軌跡~-_科学と旅_-~

プログラムオフィサー制度の現状

The Story and Present State of Program Officer System



《導入経緯[1]

 “優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革”を重要政策の1つとして掲げた『第2期科学技術基本計画(平成13〜17年)』において,研究評価システムの改革の一施策として,プログラムオフィサー制度の整備が次のように決定された.

II.優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革

1. 研究開発システムの改革

(1) 優れた成果を生み出す研究開発システムの構築

C 評価システムの改革

(b) 評価に必要な資源の確保と評価体制の整備  評価は研究開発活動の効果的・効率的な推進に不可欠であり,評価に必要な資源は確保して,評価体制を整備する.

● 競争的資金の配分機関などにおいて専任で評価に従事する者が質・量ともに不足していることを踏まえ,研究費の一部を評価の業務に充てる,評価部門を設置して研究経験のある人材を国の内外を問わず確保するなど必要な資源を充て,評価体制を充実する.また,研修等を通じて人材の養成に努める.

 その後,CSTP科学技術システム改革専門調査会傘下の競争的資金制度改革プロジェクト等による,諸外国のプログラムオフィサー制度等に関する調査検討を経て,平成14年6月19日にCSTPで決定された『競争的研究資金制度改革について 中間まとめ(意見)』において,次のように具体化された.

V.具体的な対応方策

3. 公正で透明性の高い評価システムの確立

(2) 研究課題管理者(プログラムオフィサー)等の設置

 「科学技術基本計画」,「国の研究開発評価に関する大綱的指針」,「競争的資金の制度改革について」(第13回総合科学技術会議で決定)において,各制度の個々のプログラムや研究分野で,課題の選定,評価,フォローアップ等の実務を行う研究経歴のある責任者「プログラムオフィサー」と,競争的研究資金制度と運用について統括する研究経歴のある高い地位の責任者「プログラムディレクター」を各配分機関に専任で配置し,競争的研究資金制度の一連の業務を一貫して,科学技術の側面から責任を持ち得る実施体制が整備されるよう努めるとされており,さらに以下のように具体的に推進する.

  • 配分機関においては,プログラムオフィサーを配置し,法人においては,これに加えて,プログラムディレクターを配置する.
  • 配分機関は,プログラムオフィサー等の配置に関し専門性と業務量,プログラムの編成等を勘案して,求められる資質と要件,人数と配置部署,職階等と配置時期を明確にした実行計画を,配分機関の定員の確保や人材の配置に関して調整を行いつつ策定し,平成15年度の概算要求に併せて総合科学技術会議に提出する.
  • プログラムオフィサー等の最終的な配置体制は,本科学技術基本計画期間中(平成17年度まで)に完了する.
  • プログラムディレクターの体制整備を待って,各府省のプログラムディレクター等と総合科学技術会議との連絡会議を行う.

 すなわち,国民の税金による競争的資金の投資効率を高めて,科学技術の一層の発展を促し,それを国民生活の質の向上に結び付けるため,研究経験のある専門家集団が,公募・審査,選定課題のフォローアップ,実施課題の評価および評価結果のフィードバックという競争的資金運用サイクルのマネジメントを行うシステムの導入が決定された.これを受けて,平成15年以降,各府省や独立行政法人等の資金配分機関(FA)において,PO・PDの設置が進められた.


《 役割 》

 平成15年4月21日にCSTPで決定された『競争的研究資金制度改革について(意見)』において,PO・PDの役割が具体化された.すなわち,PO・PDに期待される機能は,課題の採択・評価等における専門性・機動性・戦略性の確保,研究費の執行を含むマネジメント等の説明責任の遂行であるという観点から,各競争的資金において以下の基本的な役割を果たすこととされている:

 ◆ POの基本的役割(詳細は表-1参照)

 ◆ PDの基本的役割

 なお,各競争的資金の趣旨や目的はそれぞれ異なることを踏まえ,PO・PDの各資金における具体的な権限と責任については,各制度で位置付け(たとえば,評価委員会とPO・PDとの適切な役割分担)を検討することとされている.


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表-1  プログラムオフィサーの基本的役割