〜 FLL Open Asian Championship 2008 〜
Report of a World Robot Contest for ChildrenFLLの対象とするロボットは,基本的には車両型であるが,コントローラ,モータやセンサの種類と数等,使用部品に一定の条件が課されている.各チームは,光センサ等を駆使しつつ,ミッション攻略戦略に応じた最適なロボットを製作する.全てのミッションを遂行可能な,人間の手のような汎用のロボットを作ることはできないので,ミッションの内容に応じた操作機構(アタッチメント)を複数製作し,ミッションごとに着脱することになる.コントローラにダウンロードするプログラムの開発環境としては,ROBOLAB,LabVIEWという2種のツールが用意されている.プログラムは,フローチャートのように,用意された機能ブロック(アイコン)を線で結び,必要なパラメータ等を設定することにより作成する.
テクニカル・プレゼンテーションでは,自分たちの製作したロボットの構造・デザインやプログラム,ミッション攻略の戦略がいかに優れたものであるかをアピールする.
プレゼンテーションの形態はチームに任されており,画用紙等に描いた図面やPowerPointのスライドを用いた一般的なものや実際にロボットを動かすもの,それらを組み合わせたもの等,様々であった.また,PC上の作成プログラムを表示して見せるチームもあった.テクニカル・プレゼンテーションの模様を図-7に示す.
テクニカル・プレゼンテーションの審査項目・基準は,表-1に示す通りである.各項目につき,Excellent,Good,Fair,Needs Improvementの4段階で評価する.各審査項目における4つの評価段階の基準が定められており,たとえば,表-1の”Locomotion and Navigation”の「走行距離の正確さ」については,
- Excellent:規定距離を効率よく走行
- Good:多くの場合に規定距離を走行
- Fair:時々規定距離を走行
- Needs Improvement:規定距離を繰り返し走行することは困難
となっている.すなわち,審査員はマトリクスシートをチェックすることになる.プレゼンテーションで評価するに十分な説明が得られなかった場合には,それを引き出すための質問が行われた.質問文のサンプルはあらかじめ審査員に示されており,たとえば,次のようなものである:
・最も困難なミッションはどれであり,それをどのように解決したか?
・あなた方のチームで最もユニークと考えている部分はどこか?
・どのようなセンサを用いているか?
・コーチはどのような手助けをしてくれたか?
プレゼンテーションで優れていると判断された複数のチームについて,翌日のロボット競技の内容を確認することにより,実際に説明の通りに動作するかがチェックされた.この時,できる限り,他のグループに属するチームのロボット競技も確認された.最終評価は,上記審査結果の数値化はなされず,全審査員の合議により行われた.
以上の結果として,3種のAwardが次の優秀チームに与えられた:
・Technical Award: Lego Extremチーム(ノルウェー)
・Robot Dependability Award:奈良教育大学付属中学チーム
・Innovative Design Award: 7 de sec+2チーム(スペイン)