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■中学受験 学習用資料

俳句の基本

俳句とは
・俳句は「五・七・五」の十七音で詠(よ)まれる世界で最も短い定型詩です。季語(季節を表す語)を一つ必ず読み込む決まりとなっており、江戸時代に松尾芭蕉によって大成されました。

〈例〉
・古池や 飛びこむ 水の音(松尾芭蕉) ※季語は蛙、季節は春
※句の意味は、「静かな、ひっそりとした古池に佇(たたず)み、しみじみとした情趣に浸(ひた)っていた。と、その時、一匹の蛙(かえる)が池に飛び込む小さな音が聞こえた。辺りの静けさを破ったその一瞬の水音がした後には、以前にもまして深い静寂の世界が広がったことだ。」です。

(かわず)について…「蛙」は春先に冬眠から覚め、最初の繁殖期を迎えて盛んに鳴くことから春の季語とされている。また、春先にその年初めて目にする蛙を「初蛙(はつかわず)」といい、これが蛙の季語を春とする由来となっているとする説もある。ただし、「青蛙(あおがえる)」や「雨蛙(あまがえる)」は夏の季語なので注意。
定型詩…五音や七音など、一定の音数で組み立てられた詩。
※併せて『詩の種類と表現技法』をご参照ください。

構成要素
五・七・五の各句を「初句」「二句」「結句」と呼び分けます。また、それぞれを「上五、または初五」、「中七」、「下五、または座五」などといった呼び方をする場合もあります。

音数の数え方
「音数」は文字を平仮名に改めて数えます。

〈例〉
・立身出世(りっしんしゅっせ)…七音(り・っ・し・ん・しゅ・っ・せ)
・ジャッキー・チェン… 六音(じゃ・っ・き・い・ちぇ・ん)
(1)拗音(ようおん):「きゃ・しゅ・ちょ」などは一音で数える。
(2)特殊音(とくしゅおん):外来語に由来する「ファ・トゥ・シェ」などは一音で数える。
(3)促音(そくおん):小さな「っ」は一音で数える。
(4)撥音(はつおん):「ん」は一音で数える。
(5)長音(ちょうおん):「ー」は一音で数える。また、「おかさん」の「あ」や「おねさん」の「え」なども長音としてやはり一音で数える。(オカーサン・オネーサンに同じ)
※(1)、(2)、(3)、(4)、(5)の五種全ての音が含まれている「ジャッキー・チェン」の語で音数の数え方をしっかりと確認しておこう。「ファッションショー」の語でもいいですね。

破調
音数が十七音を越える場合は「字余り」、不足する場合を「字足らず」といいます。「字余り」や「字足らず」のように音数に多少が出ることを「破調(はちょう)」といいます。

字余りの例
・目には青葉 山ほととぎす 初がつを(山口素堂)
※「六・七・五」の十八音で詠まれている「字余り」の句です。句の意味は、「目には染(し)み入るような青葉の色がすがすがしく、耳には爽(さわ)やかなホトトギスの声を耳にしながら、口には初物(はつもの)の生き生きとした鰹(かつお)を賞味できる、すばらしいこの初夏を迎えたことだ。」です。
字足らずの例
・兎(うさぎ)も片耳(かたみみ)垂(た)るる大暑(たいしょ)かな(芥川龍之介)
※「四・七・五」の十六音で詠まれている「字足らず」の句です。句の意味は、「鬱陶(うっとう)しい梅雨が終わったかと思えば、今は日照り激しい酷暑の時節を迎え、兎の片耳さえ力が入らず垂れ下がるほどの、うだるようなその暑さであることだ。」です。

「五・七・五」の定型をわざと「七・七・五」や「五・五・七」のように変えて詠む「破調」もあります。

〈『七・七・五』の破調例〉
・冬の浅間は 胸を張れよと 父のごと(加藤楸邨)
「ふゆのあさまは・むねをはれよと・ちちのごと(七・七・五)」とすることで、浅間山の堂々とした姿や作者の厳粛な心持ちがいっそう強く心に染み渡ってきます。句の意味は、「寒風(かんぷう)吹きすさぶ中、雄大に、そして毅然(きぜん)と立ち聳(そび)える冬の浅間山(あさまやま)は、たくましくあれ、胸を張って生きよと、私を励(はげ)ましてくれる。まるで父親のように。」です。
〈『五・五・七』の破調例〉
・海暮(くれ)て 鴨(かも)の声 ほのかに白し(松尾芭蕉)
※「うみくれて・かものこえ・ほのかにしろし」とすることで、冬の海の澄んで寒々とした空気や、鴨の声を心に描きつつ耳を傾ける芭蕉の落ち着いた心持ちといったものがしみじみと醸(かも)し出されます。「海暮れて・ほのかに白し・鴨の声(五・七・五)」とした場合と比べて印象の違いを比べてみましょう。句の意味は、「日が暮れて暗くなった冬の海辺にいると、沖合いからほのかに鴨(かも)の鳴く声が聞こえてくる。夕闇のため姿は見えないが、じっとその声に聞き入っていると、この寒々とした海辺に響く鴨の鳴き声までがほの白く感じられることだ。」です。

句切れ
文としての意味が途切れる所を「句切れ」といいます。最初の五音で意味的な切れ目となる場合を「初句切れ」、七音までで意味が切れる場合を「二句切れ」、そして、句全体で一文として構成されている場合を「句切れなし」といいます。一般には「マル(句点)が打てる所が句切れ」といった基準が提示されますが、そもそもどこにマルが打てるかの判断が小学生には困難な場合が少なくないようです。やはり句の意味を考え、感じ、味わうという本来の学習を疎(おろそ)かにしてはいけません。

〈例〉
(1)初句切れ:閑(しず)かさや。/岩にしみいる 蝉(せみ)の声(松尾芭蕉)
(2)二句切れ:柿食へば 鐘(かね)が鳴るなり。/法隆寺(正岡子規)
(3)句切れなし:遠山(とおやま)に 日の当たりたる 枯野(かれの)かな。/(高浜虚子)

※中には初句の途中や二句の途中、あるいは結句の途中で切れている「中間切れ」の句もあります。

〈例〉
(1)上五(初句)の中間切れ:寒(さむ)や。/吾(わ)がかなしき妻を 子にかへす(石田波郷) 
(2)中七(二句)の中間切れ:やせ蛙負けるな。/一茶これにあり(小林一茶)
(3)下五(結句)の中間切れ:算術の少年しのび泣けり。/夏(西東三鬼)

切れ字
かなけり」などの語のことで、次の大切な二つの働きがあります。
(1)感動の集中を表す。
(2)そこで「句切れ」となる。

〈例〉
・古池や 飛びこむ 水の音
※この句では、「古池や」の部分(初句)に、「古くて静かな池であることだよ…」といった、しみじみとした「感動」が込められています。また、意味上も初句で切れるので、「初句切れ」となります。
※「切れ字」には「かな・けり・や」以外にも多くの種類があります。基本として「かな・けり・や」の三種を覚えたら、他の主要な切れ字を含め、「かな・けり・や・ぞ・たり・なり・よ・か・も・し」のように順に並べ、リズムよく声に出して読んで覚えてみてください。

季語
・俳句は季節感の文学ともいわれ、俳句を味わうには何よりも季節をとらえることが大事です。春、夏、秋、冬の季節を表す言葉が季語で、それぞれの季語がどの季節に属するかは約束によって定められています。 また、短歌には季語を詠み込むという決まりはありませんが、俳句には季語を必ず一つ詠(よ)み込むのが作法となっています。

〈例〉
・旅に病んで夢は枯野(かれの)をかけめぐる(松尾芭蕉:元禄七年(1694年10月8日)
※季語は枯野、季節は冬。
※句の意味は、「九州への旅の途中、大坂(大阪)で病床に臥(ふ)してしまった私だが、夢に見るのは、今なお旅人として寂(さび)しい枯野(かれの)の中を颯爽(さっそう)と旅し流離(さすら)う、私自身の姿であったことだ。」です。松尾芭蕉が亡くなる四日前に詠んだ、彼にとって生涯最後の句です。

※季語は「季題」ともいいます。
新年の季語… 春の季語の中で「元旦」「初日の出」「若菜」「賀状」「鏡もち」などの景物を特に「新年の季語」と分類する場合があります。以下の一覧表ではこの分類に従いました。
歳時記(さいじき)… 俳句で用いられる季語を季節ごとに分類し、解説と例句を添えた書物のことです。「俳句歳時記」「季寄せ(きよせ)」などとも呼びます。
季重なり(きかさなり・きがさなり)… 「季重ね(きかさね・きがさね)」ともいいます。一句に季語を一つだけ詠み込むのが俳句の作法ですが、二つ以上の季語を詠み込んだ場合、これを季重なり(季重ね)といいます。季節特有の風物を表す季語を複数用いると季節感がぼやけてしまうので、これを嫌います。季重なりとなっている場合は、特にその句の主題(感動の中心)となっているほうを季語としてとります。

〈例〉
・啄木鳥(きつつき:)や落葉(おちば:)をいそぐ牧の木々
※句の意味は、「すがすがしい晩秋の高原の牧場に、啄木鳥(きつつき)がせわしなく幹をつつく音が響いている。牧場の木々は、まるで冬支度を急いでいるかのように、あわただしく葉を散らしてゆく。」です。
※落ち葉散りゆくさびしい晩秋の高原に、まるで冬への移り変わりを急かすかのようにせわしなく響きわたる啄木鳥の幹を叩く音。そこに過ぎゆく秋を惜しむ作者のしみじみとした気持ちが込められていますから、主題となる季語は「啄木鳥」となります。「啄木鳥」に切れ字の「や」が用いられていることも手がかりとなります。

※「落ち葉(秋)」や「つばめ(春)」「虫(秋)」など、季節の境目に当たる風物は特に小学生にとっては判断に迷う場合が多い。日がな一日机に向ってばかりいるのではなく、普段から季節の移り変わりやその風物にも関心を持ち、人と人との関わりを大切にし、視野を広げ、世の中の動きにも目を向け、感じ、考える姿勢が大切です。それこそが本当の意味での勉強だと言えます。

無季自由律
・正岡子規の没後、自然主義の影響を受け、季語を無視し、従来の五七五の定型に制約を受けず自由な音律で制作しようとする新形式を河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)が試みました。この新傾向運動は碧梧桐の門下である荻原井泉水(おぎわらせいせんすい)らによっても進められ、明治末年の口語自由律俳句の運動へと繋がります。口語自由律俳句の運動は、瞬間の印象や情緒を直接口語で表現しようとしたものでしたが、形式上の変革が急であったため、尾崎放哉(おざきほうさい)、種田山頭火(たねださんとうか)らが活躍した大正から昭和初期以降は大衆化しないうちに衰退していきました。

〈例〉
(1)犬よちぎれるほど尾をふってくれる(尾崎放哉)
※句の意味は、「犬よ、孤独な私を迎えるように、精一杯尾を振ってくれている。ちぎれるほどに、喜んでこの私のために尾を振ってくれている。」です。定型を無視し、季語も用いられていません。
(2)咳(せき)をしても一人(尾崎放哉)
※句の意味は、「部屋で「ごほん、ごほん」と咳(せき)をした。しかしその咳の音は、部屋の中の静寂(せいじゃく)にたちまち飲み込まれてしまった。誰がこの私を心配してくれるでもない、たった一人私だけがいるこの部屋の、恐ろしいほどの静寂の中に。」です。「咳」は冬の季語ですが、作者はこれを季語として作品に用いているわけではありません。

俳句の数え方
俳句の作品は一、二と数えます。短歌の場合は一首、二首と数えるので、間違えないようにしよう。

短歌と俳句の違い
・和歌に「長歌」という詩形があり、それに対する詩形が「短歌」です。短歌は「五・七・五・七・七」の三十一音で詠まれる日本古来の定型詩で、俳句や川柳、狂歌などの原型となりました。奈良時代に編纂(へんさん)された『万葉集』には多くの優れた作品が収められています。俳句には季語を一つ必ず詠み込むという決まりがありますが、短歌にはそのような決まりはありません。

〈例〉
・あをによし 奈良の都は咲く花の にほふがごとく 今盛りなり(小野老:おののおゆ)
※歌の意味は、「奈良の都、平城京は、咲く花が色美しく照り映(は)えるように、今やまことに繁栄(はんえい)の極(きわ)みであることだ。」です。

※長歌とは、「五・七・五・七…」を何度か繰り返し、最後に「七で結ぶ」詩形のことです。
※併せて『短歌の基本・枕詞一覧表』をご参照ください。


季語と旧暦
・季語は昔使われていた旧暦(太陰暦、陰暦)をもとに分類されています。旧暦は月の満ち欠けによって日を決め、満月の日を十五日とした昔の暦です。現在採用されている新暦(太陽暦、陽暦)は地球が太陽の周りを一周する時間、365日を一年とするもので、明治六年(1873年)に採用されました。
「立春」とは「春の始まる日」という意味で、旧暦で立春は一月の初めにあたりましたから、春の始まりの月は一月です。同様に夏は立夏を迎える四月から、秋は立秋を迎える七月から、冬は立冬を迎える十月からということになります。
※旧暦での立春は約30年に一度だけ旧暦1月1日と重なるが、ほとんどの年は元旦と重ならない。
・ちなみに新暦では立春が二月四日ごろ、立夏は五月六日ごろ、立秋は八月八日ごろ、立冬は十一月八日ごろですから、旧暦と違い春は二月から、夏は立夏を迎える五月から、秋は立秋を迎える八月から、冬は立冬を迎える十一月からとなります。
・ただし、厳密には立春の前日である節分(2月3日頃)までが冬であり、「節分」は冬の季語となります。以下、立夏の前日である5月4日頃までが春、立秋の前日である8月6日頃までが夏、立冬の前日である11月6日頃までが秋です。梅雨が明けて間もなく小学生たちは夏休みに入り、気候的には夏の盛りを迎えるわけですが、夏休みの中頃(8月7日頃)にはもう暦のうえでの秋を迎えることになります。

俳句の季語は旧暦をもとに分類されており、新暦とは約1か月のズレ(遅れ)がありますから、今の感覚ではとらえにくいものがあり、注意が必要です。たとえば「七夕」は七月の行事ですが、旧暦では七月は秋の始まりの月でしたから、秋の季語となります。
・同じ春の季語でも「元旦」や「初夢」などと「茶つみ」や「八十八夜」などとは三か月近くも時期が離れており、陽気に相当の差があります。「梅」の花も「桜」の花に先立って咲きますから、季節の移ろいをも念頭に季語の学習を進めるとよいでしょう。

旧暦と新暦新暦明治6年1月1日となったのは旧暦明治5年12月2日の翌日でした。よって、旧暦明治5年12月3日から12月30日の28日間は存在しません。月の満ち欠けをもとにした旧暦では一年が354日となり、新暦より11日少なくなります。三年で33日も少なくなりますから、三年に一度、「閏月(うるうづき・じゅんげつ)」を入れて調整しました(閏月の挿入は19年に計7回)。閏月とは、季節と日付を合わせるために、三年に一回付け加えた特別の月のことで、つまり、閏月のある年は一年が13か月あったということです。ちなみに東京オリンピックが開催される2020年には旧暦四月が二回繰り返されます。新暦2020年4月23日(木)は旧暦4月1日に当たりますが、旧暦四月が終わる日の翌日(新暦5月23日(土))には続けて「閏四月(うるうしがつ)」が始まります
※参考サイト:
旧暦カレンダー(2020年5月)


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季語一覧表

※季語は季節ごと、五十音順に並べてある。
赤字のものは模試や入試で狙われやすい季語。
※併せて『俳句の通釈集』もご参照ください。

新年の季語
 生き物 初雀(はつすずめ)、初鶏(はつとり)
 植物 なずな、福寿草(ふくじゅそう)、若菜(わかな)
 気象・天文など 初日(はつひ)、初日の出
 行事・生活など 賀状門松鏡開き鏡もち書初め元日元旦こま、新春、新年双六(すごろく)、雑煮(ぞうに)、年玉(としだま)、羽子板(はごいた)、初春、初富士、初詣(はつもうで)、初夢羽根つき松の内
■語意(五十音順)
・鏡開き(かがみびらき):正月に供えた鏡もちを割って汁粉(しるこ)などに入れて食べる行事。
・初雀(はつすずめ):元日の朝のすずめ。また、その鳴き声。
・初鶏(はつとり):元日の朝にいちばん早く鳴くにわとりの声。
・松の内(まつのうち):正月の松飾りのある元日から7日までの期間。
・若菜(わかな):初春に生えるやわらかで新鮮な食用の草。


春の季語
 生き物 うぐいす(かえる、かわず)、雀の子(ちょう)、つばめ(つばくらめ、つばくろ)、蜂(はち)、雲雀(ひばり)、若鮎(わかあゆ)
 植物 、木の芽、草の芽、桑(くわ)、桜草、すみれ、すみれ草たんぽぽ土筆(つくし)、つつじ、椿(つばき)、菜の花花=桜、芽吹く、桃の花、柳(やなぎ)、山吹(やまぶき)、よもぎ、若草
 気象・天文など 暖か、淡雪(あわゆき)、うららか、おぼろ月、陽炎(かげろう)、かすみ、風光る、東風(こち)、残雪(残る雪)、菜種梅雨(なたねづゆ)、なだれ、のどか、花曇り、花冷え、春一番春雨(はるさめ)、水温(ぬる)む、山笑う雪解け余寒(よかん)
 行事・生活など  朝寝(あさね)、遠足卒業田打ち、凧(たこ)、種まき、茶つみ、つみ草、苗代(なわしろ)、入学試験、野焼き、畑(はた)打ち八十八夜花見彼岸(ひがん)、桃の節句、ひな(ひな人形)、ひな祭り、麦踏み、山焼き
■語意(五十音順)
・朝寝(あさね):朝遅くまで寝ていること。朝寝坊。
・淡雪(あわゆき):泡(あわ)のように軽くて溶(と)けやすい雪。
・陽炎(かげろう):日光で熱せられた地面から炎のようにゆらゆらと空気が立ち上る現象。
・かすみ:遠方の景色が霧などでかすんで見える現象。
・風光る(かぜひかる):暖かな日差しを受けた若葉がそよ吹く風に吹かれて翻るたびに、きらきらと光るように見えるさま。また、そのようなさわやかな季節のたとえ。
・蛙(かえる・かわず):古来より蛙の鳴き声は多くの詩歌に詠まれてきた。春先に冬眠から覚め、最初の繁殖期を迎えて盛んに鳴くことから春の季語とされている。また、春先にその年初めて目にする蛙を「初蛙(はつかはづ)」といい、これが蛙の季語を春とする由来となっているとする説もある。

※「古池や蛙飛び込む水の音(松尾芭蕉)」については、各務支考(かがみしこう:芭蕉の門人)の『葛(くず)の松原』によると、「『弥生も名残おしきころ(旧暦三月下旬)』だったように思うが、蛙が水に落ちる音がしばしば聞こえるので、(中略)、まず「蛙飛びこむ水のおと」という下二句が着想され、それに榎本其角(えのもときかく:芭蕉の門人。のち宝井其角:たからいきかく)が『山吹や』を初五に添えるよう提案したところ、芭蕉はそれを採用せず、結局『古池や』と定めた」と、その制作過程が記録されている。
※蛙を扱った句には他に小林一茶の「やせ蛙まけるな一茶これにあり」がある。これは一茶が旧暦四月二十日(新暦では5月)に現在の東京都足立区竹の塚に赴き、「蛙たたかひ」を観戦した際の句である。旧暦四月は季節としては既に夏に入っているが、季語としては「(やせ)蛙」を「春の季語」としてとる。
※蛙たたかひ(かえるたたかい):一匹の雌を争って多くの雄が争う習性を利用し、蛙を持ち寄り争わせ、その争いの勝敗に金銭を賭けて楽しむ遊び。


・東風(こち):春の東寄りの風。春風。
・雀の子(すずめのこ):春に卵からかえったばかりのすずめのひな鳥。
・田打ち(たうち):田植えに先立って、田の土をすき返す(掘り起こす)こと。
・菜種梅雨(なたねづゆ):菜の花の咲く頃に降り続く雨やぐずつく天気。
・苗代(なわしろ):稲の種子をまいて苗(発芽して間もない植物)を育てる水田。
・八十八夜(はちじゅうはちや):立春(旧暦1月初旬)から数えて八十八日目の日。新暦では5月1日か2日。種まきの適期とされる。語意は、八十八夜を最後として、以後は霜の被害は無いということ。
・花曇り(はなぐもり):桜の花の咲くころ、空が薄(うす)く曇っていること。
・春一番(はるいちばん):立春を過ぎて、その年初めて吹く強い南風。
・彼岸(ひがん):春分の日(春の半ば)、秋分の日の前後三日を含めた七日間。
・麦踏み(むぎふみ):麦の根の張りを強くするために、麦を足で踏むこと。
・山笑う(やまわらう):春の芽吹(めぶ)き始めたはなやかな山の感じをいう。笑う山ともいう。
・余寒(よかん):立春のあとも残る寒さ。
・若鮎(わかあゆ):春に川をさかのぼる、若い元気な鮎。


夏の季語
 生き物 青がえる、雨がえる、(あゆ)、(あり)、うなぎ、かたつむり、かぶと虫金魚黄金虫(こがねむし)、せみはえほたるほととぎす、みみず、めだか
 植物 青葉紫陽花(あじさい)、あやめ、いちご、卯(う)の花、うり、早苗(さなえ)、菖蒲(しょうぶ)、新緑たけのこ、なす、葉桜(はざくら)、万緑(ばんりょく)、ひまわり牡丹(ぼたん)、ゆり、若葉
 気象・天文など 秋近し、暑さ、風かおる(風薫る)(かみなり)、雲の峰(みね)、薫風(くんぷう)、五月(さつき)晴れ五月雨(さみだれ)、涼風(すずかぜ)、涼しい梅雨(つゆ)、梅雨明け、虹(にじ)、西日(にしび)、入梅(にゅうばい)、日盛(ひざか)り、夕立、夕なぎ、夕焼け
 行事・生活など  青田、うちわ、扇(おうぎ)、川開き、帰省(きせい)、行水(ぎょうずい)、金魚売り、草取り、こいのぼりころもがえ田植え端午(たんご)、端午の節句、登山、土用(どよう)、土用波、初鰹(はつがつお)、花火、日傘(ひがさ)、昼寝、風鈴(ふうりん)、吹き流し(こいのぼり)、短夜(みじかよ)、麦刈(むぎか)り、麦(むぎ)の秋 麦秋(むぎあき、ばくしゅう)、虫干し、山開き、浴衣(ゆかた)
■語意(五十音順)
・風かおる(かぜかおる):初夏の青々とした草木を渡って風がさわやかに吹くさま。
・雲の峰(くものみね):入道雲。
・薫風(くんぷう):初夏に若葉の香りを運ぶ快い風。
・早苗(さなえ):苗代(なわしろ:稲の苗を育てる水田)から田に植えかえるころの稲の苗。※苗(なえ)・・・発芽して間もない植物
・五月雨(さみだれ):梅雨。
・端午(たんご):菖蒲(しょうぶ)やよもぎを軒(のき)に飾り、ちまきや柏餅(かしわもち)を食べ、鯉(こい)のぼりを立て人形を飾り、男子の成長を祝う。
・端午の節句(たんごのせっく):菖蒲(しょうぶ)やよもぎを軒(のき)に飾り、ちまきや柏餅(かしわもち)を食べ、鯉(こい)のぼりを立て人形を飾り、男子の成長を祝う。
・土用(どよう):立秋前の十八日間。暑さがもっとも厳しい時期。
・土用波(どようなみ):夏の土用の入り(7月20日頃)が過ぎた時分に、太平洋岸に現れる大波。南方洋上数千㎞の遠方にある台風によるうねりが海岸に到達したもの。
・葉桜(はざくら):花が散り若葉が出たころの桜。
・初鰹(はつがつお):五月ごろ、その年でいちばん早くとれるかつお。
・吹き流し(ふきながし):端午の節句に鯉のぼりとともに飾る、竿の先に細長い布を数本付けて風になびかせるもの。また、鯉のぼりそのものをいう。
・万緑(ばんりょく):あたり一面が草木の緑で覆(おお)われていること。
・短夜(みじかよ):夏の短い夜。
・麦の秋(むぎのあき):麦が熟し、刈(か)り入れをする初夏のころ。「秋」には「穀物の実ること、実り」の意がある。
・タなぎ(ゆうなぎ):タ方、海辺で昼の海風(かいふう)と夜の陸風(りくふう)とが交代するとき、しばらくの間風がやむこと。(「朝なぎ」は朝、海辺で夜の陸風と昼の海風とが交代するときの一時的な無風状態で、やはり夏の季語。)


秋の季語
 生き物 赤とんぼ、いなご、馬肥(うまこ)ゆる、かまきり、(かり)、啄木鳥(きつつき)、きりぎりすこおろぎ、鮭(さけ)、さんま、鹿(しか)、鈴虫(すずむし)、とんぼばった、ひぐらし、渡り鳥
 植物 朝顔、いちじく、(かき)、、きのこ、桐一葉(きりひとは)、(くり)、鶏頭(けいとう)、すいかすすき、つた、どんぐり、なし、野菊(のぎく)、(はぎ)、花畑(はなばたけ)、彼岸花(ひがんばな)、ぶどう、ほおずき、松たけ、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)、紅葉(もみじ) 、桃(もも)の実、りんご
 気象・天文など 朝冷(あさび)え、天の川稲妻(いなずま)、いわし雲、霧(きり)、さわやか、残暑(ざんしょ)、(つゆ)、流れ星、野分(のわき)=台風、冷(ひ)ややか、星月夜(ほしづくよ)、三日月(みかづき)、名月・明月、夜寒(よさむ)、夜長(よなが)、流星(りゅうせい)
 行事・生活など  十六夜(いざよい)、稲刈り運動会、案山子(かかし)、刈田(かりた)、障子(しょうじ)はり、十五夜(じゅうごや)、相撲(すもう)、七夕(たなばた)、月見、二百十日(にひゃくとおか)、墓参(はかまい)り、星祭(ほしまつ)り、盆踊(ぼんおど)り、迎(むか)え火
■語意(五十音順)
・十六夜(いざよい):旧暦十六日の夜の月。「いざよい」は「ためらうこと」の意味で、満月(十五日)の翌晩は月の出がやや遅(おそ)くなり、「月がためらうようになかなか出ない」ことからこの名がある。
・馬肥ゆる(うまこゆる):秋になって、馬が肥(こ)えてたくましくなる。
・桐一葉(きりひとは):桐(きり)の葉が一枚落ちるのを見て、秋の訪れを知ること。
・十五夜(じゅうごや):旧暦八月十五日の夜。満月の夜。古来、名月をめでて月見をする。また、旧暦十五日の夜。
・障子はり(しょうじはり):夏は暑いので障子を外しているが、秋となり朝夕寒くなると障子の汚れや破れが気になり、きれいに張り替えることから。
・二百十日(にひゃくとおか):立春(旧暦1月初旬)から二百十日目の日。新暦では9月1日前後。このころ(旧暦8月)から台風がよく来るので注意を喚起(かんき)する日。稲(いね)の開花期と重なるので、二百二十日(にひゃくはつか)とともに厄日(やくび)とされる。
・野分(のわき):野の草を吹き分ける風の意。ニ百十日、二百二十日頃の台風のこと。または秋から冬にかけて吹く激しい風。「のわけ」とも言う。
・星月夜(ほしづくよ):星が輝いて月が出ているように明るい夜。
・星祭り(ほしまつり):七タ祭り。


冬の季語
 生き物 うさぎ、牡蠣(かき)、(かも)、寒雀(かんすずめ)、鷹(たか)、千鳥(ちどり)、(つる)、白鳥、ふぐ、ふくろう、水鳥、鷲(わし)
 植物 落葉(おちば)、枯れ尾花(かれおばな)、枯れ木、枯野(かれの)、枯葉(かれは)、寒椿(かんつばき)、さざんか水仙(すいせん)、大根大根引き、人参(にんじん)、ねぎ、白菜、みかん
 気象・天文など 霰(あられ)、息白し、オリオン(座)、北風、氷、木枯(こが)らし小春(こはる)、小春日(こはるび)、小春日和(こはるびより)、寒さ、時雨(しぐれ)、(しも)、霜(しも)柱、短日(たんじつ)、冷たい、つらら、初雪、山眠る、雪、流氷(りゅうひょう)
 行事・生活など 大晦日(おおみそか)、重ね着、風邪(かぜ)、火事、こたつ、七五三障子(しょうじ)、除夜(じょや)、師走(しわす)、スキー、スケート、すすはらい、(すみ)、炭火(すみび)、(せき)、節分(せつぶん)、たき火、竹馬、足袋(たび)、 手袋(てぶくろ)、年の暮れ、火鉢(ひばち)、麦まき、雪見(ゆきみ)
■語意(五十音順)
・枯れ尾花(かれおばな):枯れすすき。
・寒雀(かんすずめ):寒中(冬の寒さの厳しい期間)のすずめ。
・寒椿(かんつばき):寒中(冬の寒さの厳しい期間)に咲くツバキ。
・小春(こはる):晩秋から初冬にかけて現れる、暖かく穏(おだ)やかな晴天。
・小春日和(こはるびより):晩秋から初冬にかけて現れる、暖かく穏(おだ)やかな晴天。
・時雨(しぐれ):晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする雨。
・障子(しょうじ):冬は障子を閉め切って風や寒さを防ぐことから。元来は、障子(さえぎるもの)の意で襖(ふすま)も含めて障子と呼んでいた。扉を閉じたまま採光できる機能や防寒機能を併せ持つことにより、平安時代に明障子(あかりしょうじ)として襖(ふすま)から分離し普及した。
・除夜(じょや):大晦日(おおみそか)の夜。
・師走(しわす):十二月の古称。
・節分(せつぶん):立春の前日。夜、鬼払いの豆まきなどをする。暦(こよみ)のうえではこの日までが冬で、翌日の立春からが春になる。
・山眠る(やまねむる):冬の山がひっそりとしていて、深い眠りに入るように見える姿をいう。眠る山ともいう。
・流氷(りゅうひょう):寒帯(かんたい)地方の海氷(かいひょう)が割れて流れ出し、海上を漂(ただよ)っているもの。