プログラムオフィサー制度の現状
The Story and Present State of Program Officer System
プログラムオフィサー(PO)とは
研究開発等のための経費の調達方法の1つとして,国等の提供する資金を獲得することが多い.このような資金は「競争的資金」(研究用途を強調する場合には特に「競争的研究資金」)と呼ばれ,総合科学技術会議(CSTP)<注1>の定義によれば,“資金配分主体が,広く研究開発課題等を募り,提案された課題の中から,専門家を含む複数の者による,科学的・技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し,研究者等に配分する資金”とされている.具体例としては,科学研究費補助金(いわゆる“科研費”)や科学技術振興調整費等がある.「プログラムオフィサー(PO)」は,競争的資金の運用やマネジメントにかかわる実務を行う職種である.
《 定義 》
CSTPは,“各競争的資金における個々のプログラムや研究分野で,課題の選定,評価,フォローアップ等の実務を行う研究経歴のある責任者”として「プログラムオフィサー(PO)」の配置を提言している.また,“競争的資金とその運用について統括する研究経歴のある高い地位の責任者”として「プログラムディレクター(PD)」を各資金配分機関(FA : Funding Agency)に専任で配置することも提言している.これにより,競争的資金にかかわる一連の業務を一貫して,科学技術の側面から責任を持ち得る実施体制が整備されるよう努めることとしており,これらの内容は科学技術基本計画<注2>に盛り込まれている.
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<注1>
総合科学技術会議(CSTP)は,科学技術政策の推進のための司令塔として,我が国全体の科学技術を俯瞰し,総合的かつ基本的な政策の企画立案および総合調整を行うことを目的に,「重要政策に関する会議」の1つとして内閣府に設置されている.議長である内閣総理大臣をはじめ,関係閣僚,有識者議員の計15名から構成され,科学技術に関する基本的な政策についての調査審議,科学技術予算・人材の資源配分等についての調査審議,国家的に重要な研究開発の評価等を実施している.
<注2>
平成7年に制定された「科学技術基本法」により,政府は長期的視野に立って体系的かつ一貫した科学技術政策を実行することとなり,この基本法の下で策定しているのが
科学技術基本計画である.基本計画では,その時々の政策的必要性に合わせて重点的な政策を打ち出し,効果的に政策を推進することを目指し,そのために投資する予算額を掲げている.この基本計画の策定と実行には,総合科学技術会議が責任を有する.