研究内容

研究内容

2005年4月〜 東京大学大学院薬学系研究科 薬化学教室 助教

2005年4月にポスドクから大学教員になるにあたって,自分なりに進めていこうと思った研究内容が以下の通りです.おおよそ10年が経った今でも目指しているところはほとんど変わっていないのでそのまま載せます.

「ミセル・ベシクルなどの分子集合系や合成高分子は,低分子とは異なり,それらの三次元構造に由来する特徴や性質を示す.例えば,膜近傍では水素イオン濃度や極性が空間的に一定値をとらず,徐々に変化している.そしてこの水素イオンの濃度勾配こそが,生体エネルギー学の由来である.また,高分子と周囲の水分子の水素結合が形成・切断されることにより,温度やpH変化によって三次元構造の変化する刺激応答性高分子の機能が発現する.よって,分子集合系や合成高分子といった三次元構造のミクロ環境を詳細に把握することは,現在知られている生体現象の解明や,新しい機能性物質の開発につながるため,生物学的にも材料学的にも価値が高い. 本研究では,簡便であり,かつ微量のサンプルでの検討を可能にする蛍光分子を用いて,1高分子・分子集合系の環境をナノメートルサイズの分解能で明らかにする,2得られた環境情報に基づいて,新しい機能性分子・材料を開発する,事を主たる目的とする.また,これらの目的に適した蛍光分子の供給を目指し,必要に応じて3蛍光団および蛍光試薬の開発も合わせて行う.」

堅苦しく言えば上述の通りなんですけれど,自分は分析化学の研究室の出身ですし,蛍光現象を見ていると単純にキレイだ・・・と思うので,その自分の好きな題材で楽しいことをやればいいかな,と考えています.当たり前だと思うのですが,自分のような基礎科学者は,応用を考える力が全般的に不足しているので,「自分の研究の応用面を(応用面も?)考えなくてはいけない」という間違った意識を捨て,自分の領域だけ深く深く追求していく必要があります.本当に新規性があって興味深い研究内容であれば,あまたの応用科学者がその成果を展開してくれます.

研究者人生としては,どんなに長寿命だとしても,中盤にさしかかるか,もう中盤を越えたあたりだと思います.やりたい実験・研究がとても多く,それをすべてこなすのは不可能な状態ですが,数年に1報しかなくても,世界中の多くの人に楽しんでもらえる論文を公表していきたいと思っています.

2014年9月23日