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(07/11/18)

みつばち さんから:

11/11 長期投資に向かない日本市場について?:

こんばんは、みつばちと申します。

一点だけ、指摘しますと、長期投資をすると 配当がもらえますが、複数の銘柄(仮に平均配当2.5%になるよう買い付けます) に投資するとして、成長する会社もあればつぶれる会社もあるかもしれませんが、 もっとも単純に20年間毎年元本の2.5%だったとして、20年x2.5%=50%元本の 50%は回収できる想定なので、キャピタルゲイン部分でー30%であっても、 全体ではプラスのはず。

配当への税金を考慮するともっと下がるかも しれませんが、増配があったり、配当を再投資していくと増え方が変わる ので元本の50%を上回ってくる可能性が高いと思われます。





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私からの御返事:

 こんにちは、メールありがとうございます。
みつばちさんの言われることはよくわかります。 きっとその通りなのでしょう。



 もしも投資額が数億円以上もあるのなら、20年で+50%という結果は かなり満足のいくものです。 資産が数億円も増加したのですから。 私も、もしすごく金持ちになったら、そのようにしたいと思います。

 しかし、我々サラリーマンの身分では、株を始める際にいきなり投資額1.000万円 以上、というのはほとんど有り得ないと思います。 ごく若い頃は100万円でも大金で、投資に回すのはなかなか大変です。 もし仮に、投資額500万円だとすると、20年間の実績+50%は、 750万円ですか?

 わずか+250万円でも、マイナスになるよりはいいのでしょうが、 リスクをとったのにこんな額ではしょがない、と私は思います。 これだけだったら、投資することを考えないで、本業で給与アップを はかるほうがずっと賢い、と私は思います。

 あるいは、この程度だったら定期預金だけでも達成可能なのでは ? バブルの頃、3年ものの定期預金利率が一時は8%/年近くありました。 そのころ私は、全財産400万円を定期預金して、3年間の利子だけで大衆車を 買ったことがあります。株を始める直前、1992年頃のことです。 その後利率は著しく下がり、ついにはゼロ金利にまでなり ましたが、この20年間では、たぶん平均 2〜3%/年にはなると思います。(詳しく計算していません)



 あえてリスクとり、時間を消費して投資するのですから、20年間ならば最低+900%、 すなわち10倍の実績が欲しいものです。 「資産の1桁アップ」…わざわざ投資をするからには、最低限そのぐらいは 欲しいものです。すなわち100万円が1.000万円、500万円が5.000万円です。

 しかし、先にも記したように、指数程度の実績しか期待できない、日本株の長期投資では、 10倍は望むべくもありません。日本株は小額k投資家が長期投資をするの には向いていないのです。そして、今後も株価はいったり来たりなの でしょう。

 こんな市場では、含み益がある程度出来たら利食いし、また含み損 が膨らまないいちにロスカットする。そして次の下落時の買いに備えてCPを 高めておくか、売りからはいる、いわゆるロング・ショート作戦 が日本株の現状からして効率的だと思います。

 バフェットやソロスは長期投資で巨額の資産を築いたのですが、 それはアメリカ市場が長期的に堅調である、ということを見抜いたからに 他ならない、と私は思います。もし、彼らがここ20年の日本市場に投資したとしたら、 比較的短期のロング・ショート作戦をつかったはずです。







 その他、はじめさん、isika rintarouさん、井出さん、 darisさん、Matumoto Hirohumiさんtm-aokiさん、noriさん、 HIROSHI YAMAMOTOさん、カルボニル基さん、アガシさん、J Stuartさん、S Moritaさん、k,mさん、Lammtarraxさん、 webmasterさん、infoさん、ボンズさんなどからメールをいただきました。 どうもありがとうございました。


(07/02/17)

川口 真人 さんから:

2月15日の文章を読ませていただいての意見:

 今までの文章をませていただくと、FLさんは現在金利を上げることが 国益ではないと考えておられるようですね。
さて、昨日のFLさんの文章を読みますと確かに0.25%の金利が 消費者物価を考えると相対的に割高な場合もあります。

 しかし、金利を上げること消費の原動力になり得ることもあるのでは ないでしょうか。
(金利を上げることが消費を落とす、あるいは経済を減速させるとは限らない) →物価を下げるとも限らない。

 また、金利をいつまでも低水準に抑えておくことでのダウンサイドも あることは歴史を振り返っても考えられることではないでしょうか。

 要するに、金利を上げるインパクトはその国の経済が何に依存しているか、 あるいはその時点で取り巻いている経済状況を考えなければ一概に 言えないと思います。それはFLさんもご存知だからこそ、 “実際はもう少し複雑です”と述べておられるのでしょう。

 私はここ最近の金融政策が周囲に振り回されていると思えてなりません (非常にタクティカルに)。 もう少し深く議論をしたいのですが今日は時間が限られているのでまた 近いうちにしたいと思います。


 私は現在大学院のマスター過程に在籍をしておりまして、 核融合の基礎研究をしております(未だ学生の身分ですが)。 いつもFLさんの技術者からの視点からのマーケット解釈を 楽しく拝見させていただいております。現在論文の締め切りで 焦っておりますので、またよろしくお願いします。




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私からの御返事:

 こんにちは、こざらし2(元FL)です。
川口さん、マスター論文、脱稿しましたでしょうか。核融合の研究ですか、 すごいですね。就職先は公的研究機関ですか?それとも、重工、東芝、日立、 GMなどでしょうか?いずれにしても、川口さんは前途洋々ですね。

 私も20年以上はるか彼方、確か2月1日締め切りの マスター論文に四苦八苦していました。 でも学生時代私は勉強以外に、趣味やスポーツ、女性にと、多彩に過ごしてしまった ので当初希望していた研究者になる道は閉ざされてしまいました。 民間企業への就職先は決まったはいましたが、 論文が通らないと大学院を出られないので必死でした。 なつかしいです。



 さて、金利の話です。
2月15日の”TODAY”に記した趣旨ですが、 「現在金利を上げることが国益ではない」ではありません。
あそこで言いたかったのは、
「現在の金利水準が低すぎるので利上げをしたい」あるいは、 「景気が悪化しはじめた時に利下げする余地を作りたい」などを、 金利を上げる理由とするのは間違いである、ということです。

 先日の繰り返しになりますが、金利が高いか低いかは、例えば消費者物価などとの 相対的関係で決まるのです。金利の絶対値で高い低いは判断できないのです。 したがって、 この考え方ですと、 現在は別に低金利ではない と思います。

「金利をいつまでも低水準に抑えておくことでのダウンサイドも あることは歴史を振り返っても考えられることではないでしょうか」との 川口さんの主張は真実でしょう。 しかし今の金利が低金利ではないとしたら、この前提部分は 今の日本には当てはまりません。



 また金利と消費との関係ですが、川口さんのように 「金利を上げると銀行預金に利子がつき、かえって消費が活発になる」と 従来の経済学とは正反対の趣旨の主張をする方も ありますが、ほんとうでしょうか? 私は銀行預金の統計や、消費の統計の詳しい数字を持っていませんので、 定量的な分析はできません。したがって、 以下では定性的な話になります。

・まず、低所得者層です。年収も低く銀行預金がほとんどない階層です。 預金どころか、消費者金融に借金がある方もいるでしょう。この層はたとえ 金利が上がったとしてもその恩恵は受けらず、借金がある分たぶん マイナス効果が大きい と思います。

・次に、中流層です。イメージとしてはごく普通のサラリーマンです。 銀行預金はそこそこあるでしょうが、中年以降になると同時に住宅ローンや教育ローンも 抱えている方も多いです。ローンが変動金利ならば返済負担が増すはずです。 子供のいない若い世代ならば、銀行預金の利子分は 消費に回すでしょう。しかし、子供やローンがある家庭ではそうはならないでしょう。 しかし、中流層全体では、 金利上昇によってある程度の消費拡大を 見込めるでしょう。

・最後に、年収が2.000万円以上、あるいは金融資産1億円以上ぐらいの 上流層です。この層は 金利上昇によって恩恵が大きいと思います。 1億円の銀行預金で金利が+1%上がれば+100万円、クルマを買うにしても、 ワンランク上の車種にするでしょう。ただ、上流層は日本の人口の わずかな部分しか占めていません。



 以上ですと、川口さんの主張されるように、 金利上昇は消費にいくぶんかプラス になりそうです。 しかし、世の中の経済を「金利と国民の消費」だけで理解しようとしても、 実際はそんなに単純ではありません。

・例えば、国と地方が現在抱えている 公的債務は1.000兆円近くあります。 金利が+1%上がれば、利払いが10兆円増えます。利払いの資金は政治家が 作るわけではなく、国民が支払う税金が原資です。 つまり、金利が上がれば増税される可能性が高くなります。 この観点では、金利上昇は消費を抑える 役割をします。

・また、日本企業の多くは、普通は 有利子負債を抱えています。 金利が上がれば企業は利子の支払いが多くなります。 そうなれば、そこで働く社員の賃金を押さえる方向に なるのではないでしょうか。この観点でも、 金利上昇は消費を抑える 役割をします。ただし、銀行などは貸し出しの利ざやが 増え、また無借金企業も貸し出しの利ざやが増すので、業種・業態によっては 金利上昇は業績にプラス に働くでしょう。



 外国との関係で金利上昇を考察すると、ますます複雑になります。 例えば、アメリカとだけの関係です。アメリカの金融市場では、 長期金利が短期金利を下回る「長短逆転金利」が出現しています。 これまでありえなかったこの現象を起こしているのは、アメリカより金利の絶対値が 低い日本からの大量の資金流入であると言われています。

 ご存知ように、アメリカは日本同様莫大な財政赤字に加え、 巨額の貿易赤字を抱えて世界一の債務国です。 借金を膨らませてなお活発な消費を謳歌できるのは、 日本から流入する資金の恩恵と言われています。 日本のおかげでアメリカは好況を維持しています。日本もその影響に より好況が続いています。

 ですから、日本がアメリカよりも金利の絶対値をはるかに低く抑える のは両国の国益にかなうと、今のところは考えられています。 先日、ヨーロッパから円安非難が出かかりましたが、アメリカが それを阻止したのは、こんな背景があると思います。 まさに日米経済同盟、小泉氏とブッシュ氏が密約?した経済同盟です。 (小泉さんは、プレスリーの真似をするためだけにブッシュ氏に会いに行った のではありません)

 もし日本がアメリカに無断で金利を上げようとすると(+0.25%程度なら 実質問題はありませんが)、以上の前提がガラガラと崩れてしまいます。 しかし先日、バーナンキ氏が議会証言で、今後のアメリカ経済の運営に関して 自信を示しました。ごく最近、アメリカ首脳部と安倍政権が 「小泉政権の経済政策を踏襲する」との確約をしたと思われます。

 こんなことでは「日銀の独立性」はどうなるんだ、と考える方もいるでしょう。 しかし、「日銀の独立性」などというタテマエを信じている方が不勉強 ではないでしょうか。なぜならアメリカのFRBさえもホワイトハウスから独立して いるわけではなく、ホワイトハウスとFRBが共同で、 「独立しているように巧妙に見せている」 のが本当のところだからです。 その意味で政府と日銀は、「日銀の独立性」を国民にアピールするのに失敗しているに 過ぎないと思います。

 以上を勘案すれば、もし夏の参議院選で、与党が大敗しなければ、 日本の(アメリカよりも相対的な)低金利政策はあと数年続くと思います。 円安、株高の流れも、これまでよりも穏やかになるにしても、 中長期的にはまだ続くと思います。そして、 低金利は、株式投資を行っている我々 個人投資家にとってもプラスであると、私は考えます。





 その他、NAOKIさん、斉藤ケイ子さん、柴原さん、 浅沼さん、ゴアゴンゴンさん、龍さん、越後屋さんからメールをいただきました。 どうもありがとうございました。