主要枕詞一覧表 中学受験 学習用資料

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枕詞(まくらことば)

枕詞それ自体は直接の意味を持たず、ある特定の言葉を修飾し、短歌の調子を整える。

古くは実質的な意味を持っていたと考えられるが、時代が過ぎるにつれて形式化した。数は約1200語あり、音数は五音が普通だが、三音や四音、六音などのものも少数ある。

以下の表で、赤字で記した枕詞は基本としてしっかり暗記しておこう。



枕 詞 かかる語 語 義・語 源
あかねさす (茜さす) @日、昼、紫 @茜(あかね)色に照り輝く、の意から。
A君(天皇、主君、あなた、の意) A照り映えて美しい、の意から、ほめたたえる気持ちを込め、「君」にかかる。
あきづしま (あきつしま・秋津島・蜻蛉島) 大和 本来は大和(奈良県)の一地方を指したらしいが、やがて大和の国全体、さらには日本の国を指すようになった。
あしひきの (あしびきの・足引きの) 山、峰(お) 足を引きずりながら山を登る、山の裾(すそ)を長く引く、などの説があるが、未詳。
あづさゆみ (梓弓) @射(い)、射る @弓を射ることから。
※梓(あずさ)… アズサの木。材質が堅く、弓の材料として用いた。
A張る、春、引く A弓の弦を張ったり引いたりすることから。
B音 B弓を引くと音がすることから。
C末(すえ) C弓の上端を末(すえ)と呼ぶことから。
あまざかる (あまさかる・天離る) 鄙(ひな=田舎) 都から田舎を望むと、天空のもとに遠く離れていることから。
あらたまの (新玉の) 年、月、日、春 年や月、日があらたまる、の意からか。未詳。
※新玉… 掘り出されたままで、まだ磨かれていない玉。
あをによし (青丹よし) 奈良 顔料とする青土が奈良山の周辺で産出したことからか。
いそのかみ (石上・いすのかみ) 古(ふ)る、降る、振(ふ)る 奈良県天理市の石上神宮周辺にある布留(ふる)という地名と同音の語、「古る(=古くなる)」、「振る(=震わす)」、(雨や雪などが)「降る」にかかる。
いはばしる (石走る) @垂水(たるみ=滝)、滝 @石の上を激しく流れる、の意から。
A近江(おうみ) A溢水(おうみ)=激しく流れて水が溢(あふ)れる、の意から。
うつせみの (現身の) 世、代、人、命 現身(うつせみ)とは、「この世の人」の意。
かむかぜの (神風の) 伊勢(いせ) 神風(かむかぜ)とは、神の威力によって起こるという激しい風。 神風の息吹(いぶき)の「い」と同音である「伊勢」にかかる。また、イセツヒコが風を起こした伝説があることからとも言われる。
からころも (唐衣) 着る、袖、裾(すそ)、裁(た)つ 唐衣(からころも)とは中国風の衣服のことで、そこから衣服に関する語にかかる。
くさまくら (草枕) 旅、結ぶ、結ふ(ゆう) 旅先で草を結んで(束ねて)枕とし、野宿をしたことから。
さざなみや (細波や、小波や、ささなみや、ささなみの、小波の、等) @大津、志賀、古き都 @琵琶湖の南西岸あたりの旧地名などにかかる。
A波、寄る、夜 A「波」や、波が寄ることから「寄る、寄す」、同音の「夜」などにかかる。
しきしまの (磯城島の、敷島の) 大和、日本(やまと) 奈良県の磯城島(しきしま)の地に都があったことから。
しらぬい (不知火)、しらぬいの(不知火の) 筑紫(つくし) 都から「知らぬ日(多くの日数)」をかけて行く地、の意があるが、未詳。
しろたへの (白妙の) @衣、袖、紐(ひも)、袂(たもと) @白妙(しろたえ)が白い布の意であることから、衣服に関する語にかかる。
A雪、雲、波、富士、羽 A白妙が白い布の意であることから、白いものにかかる。
そらみつ (そらにみつ) 大和 ニギハヤヒノミコトが空飛ぶ船に乗って大和の国を見下ろしたことからとする説があるが、未詳。
たかてらす (高照らす) 高く照りたまう、の意から。
たまきはる (玉きはる、魂極る、等) 命、世、昔 魂(たま)が極まる(果てる)、の意からか。未詳。
たまのをの (玉の緒の) @長き、短き 玉の緒は「玉を貫いた緒(=ひも)」のことで、その長短から。
A乱る、絶え、継ぎ 玉の緒が乱れたり、切れたり、また、それをつないだりすることから。
たらちねの (垂乳根の、足乳根の) 母、親 乳房が垂れた、母乳が満ち足りた、などの解釈があるが未詳。
ちはやぶる (千早振る) @神、わが大君、社(やしろ) @神が威力を発し、すさまじく荒々しい、の意から「神」や神に関する語にかかる。
A宇治、氏 A「勢い」という意味の「うぢ」と同音の地名である宇治にかかる。
ぬばたまの 黒、夜、夕、月、夢 「ぬばたま」とは「ヒオウギ」という草のことで、その実が黒いことから、黒や夜に関する語にかかる。
ははそはの (ははそばの、柞葉の) 柞(ははそ)とはナラやクヌギなどの植物のこと。最初の二音が同音であるため、「母」にかかる。
ひさかたの (久方の) 天(あめ・あま)、雨、月、雲、光、都 「日射す方」の意か。天空に関する語にかかる。
ほのぼのと 明かし、明石 ほのぼのと明るくなるという意から、「明かし」、また、同音の「明石」にかかる。※「古典解釈シリーズ 文法全解 古今集 1988年版による」
もののふの (武士の、物部の) @八十(やそ)、氏、宇治、 @武人や官人を意味する武士(もののふ)は人数や氏が多いことから。
A矢、弓削(ゆげ=弓作り、弓職人) A武人は武具(弓)を携えていることから。
ももしきの (百敷の、百磯城の) 大宮(おおみや) 多くの石を畳み築いた建物、の意から「大宮」にかかる。
やくもたつ (八雲立つ、八雲刺す) 出雲(いずも) 多くの雲の立ち上る出雲の国、の意から。


補足:五音以外の枕詞
枕 詞 かかる語 語 義・語 源
※三音の枕詞
 千葉の(ちばの)
葛野(かどの) 多くの葉が茂る、の意か。葛(かずら=つる草)には葉が多いことから、「葛野(かどの=京都の地名)」にかかる。

例歌:「千葉の葛野を見れば百千(ももち)だる家庭(やにわ)も見ゆ国の秀(ほ)も見ゆ」(『古事記』応神天皇)… 葛野を見渡すと、人里にたくさんの家々が見える。国が優れていることもまた見える。
※四音の枕詞
 春日の(はるひの、はるびの)
霞(かすみ) 春の日には霞(かす)むことから、同音を含む地名「かすが」にかかる。この枕詞によって地名「かすが」に「春日」を当てるようになった。
※四音の枕詞
 味酒(うまさけ)
@鈴鹿(すずか)、餌香(えか)
A三輪(みわ)
うまい酒、おいしい酒の意。
@美酒の産地「鈴鹿(すずか=三重県)」「餌香(えか=大阪府)」にかかる。
A神酒(みき=神に供える酒)を古くは「ミワ」と言ったことから、同音の地名、「三輪(みわ)」にかかる。
※六音の枕詞
 桜麻の(さくらあさの)
※五音で「さくらをの」とも読む
苧生(おう) 桜麻(さくらあさ)は雄麻(おあさ=麻の雄株)の異名。苧生(おう=麻畑)にかかる。