A Robot Contest for Children and Comprehensive Science Education
(a) ハードウェア
◆マインドストームの基本構成
マインドストームは,コントローラと,モーターや各種センサの機能部品,及び多様なブロック等により構成される.コントローラはCPUとメモリを含み,モーターへの出力インタフェース,センサからの入力インタフェースを有する.コントローラの電源は,単三乾電池(または充電池)6個である.
◆マインドストームのタイプ(b) ソフトウェア
ソフトウェアには,"ファームウェア"と称する制御プログラムと,ユーザプログラム群とがある.これらは,コントローラのメモリ上にダウンロードされ,動作する.同時に動作するユーザプログラムは1つのみであり,コントローラのスイッチで選択する.■ 方向転換
左右のモーターの制御による.たとえば,両モーターの回転方向を逆にしたり,モーターに設定するパワーレベルの値に大小の差をつけたりする.パワーレベルの値が低いと,単位時間当たりの回転数は小さい.
■ 所定距離の走行
タイマを用いる方法と,回転センサを用いる方法とがある.
前者は,タイマで指定する時間だけモーターを動かすものである.この方法では,電源電圧の変動に伴うモーターの回転数変動や,走路面の状態によるスリップ等により,誤差が生ずることがある.この誤差は,長い距離になると,無視できないケースが多い.
後者は,回転(角度)センサを読み取って得られるモーターの回転数の値を用いて,ギア比とタイヤの径とから,計算により走行距離を測るものである.RCXタイプの回転センサでは,360度を16段階(1段階は22.5度)に分割している.この方法は,タイマに比べて誤差は少ないが,何らかのトラブルによりタイヤが回転できなくなってしまった場合,制御不能に陥るリスクがある.
■ ライントレース
光センサを用いる.光センサの読取りにより,入力する光の波長に対応した値を得ることができる.したがって,走路面に白黒等のコントラストの明確なラインがある場合,光センサを読込みながら走行させ,白が連続すると黒の方へ,黒が連続すると白の方へ,それぞれ方向を変えることにより,ラインのエッジに沿って走行させることができる.このとき,センシング時間間隔と走行スピードとの関係に注意する必要がある.なお,NXTタイプの光センサは,カラーの識別も可能な精度を有している.ただし,光センサは,センサ-走路面間の距離や外部の照明の状況等に対して影響されやすいため,工夫が必要である.また,実際の競技に際しては,会場でスレシホールド値のチューニングを行う必要がある.
(c) プログラミング環境
ユーザプログラムは,PC上で作成し,コントローラにダウンロードする.
開発環境としては,RCXタイプ向けには,ROBOLABと称するシステムが用意されている.NXTタイプ向けには,ROBOLAB 2.9あるいはNxtPL (NXT Programming Language)がある.もちろん,ROBOLAB 2.9は,RCXタイプでも使用可能である.ROBOLAB及びNxtPLのプログラミング画面を,それぞれ,図-2及び図-3に示す.
コントローラにダウンロードできるプログラムの量は,コントローラの搭載メモリサイズに依存するが,RCXタイプの場合には,プログラム数についても,5個までという制約がある.