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西表の沢沿い。汽水から淡水へと変わるちょうどその辺りから、なにやらウネウネと太い蔓が川岸の木々の梢に絡み付いている。
蔓はそれ自体も伸びたバネのようにトグロを巻き、梢から川面に垂れ下がり、また梢に登る。
太いところでは直径50センチを越えるこの蔓には葉が見えない。
眩しい太陽の光に目を凝らしながら木漏れ日の頭上を見上げれば、蔓が細くなっている先端部分では僅かに葉が茂っているようだ。
これがモダマという名の植物。
屋久島以南の亜熱帯、熱帯の森に生える巨大な蔓性のマメの仲間。
巨大な莢を高いところからぶら下げ、その莢や異様な蔓は立派なインテリアになる。
また莢の中に15も入る光沢のある硬いマメはアクセサリーにも利用され、人気がある。
このマメが沢の流れに乗って海へと下り、今度は潮の流れで色々な場所へ漂着する。
海流散布で子孫を広げる植物の代表格。
沢沿いでウネウネと伸びるモダマの蔓。全長何百メートルになるものか
大蛇が地面をのた打ち回る姿に似ている。
ただどこが根元か、根元を探すのは難しい
慣れれば、その独特な蔓の形は他のものと簡単に区別できるようになる
モダマの花に来たイシガケチョウ。この他にも蜂などが集まっていた
夜の花。夜にも小さな虫がいっぱい集まっていた
花はマメ科っぽくない小さな花が房状に集合したものを夏に咲かせます。
左の写真では8本もの房が写っていますが、結実し、下の写真のように巨大な莢をぶら下がらせるものはそう多くはありません。
実際、この花も一本も結実することなく、消えてしまいました。
また結実したものが完熟し、落果するには1年を要するようです。
高さ7メートルの木の梢から巨大な莢をぶら下げたモダマ。
この写真のものは既に莢を覆っていた頑丈な青い皮が落ちた後。
莢ごと採る為には木登りは欠かせない
「大漁!大漁!」喜ぶうちの妹。一番右の青い莢の分厚い皮がめくれて、茶色い莢に変わる。当然青いものの方が重い。林床にこの分厚い皮が落ちていれば上にはモダマの莢がある。
落果したものを集めた。上は種子を一つ一つ包んでいた袋。これが連なって莢を形成するが、袋の中には空気が含まれ、この袋ごと漂着する場合もある。中は袋から取り出した種子。下は剥がれ落ちた莢の皮。変色し縮んでいる。
台風などの後には莢ごと落下するものもある。因みに写真の莢の中には成熟した種子と、未成熟な種子が入っており、未成熟な種子が入っている袋の部分でウニャッと莢が縮んでいる。