セサモールと反応 フリーラジカル 検出方法を確立 東大‐昭和大
2010年 3月 10日 科学工業日報 「セサモールと反応 フリーラジカル検出法を確立」
東京大学薬学部の内山聖一助教,槙野友美大学院生,昭和大学薬学部の大野賢一らは,がん細胞の発生や老化などと深い関係のあるフリーラジカルの探検出方法を確立した.
ゴマ成分セサモールとの反応による蛍光技術を応用するもので,各種ラジカルのほか,これまで検出がなかった一酸化窒素(NO)にも有効.
同グループでは,さらなる高感度化を進め実用化目指す.
同グループが注目したのはゴマ油の中に含まれ,強い抗酸化作用がある天然抗酸化物質のセサモール.
単一のセサモールがフリーラジカルと反応して「セサモールダイマー」になり,紫外線を当てると蛍光を発することを見いだした.
ヒドロキシルラジカル(・HO)メチルラジカル(・CH3),NOなどさまざまなフリーラジカル,活性酸素が検出できる.
血漿など生体成分でも前処理などを行う必要がなく,蛍光強度によりフリーラジカルの量を測定できる.検出限界は150ナノモル.
フリーラジカルは,極めて反応性が高く,病気,老化のほか食品の腐敗,大気汚染などとかかわりが指摘されている.
測定法にはESR(電子スピン共鳴)を利用したものがあるが,フリーラジカルは反応が早く不安定であり,感度や利便性で課題があった.
ゴマにはビタミンEを凌ぐ抗酸化作用のあることが知られ,古代から不老長寿など健康食品として食されてきた.また,ゴマ油は食用油の中でも酸化による変化に強い.こうした理由がフリーラジカルに対するセサモールの高い反応性であることが考えられるという.
同グループでは,さらなる高感度を進めるほか高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と組み合わせて利便性の向上なども図る予定.
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