軌跡~-_科学と旅_-~




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デジタル識別子活用で花開く,Web x.0時代のコンテンツ


2009年2月9日

コンテンツ

 複数のコンテンツがある.あるコンテンツの登場人物から,別のコンテンツの登場人物に,電子メールでメッセージが送られる.あるコンテンツ中の物体や情報に,別のコンテンツの登場人物が(ネットワークを介して)アクセスする.あるいは,あるコンテンツの登場人物や物体や情報と,視聴者との間で,コミュニケーションが行われることもある.(デジタルコンテンツは,単にアナログ形式からエンコードされたものではない.デジタルならではの技術が駆使され,より付加価値の高いものにならなければ,デジタル化の意味は半減する.)
 全ての個人が同一のコンテンツを視聴するのが,現状のコンテンツである.(スポーツの観戦は,スタンド内の座席位置により,各々が異なる角度から視聴するが.)Web x.0時代のコンテンツは,各個人が視聴するコンテンツは異なるが,それぞれサイバー空間でつながっている.

Web x.0時代のコンテンツ

 各個人は,限られた空間を,ライブで,体験することしかできない.個人の範囲を超える部分は,テレビやインターネット等のウィンドウを通して,視聴(体験)することになる.一方,天上の神は,時空間を超えて,全体を俯瞰することができる(と考えられている).制作者の意図に基づいて組み上げられた,神の視点の一つを我々に提供するのが,映画や書籍等の現状のコンテンツであると言える.Web x.0時代のコンテンツは,神の視点の組み上げの一部を,視聴者の意志に委ねるものである.

プラットフォーム

 上記のような仕組みの実現に際しては,各コンテンツとその中のオブジェクト(登場人物や物体,情報等)に,ユニバーサルにユニークな識別子(Digital Identifier)が付与されていると,非常に効率的である.
 また,オブジェクト間のコミュニケーションのためのプロトコルも,標準として定められる必要がある.あるいは,各コンテンツ再生中の通信インタフェースの規定も必要となる.
 そして,これらをサポートするツール群が提供されなければ,広く普及しない.
 Web x.0時代には,このような環境,プラットフォームが整備されていると考えられる.

ビジネス

 コンテンツのマルチユースが進められている.たとえば,映画についていえば,映画館での上映,DVD等の記録媒体での販売,テレビ放送,ゲーム,書籍としての刊行,そしてキャラクターグッズの販売(テーマパークでの出演等を含む)と,一つの作品はさまざまに活用される.
 上記Web x.0時代のコンテンツが,既存コンテンツの活用先の一つとして追加されるだろう.Web x.0時代のコンテンツでは,多くのクリエータがそれぞれ制作することになる.したがって,元のコンテンツは(二次)クリエータのために広く開放される.
 もちろん,使用に際して対価を授受する仕組みが,上記プラットフォームの中に組み込まれていなければならない.

クリエータ

 Web x.0時代のコンテンツの登場により,クリエータの活躍の場が大きく拡がる.
 個々のキャラクターの深い掘り下げが得意なクリエーターは,一つの視点に基づくコンテンツを制作する.あるいは,開放される既存コンテンツをリメークする.その中で,他のコンテンツ・オブジェクトとのコミュニケーションのための”接点”を組み込んでおく.
 全体のストーリーや構成の創造が得意なクリエーターは,いろいろな視点のコンテンツを組み合わせて,一つの作品を制作する.その過程で,各コンテンツ・オブジェクト間のコミュニケーションの内容を組み入れていく.
 さらに,「オープン・コンテンツ」が広まるかもしれない.オープン・ソフトウェアやWikipediaと同様に,世界中のクリエータが,一群のコンテンツ制作や編集に参加する形態である.

視聴者

 Web x.0時代のコンテンツを視聴する仕方としては,大きく,2つのタイプがある.
 一つは,ある特定の視点から視聴するものである.このタイプは,既存のコンテンツの視聴と大きくは変わらない.異なる点は,視聴中のコンテンツの中に,他のコンテンツ・オブジェクトや視聴者とのコミュニケーションが含まれている,ということである.
 もう一つは,複数のコンテンツか組み合わされた”スーパーコンテンツ”を,神の視点で視聴するものである.この組み合わせは,基本的には任意である.組み合わせ制作クリエーターから提供される場合もあれば,視聴者自身が組み合わせる場合もある.
 この組み合わせは,マッシュアップの一種と言えよう.そのためのツールも提供されると考えられる.もちろん,このような視聴は,上記のプラットフォームが前提となっている.

スポンサー

 Web x.0時代のコンテンツでは,コマーシャル(CM)も一つの視点を提供するコンテンツの考えられる.したがって,CMコンテンツ内のオブジェクトと,本コンテンツ内のオブジェクトや視聴者とのコミュニケーションを設定することが可能である.



 以上,勝手な空想を書いてみました.技術的には実現できると思いますが,おもしろいコンテンツになるかどうか,まったく分かりません.
 でも,上記のようなことができるとなると,ちょっとわくわくしませんか?

〜ビジネスモデルが変革し,クリエータの活躍する時代〜