A Robot Contest for Children and Comprehensive Science Education
教育プログラムとしてのFLL
FIRST LEGO League (FLL)[1]は,米国のNPO法人FIRST (For Inspiration and Recognition of Science and Technology)とLEGO社とが連携し,1998年から始められた,子供達のための教育プログラムである.当初は米国内でスタートしたが,徐々に各国に拡がり,日本は,2004年から参加している.日本での運営は,NPO法人青少年科学技術振興会(FIRST Japan)[2]が行っている.参加資格は,新年時点で9〜14歳(地域によって若干異なる)の子供であり,10人まででチームを構成する.日本では各地区予選を経て全国大会において,世界大会に出場する代表チームを選抜する.世界大会には,米国内各州と各国からの代表チームが参加する.なお,米国では,6〜9歳を対象とするJFLL (Junior FLL)という大会もある.(a) リサーチ・プレゼンテーション
リサーチの具体的なテーマ,調査に基づく問題の抽出,問題解決のためのアイデア,コミュニティでのリサーチ結果の共有活動等について,5分間程度で説明する.調査・創造・共有が活動の3本柱である.(b) テクニカル・プレゼンテーション
ロボットの構造,プログラム,ミッションの遂行方法(戦略)等を5分間程度で説明する.会場には競技用と同じフィールドが配置されており,実際にロボットを動かして説明することもできる.(c) チームワーク・プレゼンテーション
FLLの活動において,チーム内でどのような役割分担を行い,どのようにしてプロジェクトを遂行したか,問題の解決に当たり,チームメンバがどのように協力したか,等を評価するものである.5分間程度での評価であるが,日本大会と世界大会とでは評価方法が異なる.前者ではチームが活動内容を発表することによるが,後者では,FLL2005の場合,その場でチームに与えられた課題を遂行する様子を審査員が観察することにより行われた.この時の課題は,レゴブロックを用いて橋を造ること,であった.(d) ロボット競技
10個程度のミッションが設定され,それらを2分30秒以内でどこまで遂行できるかを競う.ミッションの難易度に応じた得点が設定され,合計点が競技の得点となる.時間をあけて3回のラウンドを行い,最も高い得点が採用される.具体的内容については,次章で詳説する.得点の内訳は,FLL2006日本大会の場合,3つのプレゼンテーションが各200点,ロボット競技が400点で,合計1,000点満点であった.また,FLL2005ヨーロッパ大会の場合,全て50点であった.プレゼンテーションの比重が比較的高い.