はじめに
在留資格とは、日本に外国人が入国する際に、当該外国人の入国・在留目的に応じて入国審査官から与えられる資格で、外国人はこの資格の範囲内で活動をすることができます。入管行政では、外国人は一つの在留資格、一つの活動しか認めないという大原則があります。入国・在留手続の中で混乱しやすいものにビザ(査証)と在留資格があります。具体的には以下の通りとなります。
ビザ(査証)
日本入国のための条件として事前に、在外日本公館において旅券に受けるもので、「この旅券は有効なものでありビザに記載された範囲で旅券所持者を日本に入国させても問題がない」という入国するための推薦であると言えます。在留資格認定証明書が発行されている場合、ほぼ間違いなく在外公館でビザは発給されます。管轄は外務省になります。また、韓国、台湾等は査証免除規定により、在外公館でビザの発給を受けなくても、観光等の来日目的の場合そのまま空港で短期滞在の在留資格が許可されます。
在留資格
日本に入国し、在留する外国人は原則として、出入国港において上陸許可を受け、その際に決定された在留資格により、在留することとなっています。すなわち在留資格とは外国人が日本に滞在する根拠となるもので、「出入国管理及び難民認定法」に定める活動を行うことができる資格であり、「あなたは、XXXの活動をするために日本に滞在してもよい」と示すものです。また、外国人が日本在留中に行うことができる活動の範囲は、この在留資格に対応してそれぞれ定められており、「資格外活動の許可」を取得する場合を除いて、原則として外国人はその在留資格に属する活動の下で許容される以外の収入を伴う活動を行ってはなりません。外国人の方が日本に滞在するには27種類のうちのいずれかの在留資格が必要になります。一般的な在留資格として以下のものがあります。
日本人の配偶者等
日本人と結婚した外国人配偶者、日本人の特別養子、日本人が認知した子が該当します。通常、結婚ビザとよく言われております。就労活動の制限がないのが特徴です。結婚の場合、在留資格申請時に交際経緯をいかにきちんと説明するかが重要です。
永住者の配偶者等
永住者の配偶者、特別永住者の配偶者、永住者の子が該当します。在日韓国人が本国の女性と結婚した場合、韓国人配偶者には、この在留資格が該当します。
家族滞在
日本で仕事をする外国人の配偶者(夫や妻)や子供が滞在するための在留資格です。就労資格のある外国人から扶養を受けているのが重要な許可要件となります。家族滞在の在留資格があっても、当該外国人が長期で出国して日本に滞在していない場合、更新が不許可になるケースもあります。
定住者
「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ者が、日本人の夫もしくは妻との離婚や死別により在留資格を変更する場合や日系の外国人で日本人の子として出生した者の実子(日本人からみて孫)、日本人の子として出生し「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する者の配偶者などが該当します。告示で定められているものと、告示外で運用されているものがあります。
経営・管理
日本で会社を設立して事業の経営を行う外国人などが該当します。基本的に500万円以上の資本金がある会社でないと許可されません。また、申請時には資本金の出所説明が求められるので、見せ金等の資本金は不許可になります。
技能
外国料理のコック、パイロット、スポーツトレーナー、動物の調教師、ソムリエ、貴金属や毛皮の加工職人などの活動を行う人が該当します。特にコックが一般的ですが、コックの場合、10年以上の経歴があることを合理的に説明する必要があります。
技術・人文知識・国際業務
貿易業務、通訳、翻訳、ファッションデザイナーなどの文系の仕事や各国の思考や感受性を必要とする仕事又は技術者、エンジニア、プログラマーなどの理系の仕事を日本で行う人が該当します。大学等で得た知識と日本で行う業務との関連性が求められます。単純労働は認められないのが特徴です。
永住者
日本での在留歴が原則10年以上、日本人の配偶者の場合3年以上在留している外国人がもらえる在留資格です。10年の在留歴があっても、そのうち就労若しくは居住の在留資格で5年以上滞在している必要があります。また、3年以上の期間を有している在留資格保持者からの申請でないと許可されず、近年は年金の納付状況が審査で厳しく問われています。永住権を取得すると在留資格の更新が不要になります。しかし在留カード自体の更新は必要になります。ちなみに帰化申請の場合、在留歴が5年以上あれば、帰化要件の一つである住居要件はクリアーされます。
在留特別許可(オーバーステイの外国人)
日本人と結婚をし、その婚姻に実態がある場合は、不法滞在者でも日本での在留を特別に許可されるケースがあります。この様に人道的配慮により与えられる許可手続きを在留特別許可と言います。過去の滞在歴において、不法滞在以外の犯罪歴がないことが重要です。偽装パスポートで不法入国した場合、不法滞在との罪が重なるので、結果は厳しいものとなります。
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