〜 FLL Open Asian Championship 2008 〜
Report of a World Robot Contest for ChildrenFLLの大会は,”コンテスト”というより子供たち同士の交流に重点が置かれている.
各チームには,”ピット”と称する,プレゼンテーションやロボットの準備・調整のための控えスペースが割り当てられる.各チームは,このピットに,自国やチームを紹介するパネルを掲示したり模型を展示したりしており,子供たちは空き時間に他チームのピットを訪問し,記念品の交換を行っていた.ピットにおける展示の例を図-9に示す.
また,会場のバックグラウンド・ミュージックに合わせて踊り出す子供がいると,その輪は自然と拡大し,またたく間に会場全体に広がっていった.子供たちの交流に演出は不要である.このような方針は,Awardの授与基準にも表れており,1チームが複数のAwardを獲得しない,というルールが定められている.唯一の例外は,Robot Performance Awardであり,これは,他のAwardに関係なく,ロボット競技結果の成績上位チームに与えられる.
このため,第2日目の夕方に行われたAward授与チームを決める審査員会議は,当初予定を大幅に超え,全体のコンセンサスが得られるまで,徹底的に議論された.そこでは,特に,総合優勝に相当するChampionship Awardは,3種のプレゼンテーションとロボット競技の総合得点の最も高いチームに与えられるものではあるが,同時に,FLLの精神(Gracious Professionalism)にふさわしいチームでなければならないことが共通の理解であった.
なお,本大会では,動画投稿サービスClipLife [8]とマッシュアップした動画ギャラリー[9]がネット上に設けられ,運営事務局と各チームによる投稿動画が公開された.大会開始前にはチーム紹介の動画が,期間中及び終了後には大会の模様を撮影した動画が投稿され,子供たちの交流促進等に役立てられた.余談であるが,このサービスは専用でありながら,フロントのユーザインタフェース制御プログラム以外には自営の動画管理や配信設備を必要としない.このような特定のイベントにフォーカスした動画投稿の仕組みは新しい試みであり[10],今後の動画投稿サービスの在り方の一つとして注目される.
最後に,本大会は,国外からの審査員をはじめとする多くのボランティアに支えられて開催できたことを記しておく.