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分子素子の働き せっけんで確認

2005年 7月 12日 東京新聞

単独の分子がコンピューター回路の素子と同様に働くことを,東京大学薬学部の内山聖一助手が初めて確認した.せっけんに分子を閉じ込める独創的な方法で,分子素子の研究に新しい一歩を踏み出した.米化学会誌に発表した.
この分子は,光を出すアントラセン系の化合物.水素イオンとナトリウムイオンの両方を受け取ると光を出す.水素だけ,ナトリウムだけでは光らない.二つの入力信号がそろったときだけ出力信号を出すAND素子と同じ働きだ.

分子が有機溶液中に多量にあるときは素子としての働きが確認されていたが,単独でも働くかどうかは確かめる方法がなかった.

内山さんは,せっけんが汚れを包んでバラバラに洗い流すことに注目.この分子をせっけん水に溶かして一つ一つを分離し,水素やナトリウムのイオンを加えてAND素子の機能を確認した.せっけんに包まれた分子は直径六ナノメートル.現在の半導体の配線幅の十分の一という極小の素子になる可能性がある.

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