おまけ

たった一人の研究室生活1

2009.7.1

最近は,というよりこの 4 月から研究室で一人になってしまいました.学部の HP などを見られた方からは「どこにいっちゃったの?」なんて言われますけど,居場所は前と変わりませんし,以前と同様普通に研究してます.ただ,下に付いている学生がいなくなってしまったんですよ(無事卒業しました).僕はかなりの甘え性(研究に関してではなく人に,というより女の子にですよね・・・)なので辛い部分もありますが,因果応報と思って今のところはおとなしく受け入れています.

今年は有り難いことに早々から研究成果に恵まれました.JACS に公表した温度センサーの論文も Chem. Commun. に公表したデジタル型 pH センサーの論文も,化学雑誌をはじめ色々なところで取り上げられました.さらに,どちらの成果に関する学会発表(高分子学会と分析化学討論会)も広報に選ばれ,「質が高ければ必ず認められる」ということが再確認できました.

余談になりますが,たまに「どうやってとりあげられるの?」っていうことを聞かれます.もちろん詳細では色んなパターンがありますが,研究成果が取り上げられるにはそれなりの戦略が必要です.まず,第一に必要なのがちゃんとした新規性のある仕事をすることです.これについて言えば,「JACS 通ったから」なんてあんまり意味ないです.今の JACS なんて焼き直しみたいな論文が山ほどありますから.だから発想面で常に人の真似をしないように心がけておくことが大切です(周りの人が理解できないくらいでちょうど良いと思います.相手にしているのは世界であって,日本,いや上司ではないですから).それが出来た上で,さらに論文で自分の意見を凝縮させて,それなりの雑誌に通す事も大事です.論文の新規性という点ではイギリス留学時代のボス AP が僕に言った事はとても的を得ていると思うし,常に心がけてます.破ったら怒られるので破れません.それは,「論文(イントロとディスカッション)では絶対に自分の(過去の)論文からコピーアンドペーストをするな」,と.これいざ取り組んでみるととても大変なんですけど,すごく効果があります.で,こういうことをしっかり守って論文を出していれば自然と声がかかります.これは本当ですので,ぜひ試してみて下さい.

話は戻って,この 2 年強はまさに自分の思うままに研究を行ってきました.教授を研究チームから外したり,露骨にやる気のある学生しか指導しなかったり(というよりやる気のある学生しか寄ってこなかったんですけど・・・)と.昨年 3 月に突如として表面化した教授の問題はどうも沈静化させたみたいです.科研費などの応募停止に加えそれなりのペナルティーはくらったはずなんですけど,ここまでオープンにはならないところをみると,・・・ですね.体質の問題ですかね?

僕が研究室(薬化学)を離脱するに至った人間関係のこじれは,僕にも原因がある事は分かってます.でも「内山ももうちょっと大人にならないと・・・」っていう人にははっきり言っておきます.「不正を働く上司の不正行為に従うのが大人ですか?あなた研究者として腐ってませんか?」

さてさて,それはともかくこういう事態になってしまいましたので,またここからスタートを切って自分も少しずつ研究面で成長しなければいけません.今の環境が良いのか悪いのか分かりませんが,それでも時間は止まらず過ぎていきます.自分らしさを捨てずによりレベルアップを,ですね.どうやったらいいかすぐには分かりそうもないですけれど(笑).