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(11/11/20) 猛者 区二 さんから: TPPについて: TPPについて、もう少し考えてほしいと思いメールしました。 悪質なホームページへの誘導ではないので、時間があれば先に http://d.hatena.ne.jp/tanu_ki/20111111/1320985222#c と http://127.0.0.1:8823/thread/http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/software/1320983190/ を覗いてみて下さい。 で、「どうやらTPPを推進したい側の目論見は、農業や工業なんかにはなくて、 金融の完全自由化が目標らしい」という1点だけ、理解した上で、これからTPPについて 発言してほしいのです。 さらに、金融の完全自由化で、一体、日本にどんなことが起きるのか、 を想像するのに以下の文章が大変参考になります。少し長いのですが、 あなたの知的水準なら理解できるだろうと思います。 これを読む前に、ざっくり背景を説明すると、プロ向け印刷ソフトの分野へ、 10数年前にadobeが参入。競争で劇的に価格が下がったと、ユーザーに大歓迎された時代がありました。 今では競合企業は壊滅。もしくはadobeが、吸収してしまい、 市場をほぼ独占しています。そのグローバル企業が、3日ほど前に突然、 これから商品を定額制にしていくと宣言したわけです。 14 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2011/11/12(土) 08:19:55.93 ID:b95wY/DT0 Be: Cloudシステムに乗っかってはいけない。 これは料金が高いとか安いとか、年間いくらになるかとか、そんな単純な次元の話ではない。 このシステムの本質は「料金を払うのをやめた瞬間にすべてのソフトが使用不可になる=死ぬまで払い続けなくてはならない」ってこと。 もしマイクロソフトがウィンドウズのCloud化に成功したらどうなる? マイクロソフトが料金を後から年間10万に上げようが20万円に上げようが、 すべての企業が言われるがままに払わざるを得ないし、そうしなければ企業内の全てのPCが停止する。 また、もしマイクロソフトがオリンパスみたいな不正経理で倒産しそうになったらどうなる? 値上げを含むあらゆる手段をもってマイクロソフトを救済しなければ、世界中のPCが 「ある日突然」停止するんだ。 これが何かわかるかい?つまり「ソフトウェア会社が東京電力のような永続的 ライフライン企業に化ける」ってことなんだ。 つまりCloudシステムっていうのは「ソフト会社がユーザーの職業や人生を人質に取れる」 無敵のシステムなんだよ。 今まで存在しなかったから法律的な規制がまったくなく、誰もその危険にまだ気がついていないだけ。 このシステムが本当に映像業界に浸透したら、アドビは世界中のプロダクションを 人質に取るモンスター企業になる。 アドビに金を払うのを辞めた瞬間にそのスタジオは「絵筆のない絵描き」になる。 現状維持とか、後戻りすらできない。 今はまだCloudの料金は見かけ上安い。過去のライセンス方式から片足を乗せられるように、 極めて安い。 でもCloudに両足を乗せたら、もうそこからはどこにも行くことができない。死ぬまでアドビに料金を払い続けなければ、その瞬間に職業を失う。 水道料金や電気料金のように、アドビは事実上映像業界のライフライン企業に 化けてしまう。 そしてこのCloudシステムに対する倫理的な規制や料金的な規制は、 現在のところまったく存在しない。 Cloudに加入するくらいなら、クレジットカードのリボ払いや24回分割で MasterCollectionを購入したりアプグレする方がまだ安全。 みんなこのCloudが「永遠に利息だけを払い続ける、元金の減らないローン」だってことに 気がついていない。 それは金を払うのを辞めた時、もしくは金が払えなくなってすべてのソフトが 停止された時に初めて気がつくシステムなんだ。 「ああ、だまされた、最初に買った方がまだマシだった」ってね。 さて、関税を触ることは、簡単にいうと、大きく、強いものが有利なルールに 変わるということです。先の太平洋戦争で、多くの日本人は「大きくて強いものが勝つ」 単純な理屈を理解できませんでした。「海軍は、この状況に持ち込めば、 たとえアメリカ相手でも勝てる」「陸軍は、この点が敵国より強い」とまず考えたわけです。 まあ、部分でみれば、あながち的外れではありません。同様に、TPPで「農業は、こうすれば効率化 できる」と考える人がいても、不思議ではない。 しかし、本質はそこにないことを断言します。私はあなたが、 そこまで知的水準の低い人だとは思わない。 何より、他人が見えない未来を見通すことが、 株の醍醐味ではないですか? そのうえで、「いや、例えadobeがやったことが、 日本人の生活のすべてにおよんだとしても、それが低価格で供給され続ける限り、 最大多数の最大幸福は満たされる」と思うなら、それはそれで一つの見識です。 以上 -------------------------------------------------------------------------------------------------- 私からの御返事: mailありがとうございます。 国の間の障壁を取り去ってより自由な貿易を、というのは世界の大きなトレンドになってい います。各地域ではTTP以外にも幾つも協定が結ばれています。あるいは2国間だけの FTAも盛んで、特に隣国の韓国が積極的です。 さて、アジア・太平洋地域にある日本が今採用できる政策は、以下の@ABのうち いずれかです。 @アメリカが中心になって推進しているTPPに加入する A中国が中心になって推進しているASEANプラス3に加入する Bどちらにも加入しない準鎖国政策をとる 日本がBの道を選択することはありえないと思います。Bの道は、他国よりも不利な交易条件 をあえて選択することで、とてもじゃないが資源小国・老齢大国の 日本は食っていけないと思います。 とすれば、あとはA中国を選ぶのか@アメリカを選ぶのか、になります。そこで @とAを天秤にかけ、日本としては@の方が有利、と野田さんが判断したということになります。 問題は上記のような事情を中国に配慮したのか、 日本国民に説明できなかったことです。 さて、先の戦争で海軍は「大きくて強いものが勝つ」ことをよく知っていたので、戦艦大和など巨大戦艦を 建造しました。アメリカはパナマ運河を経て太平洋に戦艦を動かさなければならないので、 パナマ運河の幅の制約があって大和のような巨大戦艦を作りたくても作れないことを海軍は 知っていたのです。 だから戦艦同士の直接対決に なれば日本は勝つ、と海軍は考えていたようです。しかし、戦艦同士の一騎打ちには ならず、大和は航空機によって沈められてしまいました。 猛者さんのおっしゃるように海軍の考えは「○○の状況になれば勝つ」という仮定の 戦略が多かったことは否めません。その中でも大きな誤算は、戦艦から航空機の時代になったこと、 ドイツが連合国に敗れたこと、などの可能性を海軍が見落としていたことでしょう。 TPPに入った方が日本全体の利益になると、今は考えていますが、上記のような 誤算を見逃しているのかもしれません。そこを慎重に議論する必要があるという、 猛者さんの意見にも理があると思います。農業や工業の議論はあっても、 金融の話題が出ないのは落とし穴なのかも知れません。 さて、TPPへの抵抗が一番強かったのが農業団体です。 しかし、TPPによって日本全体として農業を強くなる可能性があると思いますし、 ぜひ強くするべきです。この辺のことは、さわかみさんが納得できるブログを 下↓に記しています。 http://www.investors-tv.jp/samiblog/ 簡単に言えば、農業者、農協は経営をしていない。また、農業は長らく高い関税障壁と 補助金で甘やかされてきた。 それらが、かつて食糧需給率100%だった日本の農業を弱体化させた。 世界的に見れば農業は成長産業であり、TPPは日本の農業が成長する市場に 進出するチャンスになる。日本の農業はこのままでは衰退する一方なので、 このチャンスに乗ってみる方がよい。 農業、工業、金融を含むサービス、それぞれの業界内の個別の事情によって、 TPPが有利・不利に作用する場合があるでしょう。廃業する農家も出るでしょうし、 大儲けする農家も出るでしょう。他の産業についても同じです。 いずれにせよ、自由貿易がトレンドならば、日本も同じスタートラインに立たなくて 立ち行かないと思います。強い者、優れたものが勝つのは資本主義の原則、 少なくても私が生きている間は変わらないと思うので、今異議をとなえても しょうがないと思います。時代の流れが、日本に勝負を仕掛けてきているので、どうせ 避けられないケンカなら、やって勝つように知恵を絞ればよいと思います。 最後に、2chの書き込みに正面から反論するのもなんですので、 ラスト1行だけに反論しておきます。 >Cloudシステムに対する倫理的な規制や料金的な規制は、現在のところまったく存在しない。 不正競争防止法や独占禁止法はCloudだろうと、クライアント&サーバだろうと 適用されます。MSがWindows使用料を突如1ライセンスあたり20万円にして、 お金を払えない人のPCを使用不可能にすることは、技術的に可能でも 法的に出来ません。(裁判になればMSは負けることが分かっているのでやらない) Cloudシステムによって被害を被ることだけを気にしているようですが、 こちらがよいソフト、優れたビジネスモデルを作る側に まわれば逆に大儲けも(もちろん法には触れないで)可能です。 やられることばかり考えないで、やることも考えたようがいいと思います。 なお、adobeに関しては市場規模や、 いきさつを把握していないのでコメントできません。 |