中学受験専門 国語プロ家庭教師(東京23区・千葉北西部)

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■選択問題の判別法

・選択肢の判別問題において、解答者を誤答に誘導するために作問者がよく用いる手法の一覧です。子どもたちは大人が当然備えているような様々な視点や検討力が未発達です。そのため、プロの塾講師や家庭教師は子どもたちの未発達な能力を育成したり、新たな視点を与えたりすべく様々な技術を工夫して指導しています。以下の手法を見抜くことで選択問題の全てが解決するというわけではありませんが、子どもたちに新たな視点を付与するという意味で、一つの参考としていただければと思います。また、本文内容との十分な照合・検討の訓練を継続的に行い、正確な判断を迅速に行えるよう、普段から本質的な学習を積み重ねてゆくことが大切です。

       

・学習塾講師や家庭教師による国語の授業においては、「選択肢に書かれてある文を二~三の部分に分け、それぞれの部分が本文の内容に一致すれば必ず正解である」、「選択肢の各文を前半と後半に分け、前半を棒線で消し、後半に書かれた内容のみで判断しなさい」といった機械的な判別法や、「『言い過ぎ』であったり『大げさ』であったりすると感じられるものは除外しなさい」、「残った二つのうち、『強い』と感じられるほうを選びなさい」、「『真面目な印象』、『明るい印象』を与える選択肢を選びなさい」といった、感覚や印象に依存する判別法が、まるで「魔法の杖」であるかのように子どもたちに指導されるケースが一般です。しかし、中学受験を目指す小学生のみなさんは、このような思考したり苦闘したりせずとも楽に、そして簡易にあらゆる夢を叶えてくれる「魔法の杖」の存在を信じ、追い求めてしまうのではなく、あくまで「設問の要求に対応した正確な説明内容を判別する」ための客観的視点と高度な論理的解析力を鍛えてゆきましょう。中学受験の国語学習では、本質的な意味での学力、つまり、人間が生きるうえでの基本的能力を育てるという観点をもって取り組むことが大切です。中学受験は、君たちが、君たち自身の人生における、その生き方を学ぶ場でもあるのですから。

ごく基本的な論理のおさらい

どちらが論理的でしょうか?

 (1) (a)クモは8本足である。(b)コガネグモはクモである。
    (c)だから、コガネグモは8本足である。

 (2) (a)クモは8本足である。(b)蝶はクモではない。
    (c)だから、蝶は8本足ではない。

■(1)について… 「前提(a)」と「前提(b)」のどちらもが正しいと認めた場合、「結論(c)」は正しく、論理的に正しい推論である。

「前提(a)」と「前提(b)」によって、クモという生き物の中にコガネグモという種類のクモが含まれていることがさらに前提となり、その結果、「コガネグモもまた8本足のクモである」とう結論が導き出せ、論理に矛盾は起きない。

 (2)について… 「前提(a)」と「前提(b)」のどちらもが正しいと認めても、「結論(c)」は正しいとは言えない。

前提(a)(b)は、「クモ以外に8本足の生き物は存在しない」ことを意味していない。つまり、クモ以外にも8本足の生き物が存在する可能性を示唆している。そうであるならば、特別な条件でも無い限りは「そこに蝶も含まれる」可能性が否定されないのだから(つまり「8本足のチョウがいる」可能性を示しているということ)、それを前提とすれば、結論(c)のように「蝶は8本足ではない」とは必ずしも言い切れないことになる。

よって(2)の場合、「結論(c)」を導くためには(a)と(b)はともに前提として不完全であり、論理は成立せず、そのためこの推論は正しいとは言えない。


選択肢の判別法

※以下の判別法によって全ての選択問題が解決するわけではありません。ものごとを捉える際の視点の例としてご参考ください。

(1)前提のすりかえ
・前提となる事柄(大もととなる客観的事実)をわざとすり替えたうえで説明してある。前提内容が本文の内容に一致しないにもかかわらず、説明自体はいかにも正当であるかのような内容で書かれてあるため、非常に紛らわしくなる。本文の正確な内容把握が大前提となるため、本質的な読解ができるよう、しっかりと訓練しておこう

(2)人物像のすり替え
・登場人物や作者・筆者の人物像・性格などを微妙にすり替えたうえで説明してある。(1)の「前提のすりかえ」の一種。解答者側の思い込みを誘発させる狙いがあり、誘導されやすい。「この説明は登場人物(あるいは筆者)の人物像とは異なり、別の人物像を前提にしている」と見抜けるよう、本文の内容把握をしっかりと行おう。

(3)飛躍
・正しい筋道を飛び越えた内容の説明がされている。論理上の飛躍の度合いが小さい場合や大きい場合など、さまざまに調整してある。本文の内容や論理構造の正確な把握を大前提としたうえで選択肢の検討が行えるよう訓練しておこう

(4)意志表現の調整
・筆者の考えや本文の内容、あるいは登場人物の気持ちや考えに沿わない「意志表現」で説明してある。(3)の「飛躍説明」の一種。「絆を結ぼと…・仲直りしようと…」というように、表現にさり気なく組み込まれている「う・よう・まい・たい・たがる」などの助動詞を見落とさないようにしよう。「筆者(あるいは登場人物)はそこまで考えてはいない」と見抜けるよう、本文の内容を客観的に、かつ正確に把握する訓練を怠りなく。

(5)二分法
・「晴れではない」という説明は、必ずしも「雨である」ことだけを意味するとは限らない。にもかかわらず、そのように他の可能性を一切排除し断定的に説明してあるため、解答者の思い込みを誘発させる。(3)の「飛躍説明」の一種。

(6)カムフラージュ(偽装)
・文中語句を敢えて使用せずに、言い換えたり、あるいは一歩踏み込んだ説明をしたりすることで、正解でありながら正解に思えなくする。(20)の「論外」として早々に除外してしまいやすいので特に注意が必要。判別難度が高く、正答率を下げるのに効果的な手法。

(7)形式的説明
・上辺をなぞっただけの表面的、あるいは形式的な説明がなされているのみで、設問の要求に対する本質的な説明がなされていない。「これは表面的な捉え方に過ぎず、本質的説明には至っていない」といった判断ができるよう、一つ踏み込んで考え、検討する姿勢を養っておこう。

(8)主観的説明
・本文の内容に沿った客観的な説明とは別に、無関係な主観的説明を設定してある。思い込みで判断してしまわないよう、「この説明はあくまで不特定他者の主観であり、筆者の考え(あるいは登場人物の考え)とは無関係である」というように、両者を客観的に区別する視点を持とう。

(9)一般論的説明
・本文の内容や主題・要旨に沿わない、無関係な一般論的な説明が書かれてある。説明内容自体は「一般論として正しい」、あるいは「一般論として決して間違っているわけではない」ため判断に迷いやすく、誘導されやすい。「これは一般論、あるいは世の常識論であって、本文内容とは無関係である」というように、両者を明確に区別する視点を持とう。

(10)価値的要素
・選択肢の説明文中に、「良い・悪い」、あるいは「正しい・悪い」、「すばらしい・最低だ」、「好ましい・好ましくない」、「するべきだ・するべきでない」などといった価値判断を伴う要素が含まれている。道徳的・倫理的・常識的に正しい事柄に対しては否定しづらく、逆に道徳的・倫理的・常識的にふさわしくない事柄に対しては肯定しづらい一般の心理的傾向を作為的に利用しているので注意が必要。本文内容をあくまで客観的かつ正確に把握する訓練を行ってゆこう。

(11)展開無視
・展開把握力を見る狙いがある。問われている箇所の「前部内容だけ」を根拠としたり、あるいは、問われている箇所の「前後一部分だけ」を根拠に解答を確定しないようにしよう。

(12)因果の逆転
・「原因・理由となる内容」と、「結果となる内容」とが逆転させて説明してある。確認作業に手間取り、時間配分を狂わされる恐れがあるので、本文全体、および細部での論理構造の照合・確認を速くしっかりと行う訓練を積んでおこう

(13)趣旨のねじり
・意味内容を微妙に変えて説明してある。本文のみならず、「選択肢に書かれてある説明文の読解」もしっかりできるよう訓練しておこう。

(14)要素欠落
・説明が完結するために必要な要素が一部欠落している。欠落に気づかれないように表現や内容を微妙に調整している場合があるので注意が必要。選択肢の説明は最後までしっかりと読み、その内容を吟味する習慣を持とう。

(15)虚偽要素の付加
説明が完結するために必要な正しい要素が全て含まれているが、それに加え、誤った要素を一つ、あるいはわずかに忍ばせてある。普段から速く正確な判断を行う訓練をしていないと、瞬時の大ざっぱな全体把握だけでは気づかないので注意しよう。

(16)フェイク(見せかけ)
・本文から一部をそっくり引用してあるだけで、実は設問の要求にはまったく対応していない。少し冷静に考えれば判別もさほど難しくないので、「本文に書いてあるから」という単純な理由で選択してしまわないよう注意しよう

(17)線部内容の言い換え
・線部等、問われている箇所の表現を単純に別表現に改めてあるだけで、実は設問の要求には何も答えていない。「線部内容についての説明として正しいものを一つ選びなさい」といった「内容説明の問題」と勘違いして選んでしまいやすいので、設問の要求をしっかりと把握し、そして方向付けて考え、解決してゆく習慣を持とう。

(18)曖昧(あいまい)説明
・説明内容を曖昧にすることで、解答者の思考を混乱させたり、選択肢の最終確定を手間取らせたりする意図がある

(19)混乱術
・複雑な説明や長文等によって思考整理を阻害する意図がある。本文全体、および細部での論理構造の照合・確認が確実に行われていないと確認作業に手間取り、時間配分を狂わされてしまう。また、そのために解答者に心理的動揺が生まれ、他教科の試験対応力に影響が及んでしまう恐れもあるので注意が必要。「選択肢における説明文の読解」をしっかりと訓練しておこう

(20)論外
・明らかに本文の内容や設問の要求から外れるため、比較的除外しやすい。ただし、(6)の「カムフラージュ(偽装)」による正解肢を誤って「論外」として除外してしまうことのないよう注意しよう

※その他:上記手法のいくつかが複合されている場合がある。

小手先テクニック・感覚判定法の例

当方が指導を担当する生徒たちの中で、毎年少なくともその3~4名から、国語の選択問題は以下に挙げたような方法で解決するよう、塾の先生や家庭教師指導されたという話を必ず聞かされます。読解を前提としない、主に感覚や印象によって解決を導く「小手先テクニック」と呼ばれている手法ですが、作問者はこのような手法によって選択肢の判定を行う受験生が多数存在することを承知のうえで作問していることを念頭に置く必要があります。

(1)「選択肢に書かれてある説明を前半と後半とに分けて検討し、そのどちらもが正しい内容であれば正解である」
(2)「短い説明のものは選んではいけない。具体的な内容で、しかも説明が長めの選択肢を選びなさい」
(3)「極端に長い説明や、極端に短い説明のものは選んではいけない」
(4)「『断定的な表現』のあるものは引っかけなので選んではいけない」
(5)「傍線部に最も近い部分の説明を利用した選択肢は選んではいけない」
(6)「『音の似た語』が使用されている二つの選択肢を探して、どちらか一つを選びなさい」
(7)「本文中のキーワードが使用されていない説明の選択肢は選んではいけない」
(8)「二つの相反する説明があったら、どちらか一方が必ず正解である」
(9)「五択であれば1番目と5番目を選んではいけない。四択であれば3番目を選びなさい(2番という説もある)」
(10)「選択肢を検討する際、『大げさ』と感じるもの、『言い過ぎ』と感じるものは選んではいけない」
(11)「選択問題で直感力を最大限に発揮できるよう、普段からしっかりと鍛えておきなさい」
(12)「『暗い印象』の説明が書かれた選択肢は選んではいけない」
(13)「プラスイメージとマイナスイメージに分け、設問の方向性に合うほうを選びなさい」
(14)「選択肢の説明を本文の中に当てはめた時、『自然な印象』を与えるものを選びなさい」
(15)「作問者が一番最初に作った選択肢が正解なので、それを推定して答えなさい」
(16)「選択肢で最後に迷ったら、『比較的地味な説明』のほうを選びなさい」
(17)「選択肢で最後に迷ったら、『後のほう』の選択肢を選びなさい」
(18)「選択肢で最後に迷ったら、『正しそうに見えない説明』のほうが正解である可能性が高い」
(19)「選択肢で最後に迷ったら、必ず『強い』と感じるものを選びなさい」
(20)「選択肢で最後に迷ったら、『常識的な説明』だと感じるものを選びなさい」
(21)「選択肢で最後に迷ったら、『まじめな印象を与える説明』のものを選びなさい」
(22)「選択肢で最後に迷ったら、『まじめすぎる印象を与える説明』のものは選んではいけない」
(23)「選択肢で最後に迷ったら、『穏やかな印象を与える説明』のものを選びなさい」
(24)「選択肢で最後に迷ったら、『正解だ』と思えるほうを信じなさい」
(25)「選択肢で最後に迷ったら、最初に『正解だ』と感じたものを信じなさい」


※現在、その他各種小手先テクニック、感覚や印象による「マル秘裏技」が蔓延し、これが大手・中小を問わず相当に多くの塾講師の方々、あるいは家庭教師の方々によって指導されています。選択肢の説明が設問の要求に対応しているかどうか、また、選択肢の説明の趣旨自体が正しいかどうかといったごく基本的な検討さえが一切行われず、形式的作業や感覚、印象に依るだけで誰でも簡単、確実に判定できるかのように指導されるので注意が必要です。子どもに未発達な視点を新たに付与し育成するという意味では「テクニック」もまた全否定されるものではありませんが、「読む力」や「考える力」、「獲得する力」の育成、「精度の向上」が念頭に置かれないままに生徒側がただ形式的な作業に陥ってしまっているという問題が、指導側、生徒側双方に認識されていません。

※特に早稲田アカデミーに在籍する生徒さんや、理系の先生が経営されている地域塾等に通っている生徒さんにこのような指導を受けているケースが相当多く見受けられます。読解訓練、記述訓練、時間短縮訓練、精度向上訓練などを通して「国語はできて当たり前」という水準に学力を引き上げておかねばならないにもかかわらず、そのままでは不安要素を大きく抱え込んだまま入試本番に突入せざるをえなくなります。また、「制限時間内に問題を解き終えるためには本文を通読していては間に合わない」と指導されることも当該塾では一般であるため、本文の全体や構成、展開等を把握する視点が備わらないままになるリスクも解消しません。さらにまた、早稲田アカデミーに在籍する生徒の保護者様のお話によれば、秋の保護者会などで、国語科の主導的立場にある方から、「この時期になって国語の成績が伸びなければもう伸びることはない。国語は一切捨てて算数に注力するように」と指示されるとのことです。訓練期間は確かに個人差がありますが、適切な訓練を積むことで子どもの「国語力の育成・向上」、「時間短縮」や「精度向上」は十分可能であると断言します。秋の時点での成績が受験結果の全てを決定しているわけではなく、むしろ秋からこそ子どもの本質的な実力を向上させる絶好の機会であるとも断言します。

以上のような点について保護者様やお子様が問題や悩みを抱えていらっしゃる場合には、中学受験専門のプロ家庭教師や、中学受験を専門とする家庭教師派遣センター等に一度相談されてみることをお勧めいたします。ただ、中学受験に携わるプロ家庭教師の中にも「本文の通読禁止」や「感覚や印象による選択肢の判別」を中心に指導されている方が多数いらっしゃいますので、その点をお含み置きください。

■作成:2010年(平成22年)11月30日