(光のラビリンス)
サント・シャペル Ste Chapelle
−世界遺産指定 フランス、パリのセーヌ河岸の光の魔方陣−
パリ経験者は多数でも、
この地を訪れた日本人観光客は少ないのではないでしょうか
光の国への門はとても狭く、そして静か時を重ねています
― サント・シャペル(ステンドグラスの最高峰)
コンシェルジェリー(裁判所)の中庭にある礼拝堂だけに、まずは警備隊の手荷物チェックを受けて裁判所敷地内へ。裁判所との入場共通券もあります。ルイ9世の命令で1245年に着工、13世紀完成。ノートルダム寺院とほぼ同時期完成のゴシック様式の礼拝堂です。美しいものは美しい心が作る・・・訳はなく(笑)、庶民の血のにじむ税金を元手に、国王憧れの「天界」が、ステンドグラスに彩られた礼拝堂として具現化されました。人は自らに穢れを感じれば感じる程、尚更、美しいものへの憧憬・執着を強めてゆくのかもしれません。一階はカモフラージュのため、低い天井の質素な礼拝堂ですが、入って左手にある目立たない階段を上ると、そこには想像もしなかった七色の光の空間が、果てしなく広がります。ゴシックに特徴的なそびえるような高い天井に向かって、壁、と言う部分は殆どなく、聖書を絵物語にしたステンドグラスが、遥か遠く、遥か高く続いてゆきます・・・。
死後、美しい世界に行きたい、救われたい、というあまりにも平凡な祈りは、何も国王だけのものではありません。
「建立した国王は何も特別な能力者でも悪人でもない。ただ単に偶然、権力を手に入れたために、全ての人間共通の欲望(煩悩)の権化になった、ただそれだけのこと・・・」、ここに佇んだ時、強く感じたことです。建立を命じたフランス王室は大革命よって滅びてしまいましたが、憎むべき国王が憧れた七色の天界、の方は、否定されることなく、こうして700年の時を超えて今も国によって維持され、人々に愛され続けています。裁判所内、と言うことでセキュリティもあり、また光の加減で閉館が早く、2階へ上る階段も非常に狭い、からか、団体はこの素晴らしい光の遺産を訪れないようです。祭壇に向けて左右に椅子が並べてあり、じっと座って、ため息の出るような七色の光の中、しばし漂うことも可能です。自然光のみですから、晴れた日に訪れないと、意味がありません。私は閉館30分前に駆け込んだ為、共通券を買おうとすると、受付の女性がカタコト英語で一生懸命、「裁判所も見るならあまり時間がないけれど大丈夫?もうすぐ閉まってしまうのよ。」と尋ねてくれました。不親切だと思っていたパリ人も、随分変わったものだと、しみじみ思いました。ユーロ統合による競争導入が、こういった公共サービスにまで浸透したのなら、やはり文化に経済が及ぼす影響に、着眼せずにはいられません。世界の遺産を旅して思うのですが、富と権力がもたらす副産物としての文化の反映、決して否定することも卑下することもないと思います。ただ、その果実は決して独占できないもの、であることを忘れなければよいのだと思います。
アルバムを開く度、サント・シャペルの光がそっと話しかけてきます。
訪れた国々
表示数は訪問回数
(トランジットの都合で1日、などは除く)
欧州
Europe |
米国大陸
America |
アジア他
Asia,etc |
スイスSwiss 4
フランスFrance 3
イタリアItaly 5
オランダ
Netherland 1
スペインSpain 1
ベルギー
Belgium 1
ドイツGermany 2
イギリスUK 1
ギリシアGreece 1
オーストリア
Austria 2
チェコCzech 1
ハンガリー
Hungary 1 |
US 1
(only San
Francisco)
カナダ 1
Canada
|
バリ島 2
Bali
ハワイ 1
Hawaii
タイ 1
Thailand
エジプト 1
Egypt
|
T. 海外旅行の迷宮 / Travellig Abroad
迷宮第2室 天空の部屋 / Part 2 the heavenly room
管理者の足跡を辿り、第2室の扉を開けて頂いたみなさまに、
灼熱の乾いた世界から一転・・・
今度は光の世界をご案内致します。沢山の光をこの部屋で感じてもらえたら。
注:
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1.2階正面左、ステンドグラスから七色の降臨
1.左上 正面祭壇の左側 思わず息を呑みます
2.左下 1から左に下がって行きます
3.中央上 祭壇と反対側、後部の花窓です
1.右上
正面祭壇の右側1面だけ修復中。世界遺産指定で世界中修復ラッシュ
2.右下
赤と青の光が混ざり合い、鮮やかなバイオレットが顕れます
3.中央下
ステンドグラスの上にさらにアーチ天井が続きます。吸い込まれるよう。
第3室への扉はページ左下にあります