(2017.12.17 掲載,2020.8.14 更新,2020.12.11更新)
日本では校則について昔からいろいろな論争がありました。ここ最近では,非人道的な,よくもこのような規則が出来たものだという「ブラック校則」論争もあり,まだまだ続くような気配です。
一方,15歳生徒の学力調査(PISA)で毎回トップクラスのフィンランドではどのような校則があるのかをご報告しましょう。
フィンランドでは,国家教育委員会(学校運営の国家的元締め)が「校則作成指針」(pdf LATAA マークをクリック)を作成しており,各基礎教育学校(小中一貫校),普通科高校,職業学校(高校レベルの職業教育校)は,この指針以下の各学校の地域特性や民意を考慮して作成します。従って,出来た校則は,それぞれの学校の違い・特色はあるものの,とてもシンプルで教育的です。
そしてこれらの校則で規制する条項を逸脱した犯罪には,刑法が適用されます。これはこれで厳しい措置です。
それではフィンランド国家教育委員会作成の「校則作成指針」をご覧ください。
続いて,この作成指針を参考に作った校則の例を,小中一貫校の例として,ヘルシンキの北に隣接する,人口20万人余のヴァンター市(ヘルシンキ国際空港のある市)のヨキ・ニエミ基礎教育学校(Jokiniemen peruskoulu)の校則とヘルシンキの西に隣接する,人口27万人余のエスポー市のヴィヘル・ラークソ高校(Viherlaakson lukio)の校則の例を紹介します。
ヨキ・ニエミ基礎教育学校
この学校は,初等部6年,中等部3年の小中一貫校(peruskoulu)で,児童・生徒数は約680名の大きな学校です。
フィンランドでは通常,日本のように学期毎,学年毎に通信簿を開示することはありません。日本でいう指導要録に,授業ごとに記録し,上級学校(高校や職業高校)へ進学する時,開示します(今では学校により,5年生と8年生で開示し,残った期間で未達成部分を取り戻せるようにしている学校もあります)。
ヴィヘル・ラークソ高校
フィンランドの高校は,日本の旧制高校程度のカリキュラムと学力を保持しています。大学には,日本でいう教養課程がないため,高校で実質的に大学の教養課程レベルの教育が展開されます。
ヴィヘル・ラークソ高校は,基礎教育学校の上級学年(Peruskoulun yläaste)と併設されており,生徒数は約360名の中規模校です。
ヘルシンキから北へ約8キロ,ベッドタウンのパキラにあるトイボラ基礎教育学校の校則を紹介します。ここの校則は,前2校に比べ,長いものとなっています。(2020.12.11)
※フィンランドでは小・中・高校生すべて oppilas(学習者)と呼びます。日本に合わせ,児童,生徒としてあるところがあります。
お問い合わせは,jussih(at)puppy.plala.or.jp へ!((at)を@に書き換えてお願いします。)