■□フリーシナリオシステム□■
プラットフォームをスーパーファミコンへと移し、新たなサガシリーズが始まった。ロマンシングサガの第1弾である。それまでのシリーズの特徴である敵の肉を食べて進化するというシステムは廃止し、新機軸となったのはフリーシナリオであった。
まず主人公をアイシャ、アルベルト、ジャミル、クローディア、グレイ、バーバラ、シフ、キャプテンホークの8人の中から選ぶ。
それぞれ性別や年齢、育った環境といったことから、得意とする攻撃方法、スタート地点が異なるなど、一度クリアしても何度か遊べるような配慮がなされたゲームである。選ばなかった者たちはゲーム中に随時パーティにくわえることが可能だ。
スタート地点が違えば初期イベントも異なる。同じイベントに遭遇しても囚われの身であったり、助ける方であったり、視点を変えてイベントを楽しむことができるのだ。
中盤はどの主人公でもほぼ同じイベントをこなすことになる。ただ、どのイベントも絶対にやり遂げなくてはならないということはなく、途中で投げ出して他のイベントをやっても問題はない。
遭遇したイベントをどう対処していたか、たとえばモンスターの巣窟を放っておいたら町が滅びていたとか、のちのイベントにもひびくことがあり、このフリーシナリオシステムでは時間の流れは重要になっている。
■□時間の流れ□■
通常のRPGではフィールドの位置によって敵の強さが固定されていた。というのも、スタート地点が決められていて、ほぼ1本道にフィールドを進んでいくからである。
このゲームではそれが通用しない。これを解消するために、どのランクの敵が出現するかは場所ではなく、戦闘回数によって決められている。戦闘を重ねることが時間経過を示しており、それによって主人公たちも成長していると見なされるのだ。
この方法ならどの場所がスタート地点でも強すぎたり弱すぎたりする敵が現れることもない。また、イベントのために同じところへ戻ってきたとしても、雑魚敵にまとわりつかれることなく、いつでもレベルを上げられる。
ただ、中ボスに関してはうまく調整できてないようで、場合によっては強いと感じることもある。
イベントの発生も戦闘回数によって変動している。時間経過によって「イベント」も誰かが解消したか、さらに悪化したか、とにかく、このゲームには時間が流れているのだ。
仲間になる人物たちも時間と共に移動している細かさ。先に挙げた8人の他にも仲間になってくれる人物がいるので、パーティ編成も幾通りもあるし、特定の人物がパーティにいないと起こらないイベントもある。
■□地図からの移動□■
近くの町から町へと移るとき、その地図の範囲内であるならばポインターをあわせるだけで移動が可能だ。
違う地区へ移動する際は町にある船に乗るとか、フィールドを歩いていくといったことが必要となるが、幾分移動は楽である。
行ったことのない地図を入手するには陸続きを歩いていくのが基本だが、別の場所の地図を持っているキャラクターを仲間にするのが手っ取り早い。この点が非常にユニークなところだ。
■□技の熟練度□■
戦闘はサイドビューになり、前列後列の概念がくわわった。武器によって攻撃範囲が決められている。
敵はフィールド上にシンボルとして移動しており、接触すると画面が切り替わって戦闘となる。シンボルはこちらに向かってくるので、一斉に囲まれると逃れられない。戦闘中に「逃げる」を選択できるが、戦闘回数1回カウントされるので、逃げすぎると自分は成長しないのに敵がやたらと強くなるといった事態に陥る。
レベルという概念はなく、戦闘時の攻撃方法によって各能力値が上がっていく。弓を多く使用すれば器用さが増すし、術を使えば知性や精神が上がっていく。
戦闘終了時にどのステータスが上がったのか、キャラクターから出る吹き出しでわかる。
武器は1人8つまで持つことができる。戦闘で使用した武器は熟練度が上がっていき、その熟練度によって必殺技を習得する。技の種類は武器によって固定されている。
欠点なのは武器を外してしまうとその熟練度がクリアされてしまうことと、あとになって強い武器を入手したときにまた熟練度を上げなければならないことだ。
武器の耐久性はないが、技の使用回数が決められており、これはMPみたいなものと考えていい。
術は誰でも習得可能で、店で術を買ってくる。火、水、土、風、光、気、幻、魔があり、相対する性質の術を同時に持つことはできない。術にも熟練度がある。
敵には属性があって、弱点の術で攻撃すると大きなダメージを与える。また、戦闘シーンに書き込まれている背景にも属性はあって、たとえば水辺では水術の威力が増すといったことがある。
■□ストーリー 神々の伝説□■
サガシリーズにおいて「神」の存在は外せない。今作の舞台マルディアにも神話が残されている。
破壊の女神サイヴァは神々との戦いを起こし、自らの小指より分身を生んだが、そこは彼女の唯一の良心であったために、誕生したエロールはサイヴァを倒した。エロールは復興のためにニーサ、ウコム、シリル、エリス、アムトの神々を生み落とした。
しかしサイヴァの残骸から生まれたデス、サルーイン、シェラハはまた戦いを挑む。エロールはデスを冥界に封じ、シェラハには光りのデステニィストーンをつけさせて闇の力を封じた。サルーインを倒すために選ばれた1人の人間ミルザに10個のデステニィストーンをあたえたという。
ときは経ち、ミルザは神とあがめられ、シェラハは記憶を失いこの地を漂っているという。
神はなおもこの地を守り続けている。
実際に接触できる神もいるし、デスは冥界に行けば逢えるし、シェラハは話こそできないがその存在が確認できる。
そしてまたサルーインが復活しようとしていた。
10個あるという伝説のデステニィストーンはどうがんばってもすべて見つけることはできない。また見つけなくてもクリアには関係ないという、本当に自由なゲーム。
サルーインを倒すためにあったほうがよいという伝説の武器も見つけ出さなくてもかまわないのだ。
かつてミルザと共にサルーインと戦った四天王、タイニィフェザー、アディリス、フレイムタイラント、水竜は主人公らに友好的である。彼らの要求を無視して戦いをけしかけることも可能だが、えらく強い。素直に応じれば彼らの化身を呼び出す道具がもらえる。
■□全体的な感想としては・・・□■
ギリシア神話のように壮大で魅力的なネタが転がっているのだが、未消化という印象はぬぐえない。神話とは別の次元で話が展開するのだ。
世界各地で起こっている凶悪の源がサルーインであるということがわかってきてそこへと向かっていくわけだが、一定の時間が過ぎればいつでも倒しにいける。自由度が高い点、イベントとラストボスの連続的な繋がりがないので、サルーインは少々影が薄いかもしれない。
■□リメイクで遊ぼう□■
SFC版の作り込みは正直足りてないが、リメイク版の「ロマンシング サガ ミンストレルソング」ではそれも解消され、世界観も練られているのでおすすめする。
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ロマンシング・サガ -Minstrel Song PS2 2005.04.21
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※ジャケット写真をクリックすると amazon.co.jp による作品紹介ページへ移動します。
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