【 蛇骨ものがたり 】 … あやかしHP・末法様より



ここはとある村、とある屋敷。七人隊は四魂のかけらを奪うため、屋敷の者を皆殺しにして立てこもり、敵方を迎え討つ。
これは敵方を待つ間、蛇骨が語ったものがたり。


っか〜! 嬉しいねえ、またこうして大兄貴と酒が飲めるなんてよお。こんな薄酒でもなんだか酔って来やがった。死んでた間に弱くなったかねぇ。煉骨の兄貴〜肴くれ! (自分で用意しろっ!) ちぇ! あれーあそこに白菊いっぱい咲いてんじゃん。
なあ大兄貴、死んだ時の事覚えてる?あん時すごかったよなー、俺、さすがに一度にあんな大量に人殺した事無かったぜ。もう無我夢中でさあ、敵数多すぎだっつーの。息つく暇も無かったね。でも、あん時俺すっげー楽しかったよ。あんなに無心になった時って後にも先にも無いんじゃねーか? 捕まって首ハネられる時も、俺後悔しなかったもんね。なんつーかこう、やるだけやった!ての? あ、でも俺の首ハネた奴、すっげー不細工だったんだよ、あいつをぶっ殺せなかったのが唯一の心残りだな。 (霧骨とどっちが不細工だよ) んん〜そうね、良い勝負....って、ムゴイこと言うね大兄貴。おい冗談よ、泣くなよ霧骨。あっ!凶骨気いつけな!そこの白菊踏み潰したら斬り殺すぜ!
そんでね、首ハネられてもしばらくは、俺あの世にいかなかった。色んな所を行ったり来たり、ふらふら道草食ってたよ。そしたら次の日位にさあ、晒し首だよ七人で。俺らほんとに仲良しだよな。でもさ、俺の首の前だけに、置いてあったのよ!うふふふ〜ん♪ (……何をだ。) 聞きたい?聞きたい?睡骨ちゃん?お医者のお前が好きそうなもの。 (あぁ?) ほうら睡骨後ろ見てみい、咲いてんだろ?清楚な白菊! (俺は花なんか好きじゃねえ!) お前じゃねえよ、お医者のお前。絶対お花で心癒してるよ、お医者のお前。そう、そいつが置いてあったのよ!
きっと通りかかった色男が美しい俺を不憫に思って手向けたんだな。美しい…生きていたらお前と抱き…ぅおい!!銀骨ぎしぎしうっせーよ!折角素敵な想像してたのによ! (妄想だろっ) なんだよ皆してよ。
あ、えーと何だっけ?そう白菊だ。その白菊を見てたらよ、何かすっげーきれーとか思っちゃってぇ。不思議だよなあ、あーんな激しく殺し合ってた間にも、あの白菊は咲いてたんだろ? 真っ赤っかな殺し合いと真っ白しろな白菊の花。こんなに両極端なもんが同じ場所に存在してんだぜ、ふつーに。殺し合いも白菊も、分け隔てなく差別せず、両方優しく抱え込んでさあ、俺はこの世の懐のでかさを感じたね。
それまで正直言ってよぉ、色男は除いて世の中クソだと思ってたのよ。だって俺、赤子の時にとーちゃんかーちゃんから捨てられてよぉ、村のやつらは俺のこと最後まで受け入れなかったし。
でも、あの白菊見てたらさ、そんな事ばかりじゃないって思えた。また少しでいいからこの世に戻って来たい…って、未練じゃねえよ、死んでからこの世のでかさを感じたんだな。またこの白菊の咲く時期に、俺はこの世に戻ってくる。そん時は、柄じゃねえけど、お前を愛でてみよう。だから、待っててくれよ…って、俺はその白菊と約束したのさ。そしたらどーだい、本当に戻って来ちまった! だから少しの間だけでも、あの白菊を眺めていてえのさ。格好良くねえ?俺。
え?え? どしたの皆。え、敵? あ、もしかして犬夜叉───っ!! ちっ、鋼牙。ま、その短い腰蓑に免じて許してやるか。もうちょっと白菊見ていたかったけどな、でも俺の居場所はこっち側。色男の流す血がだ─────────い好きなの俺。
そうねでも、白菊の咲き誇るよな、そっちの世界も一度覗いてみたかったんだ。だってこの世は殺し合いばかりで埋め尽くされてるわけじゃない。もっと他の、色んな世界があるはずだから…。あ、犬夜叉!いーにゅーやーしゃー!!!
じゃ、俺は戻るとするか。俺の居場所に。そして、この世のでっかい懐みてえに、自分の身に起こる事、この手で全部抱きとめるんだ。例えそれが、二度目の死であろうとも!
よっしゃ、いくぜっ!!


蛇骨の二度目の生は決して長くはなかったが、その清々しくさえある死様に、白菊を一輪手向けよう。
どんな世界に生まれるか、どんな世界に生きるのか。例えそれが殺し合いの世界でも、私に裁くすべはない。
ただ、また生まれ変わって来る時も、貴方らしくありますように。



蛇骨の流されるような破綻した性格を、文章作法を無視した書き方で表現されています。



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