里山ってなんなの??

<なぜ、イノシシが田畑を荒らすようになったの??>



農家の多い田舎町に生まれ育ったにもかかわらず
実家が農家ではなかったことと、住んでいたのが山間部ではなかったため、
私は、<野生動物による農作物への被害>と言うものを、全然知らないまま大人になりました。
野生動物が人に被害をもたらす
と言えば、
ニュースで知る、遠くの地域での<熊の出没>の話ばかり。
それが、
里山オーナーになったとたん、身近になったのです。
何故なら、
里山へ通うようになった最初の冬、
山の持ち主・マスターTさんの田んぼが、こんなことになってしまったから。





せっかく実った稲を、イノシシに倒されて食べられてしまった・・・!
更に、稲刈り後の田んぼも・・・↓





もう、ミミズを目当てに掘り返したんだか、グチャグチャです。
この畦(あぜ)を直すのが、どんなに大変なことか!


そんなわけで、<野生動物による農作物への被害>を目の当たりにするようになり
この件に、関心を持つようになりました。
全国的には

イノシシ、サル、鹿、熊、カラス

など、色々な動物による被害が出ているようですが
我が里山に関しては、サル・鹿・熊は出ないので、問題動物と言えばイノシシ。
でも・・・

「なんで?」

と思いました。

「なんで、イノシシが田んぼに出て来て、荒らすんだろう?」


最初は、
奥山(奥山の定義はこちらをどうぞ)に林道が出来たり、ゴルフ場が出来たりして自然環境が破壊され
食べ物が無くなって、人里に出てきたのか?
と思いました。

しかし

色々と本を読んだり、ネットで調べたりしているうちに
どうやら、そう言うことでは無さそうだ・・・と。
どうやら、最も大きな原因のひとつには
<人工林の問題><竹林の問題>と同じく
山間部の過疎化・農林業の後継者不足があるらしい・・・・・・・
と言うことがわかってきたのです。


野生動物と言うのは、本来、身を隠せる深い深い森の中が好きなんだそうです。
運動場みたいに、スカーッと周囲を見渡せる場所はイヤ。
自分が丸見えになるから。
なので、
以前は、人里から遠く離れた奥山で暮らしていたのだそう。
なにしろ、
人里に近い里山は、
人が薪(まき)にする木を伐ったり、肥料にする下草を刈ったりして、スカスカの状態。
例えば、こういう感じです。↓



もう、こんな所でウロウロしていたら
里山へ来ている人間に、一発で見つかってしまいますよね。
なので、野生動物は、里山には近づかなかったそう。
当然、
里山の先にある人里にも近づきません。
里山が緩衝地帯となって
<奥山>と<人里>が、平和に住み分けられていたのだそうです。

それが

過疎化と後継者不足で、この数十年の間に、里山は里山でなくなってきました。
誰も木を伐らないし、草も刈らない。
竹が進出して来ても、、そのまま。
よってジャングル状態に。↓



野生動物にとっては、<奥山>が<人里>まで延長されたようなものです。
森やら薮やらに身を隠しながら、
食べ物を探してゴソゴソ移動していると
ふいに森が途絶えて、ポコッと田んぼの畦道に出た。
(例えばこんなとこ)↓



見れば目の前には、稲やら芋やらトマトやらミカンやらが・・・。

やったーー!♪♪



と言うのが、今の<野生動物>と<里山>の関係のようです。
農家も、大変な迷惑をこうむっていますが
野生動物にしたって、いい迷惑ですよね。
環境を変えたのは、人間の方なんですから・・・。


だから、
荒れた里山に手を入れると言うことは
農作物への被害を少なくすると言うことでもあるんだと、わかってきました。
また
手入れのために、人が里山に入ること自体、
野生動物を、里山から遠ざける効果があることも。
こうした行為は、野生動物に対する人為的圧力、<人圧>になるのだそうです。
なので、
イノシシに人圧をかけるべく
里山に通い、せっせせっせと竹を伐り、薮を切り開いていった、この3年半。

なのですが・・・・・

最近になって、ちょっと迷いと言うか、不安が・・・・・・・。


と言いますのも
私と夫は、こう言う状態の山を↓





こうしてきたわけですが↓





でも・・・私達みたいに週1回程度の活動で、
果たして、野生動物、我が里山の場合はイノシシですが
果たしてイノシシに人圧をかけているのかどうかも怪しく、
現実に、毎年、イノシシの田んぼへの被害は出続けていて・・・

・・・逆に、こうやってスッキリさせたおかげで、
イノシシが、通りやすくなっただけじゃないの??


逆に、マスターTさんの田んぼの被害を、大きくしているだけではないの?と不安が湧き上がる。
野生動物的には、薮の方が良いんだから
と、いくら言われてもねー・・・・・・・。
どうしても、人間の感覚で考えてしまいますし・・・。



結局、不安なのは、自分がイノシシの生態について何も知らないからだ
と言うことにも気がつきました。
なので、
その不安を解消するべく
イノシシの生態を、ちょっと真面目に勉強し始めたこの秋。
考えてみたら
<猪突猛進!>
のイメージしか、私には無いイノシシ。
私は、彼らのことを何もしらないまま、間接的に接し続けているんだなぁ・・・
と、つくづく反省した次第です。
そして
勉強すればするほど

「本当に何も知らなかったんだ!!」

と驚くばかり。イノシシが、こう言う動物だったとは!


勉強の結果は、また次回に書こうと思います。


それにしても、野生動物との共存は、本当に難しい・・・。





     なお、野生動物による被害(鳥獣害と言うのだそうです)については、
     鳥獣害対策のプロ・サルネエさんのブログ<遊悠畑>でも、勉強させていただいております。



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