卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は排卵誘発剤とくに注射剤で問題になる最も恐ろしい副作用です。

 その症状は、

お腹がはれる

血液が濃縮する

に大別されます。排卵誘発を行っているときが危険な様な印象がありますが、実際には排卵後、つまり高温相に起こります。とりわけ目標である妊娠が成立した場合、さらに悪化するのが特徴です。赤ちゃんが卵巣を刺激するhCGをつくるためです。 卵巣過剰刺激症候群はいわば「必要悪」であり避けることは出来ません

 お腹がはれるのは、ゴナドトロピンによって刺激された卵巣そのものがはれたり、二次的に周辺にお水(腹水)がたまることによります。 

 軽症の場合は、軽い膨満感、違和感程度ですが、ひどい場合には卵巣はすいか大くらいになり、痛みや食欲・便通に異常が出たりすることもあります。胸に水がたまるほどですと更に危険で、呼吸困難を起こすこともあります。

 しかし本当に恐いのは血液の濃縮です。