうかお前の目は節穴か美咲! 二人称からして優先順位は明らかだろ!! 某巨大掲示板風に言うなら

「美咲」>>「塩見と銀平」>>>>>(越えられない壁)>>>>>「桧山くん」であって


「美咲ちゃん」>>>>>>>(越えられない壁)>>>>>>>「中島さん」>>>(美咲あっての仲)>>>その他

 であることは火を見るよりも明らかだろうが!!!(怒)


1/24 1/25 1/26 1/28 1/31 2/1 2/2 2/3 2/4


 1月28日(金)

 昨日の玉砕にもめげず、独自に真学受験会を調査していた高峰教諭。
 彼によると、この会社は数年前に、クヌギ中学の近くで開業していた事実があったのだそうです。
 その際入会した生徒の一流高進学率は、開業一年目にしてほぼ100%。どう考えても話が上手く行き過ぎています。……やはり薬物投与やマインドコントロールによる非人道的な教育が行われているに違いありません。

 その事実を裏付けるかのように、どんどん様子がおかしくなっていく月山美咲。最近はそのせいでクラスからも孤立しがちなようで、遂に「一人になっても桐谷先生がいてくれるから平気」とまで言いはじめました。
 目を覚ませ! あんな髪うねりヒョロミステリアスオッチョコチョイ尻子玉〜ガミガミ魔王の中の人とは私のことさ〜(※サブタイトル)のどこがいいんだ美咲! 太陽の方が頭も顔も若さも5倍は上だし(主観)、ぶっちゃけた話、奴より主人公の方がまだ美形だぞ!!

 しかし美咲の変貌はそれだけにとどまりません。夜更けに繁華街を歩いていたりん子先生が、恋人同士のように腕を組んで歩いている、桐谷教諭と美咲の姿を目撃したというのです。

 …………やはり敗因は口説き文句か?「私は君を思っている、昼も夜も浸っているんだ、まるで自分を罪人のように感じながら」等の恥ずかしいことを真顔で口に出来ないと駄目なのか?…………これが「冬のソナタ」がアホみたいに流行っている現代日本における真実なのか?(当方尋常でないショック)

 帰宅すると、留守番電話に緊迫した様子の田沼教頭からメッセージが吹き込まれていました。美咲が男と二人きりで歓楽街を歩いており、未成年売春を疑われて補導されたというのです。
 さらに信じられないことに、一緒にいた男は桐谷教諭ではありませんでした。その相手は、何と……高峰教諭だったのです。


1/24 1/25 1/26 1/27 1/31 2/1 2/2 2/3 2/4


 1月31日(月)

 突然の【高峰の不祥事】に、驚きと戸惑いを隠せない職員室一同。それもそのはず、月山美咲を実の親のように親身になって世話していた高峰教諭が、彼女と淫行に及ぼうとするなど、誰が想像するでしょうか。これは絶対に何かの間違いです。

 っていうか、高峰も警察に連れて行かれるくらいなら「失礼な! 私は彼女の父親になる男だぞ!!」ぐらい思いきったことを言えなかったのでしょうか。これだからエリートは軟弱で困ります。保証期間を過ぎたS○NYの製品並です。

 これは絶対にあの男が噛んでいるはず。そう思って桐谷教諭を訪ねると、例によって見事な白ばっくれ方で、尻尾の先すら見せようとしません。
 中島ヒカルも今回の件で同じことを考えていたらしく、美術室で語気を荒くして詰め寄っています。が、「元々ああいうことする子だったんじゃないかな」と平然とした桐谷(殺)。
 しかしヒカルがさらに詰め寄ると、自分の目的はヒカルがかつてした【桐谷との約束】を果たすためだ、と短く言い残して去って行ってしまいました。
 それはやはり六年前の事件、おそらくは冬月チハルの自殺に絡んだ出来事のようです。当時はまだ十歳にも満たなかったはずのヒカルが、一体彼とどんな約束をしたというのでしょうか?

 今日から桧山太陽がマップに出て来ているので、いつもの通り最終ターンに特攻しようと思って学校内のあいさつ回りを優先させていたら、学校外(土手)にいたにもかかわらず4ターン目にいなくなってしまいました。ガーン! 受験前だから夕方を過ぎたらお家に帰らなきゃいけないんですか? そりゃあないぜ箱入り息子!

 仕方がないので図書館にいた塩見慶一郎を訪ねてみると、思いがけず興味深い話を聞くことができました。
 高峰が不祥事を起こした直後、その現場を撮影した写真が、何者かの手を通じてクラス中の携帯に送信されて来たらしいのです。
 これはもはや偶然で片付く問題ではありません。警官が現れたタイミングといい、この写真といい、不自然な点が多過ぎます。


1/24 1/25 1/26 1/27 1/28 2/1 2/2 2/3 2/4


 2月1日(火)

 昨日の轍は踏むまいと、訪ねそびれた桧山太陽へターン初めからスピード特攻。本当のことを教えて欲しいという彼に、【高峰の不祥事】をありのまま伝えることにしました。
 すると彼は、月山美咲からこんなメールが来たのだと言って、携帯電話の画面を見せてくれます。

 「高峰先生に酷い事しちゃった。もう学校に行けない。」

 太陽が訴える通り、美咲が下心や悪意を持って彼に近付いたのなら、こんなメールは書けないはず。恐らく、桐谷教諭に言葉巧みに吹き込まれたのでしょう。
 「彼女のこと酷く言う連中は大勢いるけど、僕はそんな連中と戦います!」だから【美咲を信じて】と、受験間近だというのに力強く胸を張ってくれた太陽。その姿は戦艦大和のように雄々しく立派ですが、所詮は戦艦大和ですから交戦前に沈没するのが目に見えて気の毒です。三人娘の誰か一人ぐらいには勝利できるよう、せめて波動砲を装備して臨んだ方が良いでしょう。

 この太陽の誠意を伝えるために美咲の家へ。しかし、放火犯の疑いをかけられた時でさえ彼女に笑顔を取り戻させた彼の言葉が、悲しいことにまるで届きません。
 顔も見せてもらえないまま立ち去ろうとすると、母親が「美咲の様子が変わったのは、桐谷先生という人に真学受験会を紹介してもらってからだ」と教えてくれました。
 急に高校のランクを上げると言い出したり、もう開栄高校へ合格できたも同然だと吹聴したり……太陽や高峰教諭が言っていたことと同じ違和感を、母である彼女も感じ取っていたようです。

 美咲母「やる気が出て来たみたいでよかったと思ってたんですが……」

 よかったとかそういう問題じゃないだろう!! 平均点一桁の人間が二週間そこらやる気出した程度で一流校に合格できるわけないだろうが!!!
 (注 卒業アルバム『桜』によると、私立高校の受験日は2/1〜2/7・2/24〜2/26。そもそもよく願書提出が間に合ったな…)

 謹慎処分を受けて公園でショボくれていた高峰教諭は、美咲に呼び出されてどんどん手を引かれ、ホテルの前で待ち受けていた警官に捕まったのだと語りました。
 さらにその時、美咲は何故か「ごめんなさい」と涙を流して謝ったのだそうです。
 美咲に裏切られたショックと彼女の進路が台無しになってしまった失意から、すっかり覇気をなくしてしまった高峰。今や数日前の自信に満ちた姿は見る影もありません。

 もうひとつ気になったのは、屋上で【桐谷との約束】について尋ねた時のヒカルの態度。約束などしていないときっぱり言い放つ彼女ですが、その脳裏には特別な光景が焼き付いているようです。
 他でもない六年前、冬月チハルの葬儀会場の前で、幼い彼女と桐谷教諭は一度顔を合わせていました。やはりヒカルとチハル、そして桐谷には、かつて何らかの因縁があったのです。

 葬儀場の前に立つヒカルを見て「次は……君を描こう」と呟く六年前の桐谷。
 やっぱりあの尻子玉は記憶障害だったようです。これは単なる予告であって約束ではありません。仮にヒカルが「ウン! 描いてネ!」と答えたのであれば話は別ですが、こんな頭のうねった三白眼に幼い少女が懐くなどあり得ない話です。明らかに脳内で記憶を捏造しています。コワイネー!


1/24 1/25 1/26 1/27 1/28 1/31 2/2 2/3 2/4


 2月2日(水)

  高峰の不祥事事件に隠れて、別の怪しい影がサクラ中の教員をむしばもうとしています。
 隣の3ーC担任である関原教諭が、自分のクラスの生徒を真学受験会へ紹介したところ、なんと受験会から50万円もの大金が振り込まれたらしいのです。
 振り込みの事実はもとより、50万円という大金はいくら何でも異常過ぎます。関原は単純に喜んでいますが、知らないうちに彼も犯罪の片棒を担がされているのではないでしょうか。

 月山美咲と高峰教諭の事件について話していたらしく、この日は屋上にりん子先生・中島ヒカル塩見慶一郎桧山太陽の四名が集まっていました。
 事件後に高峰から聞かされた【美咲の異変】を彼らに伝えてみたところ、ヒカルは例の不祥事が、美咲と高峰を同時に陥れるため、桐谷が仕組んだ罠なのではないかと推理しているようです。

 仮に桐谷の仕業だとして、何故彼が二人を陥れようとしたか……ですが、これは何となく見えて来ましたね。おそらく、美咲を傷つけることで彼女と親しいヒカルを間接的に苦しめ、同時に桐谷と真学受験会のことを調べていた、高峰教諭の口封じをするためでしょう。
 しかし、わからないのはヒカルにダメージを与えることによる桐谷のメリットと、彼が真学受験会に肩入れをする理由です。一体、何故そんなことを?

 さらに、サクラ中を覆う影は職員室内にとどまらず、我が3ーBの生徒たちにまで及んでいました。
 真学受験会の前で「あそこにいるの、アンタんとこの生徒じゃないかね」と大森巡査に呼び止められたのでよく見てみると、確かに単なるモブ背景かと思われた人物グラフィックの中に知った顔があります(←急にリアルな話をするんじゃないよ)。
 雨池マミ・白駒クミ・夏沢レミの三人娘に、大山太郎と岩木竜二。遠くからでも確かに彼らとわかります。いかん、このままでは美咲だけでなく、彼らまでカルト洗脳教育の犠牲になってしまう!!

 もはや当方だけの手には負えない話になってきました。やはりここ一番の頼みの綱は金八先生です。【真学受験会】のことを相談して、力になってもらうことにしましょう。
 古くからサクラ中学に在任していた金八先生は、真学受験会が数年前に隣のクヌギ中学で開業していたことを覚えていました。高峰教諭が知り合いから聞いた話は本当だったようです。

 驚いたことにその当時、真学受験会には【裏口入学の噂】が流れていました。その噂によると、受験会のみならず、クヌギ中学の教師までもがそれに関与していたらしいのです。
 そして、真学受験会とクヌギ中の教師を結びつけていたのは、またしても桐谷教諭……

 …………ああ……なるほど……裏口入学ね……

 なんか「真学受験会は生徒を洗脳して意のままに操ろうとしてるカルト組織だ」と思いックソ断言してたファンタジー思考のアホがどこかにいた気がしますが忘れてください。思い込みは誰にでもあるものです。


1/24 1/25 1/26 1/27 1/28 1/31 2/1 2/3 2/4


 2月3日(木)

 伊吹銀平塩見慶一郎が、内密の話があると声をかけてきました。
 桐谷教諭の赴任以来ずっと元気がなかった中島ヒカルのために、二人は不祥事の直後から毎日月山美咲を訪れ、高峰を陥れた理由を聞き出そうとしていたのです。そして昨日、ようやくインターホン越しに、その理由を知ることができたのでした。

 ……ここの美咲のセリフは当方が脳内抹消したい心の最悪イベント第一弾です。(怒)
 あまりにも最悪であるため、ここは慶一郎の「お前、桧山のこと好きなんじゃなかったのかよ!?」という叫びをもってイベント紹介に代えさせて頂きます。正直、彼がメインの第八話でさえ、この時ほど慶一郎と心が通い合ったことはありませんでした。

 しかし、これで高峰不祥事事件における桐谷の関与が明らかになりました。
 不祥事事件の動機を聞き出すため、美術室へ殴り込みをかける銀平と慶一郎。が、二人のドスの入った脅しにも動じない桐谷は「その美咲って子は私の気を惹こうとして嘘をついたんじゃないのかね、ふしだらな生徒の戯れ言に踊らされるとは」といけしゃあしゃあと言ってのけます。

 悔しいことに、彼の悪事を裏付ける物的証拠はどこにもありません。動機が明確でない以上、証言だけではシラを切り通されるのが関の山。「お前なんか存在自体がふしだらじゃねえかバーカバーカお前の母ちゃんデーベーソ」とショボイ負け惜しみを言うぐらいしか為すすべがないのです。

 真学受験会へ入会してしまった生徒たちは、後ろめたさを感じつつも「仕方ない、少しでもいい高校に入るためには必要なことだ」と皆開き直ってしまっていました。
 現段階でわかっている入会済の生徒は、お世辞にも頭が良いとは言えない面子。自分の実力が及ばない高校へ無理して入ったところで、よほど頑張らない限り、落ちこぼれるのは目に見えているのですが……

 そしてこの夜、美咲・高峰に続いて、遂に銀平にまで危害の手が及んでしまいました。花火職人である銀平の祖父に、取引先を使った卑劣な圧力が加えられたらしいのです。
 この圧力によって、完全に身動きが取れなくなってしまった銀平。今度桐谷に対して牙を剥けば、日本一の花火を上げる彼のお祖父さんは、二度と花火を作れなくなってしまうかもしれません。


1/24 1/25 1/26 1/27 1/28 1/31 2/1 2/2 2/4


 2月4日(金)

 伊吹銀平が戦線離脱した今、数少ない主人公の仲間となってしまった塩見慶一郎。銀平の災難を聞いていたのか、彼はたった一人で桐谷教諭を問いつめています。
 「教えてあげよう、私の秘密……というよりも、中島ヒカルの秘密を」と、勘違い人間特有の倒置法で慶一郎に宣告する桐谷。しかし話の途中でこちらの姿に気付かれてしまいました。どうやら、話の続きはまた別の場所でするようですが……

 【銀平への圧力】についてりん子先生に相談してみると、彼女は校長へ直談判するべきだと主張。高峰教諭の不祥事の件と合わせて、桐谷の犯罪を洗いざらいぶちまけようとします。
 が、昨日の項にも書いた通り、彼を告発するためには致命的に証拠が足りません。現に話を聞いた校長も教頭も、話が荒唐無稽過ぎて呆れています。
 結局「確証のない桐谷先生の悪事を暴くことより、今は生徒たちを無事に進学させてあげることの方が大事」と、あっけなく校長に言いくるめられてしまいました。

 一方、恐らくは桐谷が企む全ての騒動の中核にいると思われる中島ヒカルは、その罪の証拠を掴むために、彼と何かの約束をしたようです。
 「自画像は処分したよ、本当に描きたいモチーフが手に入りそうなのでね」と、閑散とした美術室で満足げに微笑む桐谷。


 そして、サクラ中学最悪の夜が、遂に幕を開けようとしていました。

【→ 第十話『Tod und Madchen: Zweiter Teil』へ続く】


1/24 1/25 1/26 1/27 1/28 1/31 2/1 2/2 2/3


←前の話 →次の話

3-B生徒たちの素敵な顔アイコンは『P:Mo』様、画像素材は学校印様よりお借り受けいたしました。
Kaiketsudoh Honpo: Shigen Harubara (Storekeeper)
harubara@cmail.plala.or.jp