■中学受験 学習用資料
■いろは歌:PDFのダウンロード (全1ページ)・指導用の教材として利用される場合は、生徒に教材を渡しっぱなしにして済まさず、生徒にとって有効な活用法をご考慮願います。
いろは歌(伊呂波歌)
いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす 色は匂(にほ)へど(イロワニオエド) 散りぬるを(チリヌルヲ) 我(わ)が世誰(たれ)ぞ(ワガヨタレゾ) 常(つね)ならむ(ツネナラン) 有為(うゐ)の奥山(おくやま)(ウイノオクヤマ) 今日(けふ)越(こ)えて(キョウコエテ) 浅き夢見じ(アサキユメミジ) 酔(ゑ)ひもせず(エイモセズ) |
■意味
花は色艶(あで)やかに咲(さ)くけれども
間もなく散(ち)り果(は)ててしまう
人間の命もこの花と同じであって
永久に生き続けることはできない
それだから
空しい夢を見たり
人情(にんじょう)におぼれたりする
浮世(うきよ)の煩悩(ぼんのう)の
境地(きょうち)から逃(のが)れて
ひたすら仏様にすがって
往生(おうじょう)を祈(いの)ろう
※浮世…辛(つら)くはかないこの世
※煩悩…悟(さと)りを妨(さまた)げる人間のさまざまな心の働き
※悟り…真理を会得すること。
※往生…極楽浄土に生まれ変わること
※極楽浄土…苦しみのない安楽の世界
(平安時代中期)
※ 仏教の根本思想である諸行無常(しょぎょうむじょう…万物は絶えず移り変わり生滅(しょうめつ)するもので、不変なものではないということ)の精神を訳したものです。
新いろは歌
■ちなみに以下は、明治三十六年、黒岩涙香氏の主宰する新聞「万朝報(よろずちょうほう)」で「国音の歌」として「ン」を入れた四十八字の歌を懸賞募集した際に第一位を獲得した、埼玉の坂本百次郎という人の作による「新いろは歌」です。
とりなくこゑす ゆまさませ みよあけわたる ひんかしを そらいろはえて おきつへに ほふねむれゐぬ もやのうち 鳥なく声(こゑ)す(トリナクコエス) 夢さませ(ユメサマセ) 見よ明けわたる(ミヨアケワタル) 東(ひんかし)を(ヒンガシヲ) 空色(そらいろ)映(は)えて(ソライロハエテ) 沖(おき)つ辺(へ)に(オキツベニ) 帆(ほ)ふね群れゐぬ(ホフネムレイヌ) もやのうち(モヤノウチ) |
■意味
鳥のさえずりが聞こえてくる
夢から醒(さ)めようか
見てごらん
明け渡る東の空一面を
薄明(はくめい)鮮やかに
沖の方(かた)には
帆船(ほふね)が幾艘(いくそう)も
群れ漂(ただよ)っている
静かな朝靄(あさもや)の中に
(新伊呂波歌 明治三十六年)