■□ちょっと変わった奥行き□■
当初はゲームキューブで発売予定だったのだが、Wiiでの発売となった本作。ゲームキューブで発売された「ペーパーマリオRPG」の続編といったところだ。
グラフィックは時代を逆行するような二次元のアニメ調で、マリオシリーズに登場する主要人物や敵も登場し、オリジナルキャラは独特の雰囲気を持っている。
この世界の登場人物はみなぺらぺらの紙みたいな姿をしている。通常は往年の横スクロールアクションと何ら変わらないが、方向転換をした時など紙をひっくり返したみたいに薄っぺらい紙の厚みの部分が見えるのだ。
操作方法はリモコンを横持ちにして操作する。
ハテナボックスには「おたすけドット」や「スピードフラワー」といったオリジナルアイテムがある。ミニマリオが体の周りにまとわりついて敵からの攻撃から守ってくれたり、全体の時間の流れがスローになったりスピードアップしたり、空からコインが降ってきたりする。
■□次元ワザ□■
最大の特徴といえるのが次元ワザと呼ばれるもの。通常は真横から見た縦横のスクロールアクションだが、次元ワザを使うと画面の左手から右手に向かって見た3Dの世界へと視点が切り替わる。
3Dといっても、先に説明したように、敵や登場人物のほとんどは紙みたいなものであるから、すべてが立体的ではない。3Dの世界では敵に厚みがないので、横スクロールでは大きくて飛び越せない敵も、3Dの世界に変えるとペラペラなので脇を素通りできるようになるのだ。
逆に2Dでは姿が見えなかった敵も、3Dで姿を表す敵もいる。
イメージとしてはジオラマで、紙に書いた背景の前に立体的な模型が配置されている感じ。土管やハテナボックス階段などは立体的。そのジオラマを真っ正面から見ている時が奥行きのない横スクロールで、横から見ているのが3Dの世界。箱庭のようなものだ。
飛び越えられない障害物も次元ワザを使うと抜け道が見つかったりする。足場の岩も3Dの世界では紙に書かれた背景だったりもするので、足場を失ったマリオは落下することになる。3Dの世界では思いがけない穴があいていたりもするので、次元ワザを使う時は注意しなきゃいけない。
だけど、思いがけない拾いものもあるので、どこでも次元ワザを使いたくなる。
■□拠点はハザマタウン□■
黒の予言書を持ち、世界征服をもくろむノワール伯爵は、予言書の通り、クッパとピーチ姫を結婚させ、コントンのラブパワーを生み出した。
マリオは次元の狭間にあるハザマタウンへと飛ばされてしまう。そこで出会ったのが古代の民の末裔というデアール。彼は白の予言書を持っており、勇者4人が世界を救うといった。
マリオはクッパやピーチ姫と再会し、冒険を共にする。ピュアハートをハメールストーンにはめ、ハザマタウンから各世界へと繋がっている扉を開き、すべてのピュアハートを集めてノワール伯爵に挑む。
1ワールドは4つのステージで構成されている。ゴールにあるスターを下から叩くとステージクリアとなるが、そこに到達するまでにさまざまな仕掛けがある。横スクロールアクションにゼルダの伝説のような謎解きが加わったようなスタイルだ。
中ボスを倒すとピュアハートが入手できる。再びハザマタウンに戻り、ハメールストーンにはめると、次のワールドの扉が開くので、ハザマタウンが中心地となる。宿屋やアイテムを売っている店などがそこに集中している。
ステージの途中にも町があって、人と会話したり、アイテムを買ったりできる。
1ワールドをクリアするとそのワールドのステージを自由に出入りできるようになり、ステージの途中から抜け出してハザマタウンへ戻ってこられるが、町はステージの途中にあったりするので再びそこを訪れるのがめんどくさいという欠点もある。
■□仲間とフェアリン□■
マリオの仲間になるのはピーチ姫とクッパ、そしてルイージである。基本はアクションゲームであるから、動かせるのは一度に1人なので、使いたいキャラクターを交換しながら進めていく。
マリオは次元ワザを使い、ピーチはパラソルを広げて空中を長く飛び、クッパはほとんどの敵を焼き尽くす炎を吐き、ルイージは一画面分以上の大ジャンプができる。進むためにはその能力を生かしたキャラに交代しなければならない場面もある。
そして、彼らと旅を共にするのがフェアリンと呼ばれる妖精たちである。フェアリンもそれぞれ様々な能力を持っているが、仲間と同様にフェアリンも交代させながら使っていく。1ボタンを押すと連れているフェアリンの能力が使える。
例えば、物や敵をつかんで投げたり、時限爆弾を投げたり、ペラペラになって細い隙間を入っていったり、ボードに乗っかってトゲのある敵を踏みつけられたりといった能力があり、やはりこれも進めるに不可欠なものが多い。
フェアリンでもアンナだけは交代させるのではなく、ずっと付いてきてくれる。Wiiリモコンを画面に向けると停止状態となり、敵にポインターを当てると敵の弱点を教えてくれる。また、マリオには見えない扉やブロックを出現させるという非常に重要な能力も持っている。
これが、意外と忘れやすく、進めないと思ったら、アンナで扉を見つけなくてはならないシーンもあった。
■□レベルアップ□■
このゲームのジャンルはといったら、アクションアドベンチャーだが、RPGのようにレベルアップもある。経験値はないが、敵を倒したらスコアが加算されるので、一定のスコアに達するとレベルアップする。その際にはHP(体力値)か攻撃力かがアップし、それはプレイヤーが選ぶのではなく、固定されている。
敵には攻撃力と防御力があるので、一度踏みつけただけでは倒せない敵もいるが、攻撃力が上がれば一度踏んだだけでも倒せるようになるわけだ。
HPは敵と接触したり、穴に落ちると減る。ハテナボックスにあるキノコで回復したり、10個まで所持できるアイテムで回復したりする。まぁ、滅多にゲームオーバーにはならないだろうと思う。
アクロバット技というのがあって、敵を踏みつけたあとキャラクターが地面に着地するまでの間に、リモコンを傾けるとアクロバットが決まり、少しではあるが、ボーナス得点が加算される。地面に足を付かず、次々と敵を踏んでアクロバットを決めれば多くの得点が入ってくる。
全体的なイメージとしては、アクションとアドベンチャーとRPGと、どれも中途半端な印象は否めない。ステージを区切っているせいか、短いとも感じる。
前作はRPGだったのだが、今回はアクションで敵を倒していくので、バトルシーンが長くないというのも要因かもしれない。どちらかといえばこちらのシステムのほうがストレスはないが、アクションとしての物足りなさもある。
■□コンプリート□■
本編とは関係ない要素もいくつかある。
思いがけず熱中してしまうのは、敵のトレーディングカードを集めることだろうか。宝箱に入っていたり、次元ワザで見つけたり、お店でカードの入った袋を買ったりする。また、敵に投げつけるとその敵のカードに変わるアイテムもある。
カードは重複してしまうこともあるが、多く持っていればその敵に対しては多くダメージを与えることができる。
あとは、アイテムを持って行き、お料理してもらうとレシピが埋まる。料理は無料で、違うアイテムへと生まれ変わるのでお得だ。
露天商から地図を買うと隠されたアイテムの場所がわかり、クリア後もステージを行き来するという楽しみも出てくる。
100部屋ダンジョンもオールクリアの前にチャレンジできるが、本編とは関係ないのでクリア後のお楽しみみたいなものだ。100の部屋があって、10部屋ごとに抜け出せるようになっているが、最後の部屋までたどり着くには連続で100部屋クリアしなくてはならない。最後にはフェアリンがいるが、いなくても本編はクリアできる。
ドリンクバーでは情報が買え、この物語の裏話などが聞ける。
遊技場ではミニゲームができる。神経衰弱や、リモコンを画面に向け、銃に見立てたガンゲーム、横持ちにしたリモコンをシーソーに見立ててマリオを動かし、上から降ってくるアイテムを取っていくゲームなどがある。
また、どこかでゴールドカードを入手すると新たなゲームで遊べる。すべってくる甲羅をハンマーで弾き返すというもので、簡単にコインが稼げるようになっている。
Wiiの操作性を生かせたゲームとはいいがたいが、次元ワザは目新しく、おもしろい。キャラクターやセリフのジョークが子供向けすぎるけども、まずまず楽しめるゲームだ。
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