研究内容

1 蛍光性論理ゲートがナノ空間で機能の実証 詳細

2005年4月〜 東京大学大学院薬学系研究科 薬化学教室 助教 > 投稿論文

membrane media create small nanospaces for molecular computation
S. Uchiyama, G. D. McClean, K. Iwai and A. P. de Silva
J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 8920-8921.

 Abstract
Molecular computation is fashionable because of the small device sizes that should be possible. For instance, information processing in nanospaces is widespread in biology. However, experimental cases with computing molecules occupy rather large volumes until now (ca. 1012 nm3). Now we demonstrate small-scale computation using a designed logic gate in spheres of 3 nm radius (volume = ca. 102 nm3) which are produced by detergent micelles. The logic gate accommodated in the small nanospace fluoresces only when both H+ and Na+ ions are available.

 内容
蛍光性論理ゲートがナノスペースで機能を示すことをはじめて証明しました. これまで蛍光性論理ゲートは,一分子を機能単位とする分子デバイスとして注目されてきましたが,実際に分子レベルでの機能を実証した例はありませんでした. 本研究ではナノサイズの空間として,界面活性剤によって構築された半径 3 nm の球状ミセルを選択し,そこに論理ゲート分子を配置することで,ナノスペースにおける論理ゲート機能を実現しました.

 ひとこと
Nature Reject → Science Reject → J. Am. Chem. Soc. Publish as is でアクセプト. はじめて完全に何も手直しを要求されることなくアクセプトされました. Nature や Science に投稿するような内容は,それらを蹴られても JACS 程度なら難なく通ってしまうということでしょうか. JACS に通る必要条件として,①新しい概念を取り入れていること,②結果がクリアであること,があげられると思います. 今回は実験をする前に②があやふやで,最低 JPC くらい通って欲しいなぁ...と思っていたのですが,どっこい結果が非常に綺麗だったので JACS まで上がったと思います. 実際に論文に使ったデータをとるのにかけた時間は長くはないのですが,このアイデアに辿り着くためには色んな実験結果があってこそなので,やはり一朝一夕に面白い結果を出すのは難しいかなぁと思いました. 個人的には,少しはイギリスで研究もしていたことが証明できてほっとしています.