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感熱蛍光高分子を開発
奈良女子大論理ゲートも実現

2003年 6月 4日 日本工業新聞(現フジサンケイビジネスアイ)

奈良女子大学理学部の岩井薫助教授,内山聖一日本学術振興会特別研究員,英クイーンズ大のAPデシルバ教授は,温度を感じて蛍光を発する高分子の開発に成功した.通常の蛍光低分子は,高温になっても蛍光強度は変わらないかむしろ低下する.新しい感熱性蛍光高分子は,感熱性高分子を蛍光低分子でラベルしたもので,液体一滴という少量でも検温でき,しかも瞬間で温度を測る技術として役立てられそうだ.

研究グループでは,高温時に主鎖近辺の水分子が減って縮んでくる感熱性高分子「N-アルキルアクリルアミド共重合体」に,周囲の水分子数が減少すると強い蛍光を発する低分子「ベンゾフラザン」を組み合わせた.温度が10度Cから40度Cに上昇すると蛍光強度が十倍に高まった.何度でも繰り返せる可逆性があり,これまで難しかった生細胞などの微小空間の温度分析に使えるという.

この高分子は,温度が高くなると周辺の水分子が減って縮んでくるが,一方,アルカリ度が低い環境ではプロトン(水素イオン)が付いて,縮むのを阻む分子も挿入した.これにより,高温と,高アルカリが同時に実現したときだけ,蛍光を発するような論理ゲートも実現した.この仕組みを利用すれば,分子コンピューターの実現も期待できるという.

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