里山ってなんなの?? <イノシシってどういう生き物なの??> |
<猪突猛進> 私にとって、この言葉のイメージしかなかったイノシシですが、 調べれば調べるほど 「うそ!?」 と言いたくなるくらい、違った生態があきらかになってきました。 読んだ書物の中では <イノシシから田畑を守る/江口祐輔 著> という本が、素人にも、最もわかりやすく書いてくださっていたので これを参考にさせていただきますと まず、 <イノシシは猪突猛進ではない>。 意外ですが ものすごく臆病な生き物なので、なりふりかまわず突き進むと言うことはないのだそうです。 身を隠せる森の中、薮の中に生息し 開けた場所・・・田んぼなどへ出て来る時は、ものすごく時間をかけて周囲をうかがい やっと、ソロリソロリと出てくるのだとか。 出て来たとしても、 何かにビクつくと、一目散に方向転換して逃げ去るそう。 この逃げ去る際には、かなりドドド!と突き進むので 人や猟犬に追われたイノシシは、まさに<猪突猛進>となるのだそうです。 つまり、 我々がTVのニュース映像で見かける <街の中をドドド!と走るイノシシ> というのは、そういう、追いかけられて切羽詰った状態で 逆に言えば 人の目に触れるイノシシは、常に<猪突猛進>状態だと言うこと。 それで、偏ったイメージが出来上がってしまったのでしょうね。 本来のイノシシは、Uターンもすれば、ソロソロとおとなしやかに歩くことも出来る 身軽な野生動物。 その<身軽>と言うことで驚かされたのは、 なんと <助走無しで、1メートルの柵を飛び越えられる> と言うこと。 助走無しですよ!?? 体力測定の垂直飛びと同じです。 あれで、皆さん、1メートル、飛べます??? なんと、イノシシの成獣は、飛べるんだそう。 なので、田んぼを囲ってある電気柵、 あれは高さ50センチ足らずなので、楽々飛び越えられるのだそうです! そして 万が一、電気柵を飛び越えている最中に、体が電線に触れたとしても なにしろ、あの剛毛に覆われた体、 電流なんて屁のカッパなのだそう! 唯一、電流を感じるのは、鼻だそうで ここが触れると、相当な痛みを感じるらしい。 と言うことは、つまり・・・・・。 昨年(2006年)秋に、イノシシに荒らされたマスターTさんの、↓この田んぼ。 イノシシに走り回られ、稲が倒されておりますが↑ この田んぼ。 私は、最初、イノシシが、↓この坂道をドドドドドーッ!と駆け下りて行き 走り降りて行った勢いで、ジャンプ一発、田んぼへ飛び込んだ と思い込んでいたのですが、 違う! 実態はどうやら、↑の坂を、トコトコと降りて行き 田んぼに稲が実っているのを発見! 電気柵(↓ピンクの線状に張ってある)の前へピタリと座り、ジャンプ!! ヒラリと中へ飛び込んだ と言うのが、正解のよう。 で、中でグルグル回りながら稲を食べているうちに↓ 偶然、電線に鼻が当たった! そう、電線は、ちょうどイノシシの鼻が当たるくらいの高さに張ってあるのです。 当たった! メッチャクチャに痛い! いってぇーーー!!と柵を飛び越えて逃げて行った。 以後、学習して、そのイノシシは、ここへは来なくなった・・・。 と言うことのよう。 おそらく、この田んぼへ来ていたのは、その固体だけだったのだろうと思われます。 以後、本当に、イノシシは来なくなったから。 ・・・それにしても、何と言う生態。 本当に、最初のイメージとは全然違いました。 <臆病で><猪突猛進ではなくて> <身軽で><電気柵なんて、鼻以外なら触れてもへっちゃらで>。 ・・・ただ、ひとつだけホッしたのは<ものすごく臆病だ>と言うことです。 他の野生動物に比べても、かなり臆病な性格らしく 身を隠す所の無い、開けた場所は、本当に苦手で、 田んぼや畑の周りの雑木林を間伐し 下草を刈れば イノシシは、かなり出て来にくくなるんだそうです。 また 慣れたけもの道でも、ちょっとした異変があると、恐くて通れなくなるくらい恐がりだそうで だから、 イノシシの通り道を、人間が踏み荒らすとか 通り道に棒の1本でも立てて、<異変>を起こしてやると ビビッて近寄らなくなるそう。 言われてみれば、確かに! 私達は、2ヶ月くらいかけて↓この山の斜面を このように手入れして来ましたけれども、 この間、この斜面に、イノシシが近づいた痕跡は、一切ありませんでした。 スカーッとして、見通しが良くなり 人間の感覚なら<通りやすくなった>と思う場所なのですが イノシシ的には 人間の気配が濃厚だし、毎週毎週景観が変わるしで 「恐い!」 場所だったのでしょう。 ならば 田んぼの稲が実り出す頃、 里山オーナーが積極的に山へ来て、どんどん間伐したり下草を刈ったりすれば 電気柵以上に効果があるのでは・・・ と思うのですが、 ・・・稲が実りだす頃って、香川県では9月の初めくらいから。 まだまだ真夏並みに暑くて 皆、あまり山の手入れに来たがらないのですよね・・・・・・・。 山仕事って、本来、冬の仕事だから・・・。 でも 電気柵がパーフェクトじゃない以上 稲の実りに応じて、人がもっと里山に来れば と思います。 草を刈ったりして景観が変わっても、 やがてはイノシシも、また、その変わった景観に慣れてしまうとか。 だから 多くの人が、ひんぱんに出入りし、しょっちゅう作業をする山というのが 理想の里山なのだと思います。 里山が過疎化する以前は、そうやって、人が出入りし 山の手入れもして イノシシを遠ざけていたと思うのですが。 江戸時代の末期まで、 山間の農村は、イノシシ、鹿、熊、ウサギなどの 野生動物による農作物への害に、頭を悩ませ続けてきたのだそうです。 各地の里山に残る<シシ垣>が、その野生動物との攻防を物語る・・・。 しかし 明治に入って、農民に猟銃を持つことが許され また、動物の毛皮が、欧米に大変な値段で売れるようになってからは 事態が一変。 我も我もと、にわか猟師が生まれ あっと言う間に、野生動物の数は、激減していったそうです。 この時期、 ニホンオオカミは絶滅するは、ニホンカモシカは絶滅寸前になるは・・・。 結果、ニホンカモシカは天然記念物に。 そんな時代が、1960年頃まで続いたのでしょう。 私が幼少の頃、 自然と言うものは、破壊される一方で 野生動物も、絶滅に追いやられる一方で 「守らなければ!」 と言うイメージばかりでした。 が、 鳥獣保護区を作り 猟期も決め、野生動物を保護していった結果・・・ イノシシや鹿のように増えすぎて、過疎化した農村に被害を与える動物も出始めた・・・。 ニホンオオカミがいれば、もっとバランスは取れていたかもしれない と言う説もありますが ともあれ 現代は、江戸時代以来の、野生動物との悩ましい関係の時代に入ったようです。 イノシシは憎たらしいけれども 絶滅すれば良いなどとは、私は思っていません。 なんとか田んぼへ来ないよう、寄せ付けないよう 先人がしてきたように、努力していくしかないのだろうと思っています。 そのためにも 公的な予算が欲しいーーー!!! |
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