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「シロツブ」も「ハスノミカズラ」も何れもマメ目ジャケツイバラ科の植物であり、特徴もほとんど差はなく、西表には両方存在していることになっている。
ただ、植物図鑑による解説は非常に曖昧で、本によっては説明が逆になっていたりする。
僕などもなんとなく、白いマメを作るのが「シロツブ」、黄色いマメが「ハスノミカズラ」などと覚えていたが、実はそうではなく、莢に入っている時に黄色いものが、日光に晒されるなどして、白く変色していくということが分かった。
では、2種の違いは一体何なのか。本当に西表に2種あるのか。また、西表に生えているのは正確にはどちらなのか。
この命題はまだ解き明かされていない。
取り合えず、ここでは友人の見せてくれた外国でシロツブ(Nicker nuts)とされているものが西表にある種類とは莢の形状、またマメの形状ともに違っていたことから、西表でよく見るタイプのものは「ハスノミカズラ」であるとして扱っていくことにする。
鋭い刺を持ったハスノミカズラの莢。
うっかり触れば、刺が指の奥深く、折れて残ることになる。
ハスノミカズラは低い山地や海岸林内に自生する蔓性植物で、その蔓は地面を這うように延びたり、また近くの木をカーテンのように覆い隠して絡み付いたりしていく。蔓には生育方向に対して下を向いた一対の鋭い刺が所々にあり、これで他の木などをガッチリ引っ掛けて上っていくのだと想像できる。
観察する為にはこの蔓が互いに絡み合った「藪」の中を抜けねばならぬこともあり、動く度、刺が服や皮膚に釣り針のように突き刺さり、傷だらけになってしまう。
10月頃、塔のようになった黄色い花を咲かせ、12月には未成熟の青い莢が確認できるようになるが、青々と茂る藪の中でその莢を見つけるのも容易くない。
莢は全体が鋭い刺で覆われており、外敵を寄せ付けない。中には楕円〜球形の黄色いマメが3〜5個入っており、完熟と共に一部は林床に散らばるが、莢が完全に裂けて開かない為、そのまま莢に残るものもある。
莢自体も1年以上落ちないものもある。
この仲間のマメは東南アジアでは解熱剤として用いられたらしい。
マメにはヘソを取り囲むように薄い円形の横縞が入るが、これが可愛い。
葉が落ちた冬。刺のある莢は、枯れた枝と同じ色をして、木に絡みついたまま残り、ようやくその存在が明確となる。
ハスノミカズラ花のアップ
ハスノミカズラの花と奇数羽状複葉の艶のある葉。
林床に落ちたマメから発芽した若木。彼らで埋め尽くされることを願う。
林床で拾ったハスノミカズラのマメ。写真のように黄色いもの、白いもの、中間で交じり合っているものと変化がある。
同じ仲間のナンテンカズラの花。こちらが作る莢には刺がなく、黒い平べったいマメが1つから2つ入っている。
かなりあちこちで見られる。
ハスノミカズラ。これも世界各地でアクセサリーに加工されたり、ゲームの駒として用いられている。世界のこの仲間は色味に富む。