西表島の不思議な木の実を探す

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サカキカズラ

モダマカショウクズマメシロツブトウアズキサキシマスオウ

高い木の梢に蔓を絡ませ、たわわに実った果実をぶら下げるサカキカズラ

風車のように一方向に傾斜した5裂の白い花弁を
密集させて咲かせる。

山道でふわふわ飛んできた綿毛とぶら下がる果実。

成熟し乾燥した一対の果実はそれぞれが裂開し、数十の薄っぺらい種子をぶら下げた大きな綿毛は、風に吹かれ、中程から順番に飛んで種子散布を行う。因みに上の写真の烈開した果実は一対ではなく、一つの果実のもの。

植物界には色々な方法で種子を散布するものがあります。
山にある団栗など、動物の力に頼るもの。マングローブ植物を含めた海岸性植物で水の力によって生息圏を広げていくもの。そして、風の力によって種子を散布するものなどです。
左のサカキカズラはこの風の力に頼るものの代表格といってもいいでしょう。
秋から冬にかけて、西表の山中や川岸でふわふわとゆっくり風に飛来する大きな綿毛を見かけることがあります。
その大きさから一瞬鳥の羽毛のように思いますが、これがサカキカズラの種。
白く絹の光沢をもった羽の下には薄っぺらい茶色の種子がついています。
この大きな綿毛がどこから来るのか、これを知るのは容易ではありません。

まずは、カヌーなどを使って大きな川の川岸をゆっくり遡ることから始めます。

じっくり川岸の植物を観察してみると、マングローブが姿を消した中流域から川にせり出し始めた森の植物の梢には、沢山の種類の蔦が巻きついているのに気付く筈です。
その中に涙型をした10センチ程の細長い果実を左右一対でVの字にぶら下げている蔓があれば、それがサカキカズラです。
なぜ、川岸が良いかというと、それが開けた場所であり、山中よりは遥かに見つけやすいからに過ぎません。

サカキカズラは名前の通り、榊に良く似た無毛の葉をもつキョウチクトウ科の蔓性植物です。
蔓や葉を傷つけると白い乳液が染み出しますが、他のこの科の植物同様毒があると言っていいかも知れません。
冬場に咲く花は小さいながらも可愛らしく、蔓上に密集させて咲かせます。花弁の色は白ですが、遠目にはクリーム色に映ります。おそらくは花弁そのものよりも、その中心部のヤクや蕾が目立つせいでしょう。
受粉した花は一年かけて成熟し、再び青い果実を結びます。

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