おまけ

ベルファストに滞在中

2011.8.4

今年の夏は,地震の影響に翻弄される大学を抜け出して,ふらっとベルファストに滞在しています.

海外でポスドクを経験した人が日本に帰ってくると,よく「日本は研究がしづらい!!」なんて話題になります.形だけの上下関係や意味を見いだせない会議や委員会なんかが,理解できない対象にあげられますよね.僕の場合,それらとはちょっと違っていて,とにかくアメリカの真似みたいな制度が幅を利かせていて,それが普遍的なやり方であるかのように浸透している所が,あまり好きではありません.お金をじゃんじゃか使う事に価値があるとされたり,論文は早さが絶対だと思っているところとか・・・

逆に言えば,この日本の制度の欠点(?)を正しく認識することが,身を立てられる一つの理由になっている気もします.圧倒的な政治力を身につけたいならともかく,純粋に化学という学問を楽しみたいならやっぱりヨーロッパがお勧めです.

少し話題を変えまして,「多数決」ってどこからどうやってこんなにも市民権を得てしまったんでしょうか.小学生の頃には,民主主義の象徴なんて習った気もします.Majorityの意見を採用することに異存は無いのですが,特に研究ではminorityの意見がダメかというと,むしろそうではないように思うのです.良い論文を通す,予算に採択される,なんていうのは採択率が2割程度,中には1割を切るようなものも多々あるので,majorityの視点では,全くお話にならない・・・っていう事になるように思うのです.

これに関連するのですが,アカデミックでしっかりとしたポジションについて研究をしていくには,他の研究者(教授とか)の多くに80点を付けてもらうよりかは,一人の研究者から99点を付けてもらう方が重要であるように思います.特定の人から極端に高評価されてこそ,ではないでしょうか.あまりにも世の中が事なかれ主義になっていて,majorityの立場にいるのが無難なように思えて,実のところ全くの真逆だったりするのでは...と思います.多数決に関してここまで功罪の罪が目立ってしまうと,小学校や中学校で,少数意見を持つ事の大切さを教育した方が良いように思います.

ところで,ここ数年取り組んできた大型論文ですが,ようやくとあるジャーナルから審査員のコメントを受け取りました.かなり追加実験をしなくてはいけないし,トータルで見ればまだまだゴールは遠いけど,好き勝手やっているのだからこのくらい何とかしなくては,です.今年中にはきちんと世に出すつもりで,しっかり取り組みます.

この論文,だいぶ前から「公表されたら, ○○してくれる」的な約束を結構したように思うんですけど,せめて一つくらいは応答あるのかなぁ(笑)?いけない,いけない.アクセプトまでは気を引き締めなくては.

いずれにしてもこんなに生物系に偏った内容に自分から足を突っ込むのは,これで最後かもしれません.今後,生物への応用は信頼できる生物学者にお任せして,自分は化学ベースでのプロジェクトに集中しようと思います.そのための環境作りも少しずつ初めていきたいと思っています.