内服剤、注射剤共に共通する副作用は多胎(ふたご以上)です。しかし実際には内服剤による多胎は少なく、まれに双胎が起こるくらいです。ほとんどの場合は注射剤による多胎です。注射剤による妊娠例の4例に1例は多胎とも言われ、とりわけ多嚢胞性卵巣症候群の患者さんに多く見られます。多胎は母体に負担がかかるのみならず、赤ちゃんも小さく生まれることが多いため、ひとえに喜べるものではありません。
また社会的にも小さな赤ちゃんを育てるには多額の医療費がかかり、大きな問題になっています。
内服剤の副作用には危機的なものはあまり多くありません。ときにクロミフェンで眼精疲労が起こることがありますが、かなりまれです。最も問題になるのは頚管粘液の分泌不良で、これは内服剤の作用機序から避けられないものです。つまり精子の侵入障害と言えるかも知れません。 また子宮内膜も薄くなり着床環境が悪くなります。
注射剤の副作用に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)があります。多胎と同様、多嚢胞性卵巣症候群の患者さんに多く見られ、重症化は命に関わることもあります。新聞やテレビの多くの報道はこの問題です。