【 許しはしない。意に反することを為す者を −お題6− 】




―――― 許しはしない。意に反することを為す者を


そう、今までは

誰一人として逆らうものなどはなく
逆らって、生き永らえた者もなく


私の前を塞ぐ事を
私の後ろを曳く事も

許しはしない


そう、今までは……



「殺生丸様!」

姦しく囀る鳥のように、私の周りに纏い付く人の子よ
訳もなく連れ歩き、気が付けばお前は ―――

この腕の中に

「あったかいね。もうお山は雪なのに」

私の腕の中で、小さく身じろぎながら嬉しそうに呟く
あたたかいのはお前が私に触れる、その小さな手 赤い頬

―――― 暖かいのは、お前が私を見るその瞳

「りん……」

呼びかければ、その顔はより一層輝く
私を絡め獲る ――――  

その笑顔



「お前は……」

呟きながら、りんの幼い項に顔を埋める
気付かぬうちに、冷たい冬の土の上に横たえる事を避けたのか
己の膝の上に抱き込み、一糸纏わぬ素肌を妖毛で包み込む

相反する、むねのうち

何故、逆らわぬ?
このような目に合わされて
己が身を守る術も知らぬ娘

逆らうな!
この私に!!

例えお前だとて容赦はせぬ
お前が私から離れると言うのならば……

その身を引き裂いてやる ―――



「……ここにいるよ。どこにも行かない」

きつく抱き締めた腕の中から、小さく返ってくる答え
問いもせぬのに、返ってくる答え

「りん…?」
「……そう聞こえたの。殺生丸様の胸の音。ゆっくり静かに、とくんとくんって」

「ゆくな、ゆくなって」

顔を上げた私の裸の胸に耳をあて、細い腕で、小さな手で私に抱きつく

「……だから、殺生丸様もりんを置いてゆかないで。ずっと、お側に ――」

左の二の腕で華奢な背を支え、右手で腰を引き寄せ ―――

より深く ―――


薄い胸
寄せた唇越しに聞こえるお前の鼓動
とくとくとくと、駆け足で

私の視線の先に濃紺の天上より舞い散る 六花の花弁
ひとひら ふたひら 舞い降りる
地にふれ とける その儚さよ

判っている
重なりあう時の刹那さなどは

ならばせめて、この雪のように
冷たい季節に身を重ね、降り積もり一つになって
今は 眠りたい

とけて流れ去るお前の時に残されて
一人 目覚めるその季節まで

天の定(さだめ)、宇宙(おおぞら)の理(ことわり)
この私の力を持ってしても、適わぬとしても ―――


―――― 許しはしない。意に反することを為す者を


【終】


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