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「東郷ビール」なんてありません。

  「東郷ビール」・「トーゴービール」なんてありません。フィンランド産「東郷元帥の肖像画のラベルのビール」は第2次世界大戦後の生まれで,フィンランドの独立とはまったく無縁です。

 1989(平成元)年学習指導要領が改訂され,1992(平成4)年から施行された小学校6年生「社会科,歴史」では卑弥呼から野口英世までの歴史上の人物に「東郷平八郎」が加わり,軍国主義教育の復活云々でマスコミを賑わしました。ご記憶の方も多いでしょう。この指導要領では,明治中期から後期にかけて「大日本帝国憲法の発布、日清・日露の戦争、条約改正などについて調べて、国力が次第に充実し、国際的地位が向上したこと」を学習させることになっていて,この中で日露戦争を扱います。
 一方,いつの頃から話され始めたのか,日本の勝利のきっかけを作った海軍提督・東郷平八郎の業績とフィンランド産ビールとを関連付けた風聞が誠しやかに流布されてきました。
 これが風聞ではなく,1992(平成4)年以降公の場(小学校の教室)で語られるようになったのが「東郷ビール」または「トーゴービール」のエピソードです。このページはこの風聞が何の根拠もなく,間違いであることを指摘する目的で作成したものです。

 まず次の文をお読みください。

 アジアの小国日本が,大国ロシアのバルチック艦隊を破ったという日本海海戦のニュースはたちまち世界中に広まりました。特に,それまでロシアに押さえつけられていた国々では,大変な評判になり,勇気づけることにもなりました。
 フィンランドでは「トーゴービール」という名前のビールが売り出されたほどでした。この後,それらの国々での独立運動は急速に高まっていきました。

青葉出版株式会社発行「社会科資料集 6年」巻末,歴史人物事典 1998(平成10)年

このたぐいの話はまだまだ続きます。次表をご覧ください。
(通番をクリックすると詳細を表示します。)

通番書 名・タ イ ト ル典  拠
(1)「白夜の国ぐに −米ソ対立の谷間で−」武田龍夫著 中公新書 1985.5.25 p.39より
(2)「うめぼし博士の逆・日本史1」―庶民の時代・昭和→大正→明治樋口清之著 NON・BOOK-愛蔵版 1986.11.25 261pより
(3)「スーパー日本史」古川清行・益田宗・中野陸夫著 講談社 1991.9.15 p545より
(4)「日本歴史館」小学館編集部 1993.12.10 p933欄外より
(5)「社会科授業を面白くするアイデア大百科 第6巻 単元別授業 に使えるモノ図鑑」溝上泰(鳴門教育大学教授),片上宗二(広島大学教授),北 俊夫(文部省教科調査官)共編/関口修司執筆 明治図書出版 1995.8. p.141より
(6)インタビュー・現代を問う(10)
問われる日本固有の価値
高橋巖談(元・慶應義塾大学教授)「ちにか」(地域から日本を変える)1996.1月号より
(7)「世界・わが心の旅 フィンランド 白夜の国に光の夢」石井幹子著 日本放送協会 1996.4.25 p.50〜51
(8)「社会科資料集 6年」巻末
歴史人物事典
著者:不明 青葉出版株式会社 1998(平成10)年
(9)「法則化小事典シリーズ 社会科読み物資料活用=小事典」向山洋一編/渡辺尚人執筆 明治図書 1998.9. p.62より
(10)「呪縛の近現代史」藤岡信勝著 徳間書店 1999.10.31 p41より
(11)「人物・遺産でさぐる日本の歴史 13 近代国家としての発展」古川清行著小峰書店 1999.6.15 p101より

これらの話には間違いが1〜3つあります。

真実はこちらです。


 

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