(25)中麻七対子
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中麻のルールは、まだ未成熟。
誤解されるといけないので、顔を真っ赤にし、必死になって言い訳しておくと、いったん完成という段階で、完全無欠な法令やソフトなどこの世にない。麻雀ルールも同様で、実戦の積み重ね推敲によって成熟してゆく。
二十二麻雀は、時代的にはちと古い。しかし日雀の二十二ルールの完璧度は高い。それは70年以上にわたって実戦され、推敲が重ねられてきたからである。そういう意味で、中麻ルールはまだ若い。と前説を振りに振りまくって、ようやく本題。(-_-)
麻雀の未来で、興味深いコラムを見つけた。
[ちゅんま]字一色七対子のなぞ
中麻で字一色は、「字牌の刻子(槓子)で作る。対々和は計算しない。翻牌の翻は加算する」ということになっている。「対々和は計算しない」のは、「ある手役の中に必然的に含まれている、それより点数の低い役は計算しない」という原則による。そしてこの定義に対子は含まれていない。つまり中麻において、字一色七対子はアウトオブ眼中の状態。
そこで「中麻に字一色七対子は存在するのかしないのか。存在しないとすれば、それは何点になるなのか」という問題提起であった。
中麻で七対子形の存在が疑問視されるのは、字一色だけではない。清老頭の構成牌種は6種なので、通常の七対子は構成できない。しかし中麻では同一牌4枚を2組の対子と認めているので、清老頭七対子が可能となる。
ところが字一色同様、「ある手役の中に必然的に含まれている、それより点数の低い役は計算しない=対々和は計算しない」ので、清老頭七対子も、字一色七対子と同様となっている。
#清老頭そのものと小三元が同ポイント(64点)というのも釈然としないが、ま、これは別問題。
で、現在の中麻で字一色や清老頭が七対子との複合が認められるのか否かとなれば、対々和で複合不可と明記されている以上、中国の中麻(って、なんだか変な表現...)では認められない可能性が高いようだ。となれば字一色七対子は単釣和の1pも認められないので、ロン得点は七対子の24p取得のみとなる。
しかし字一色形が並七対子と同ポイントでは、ちと納得ゆきにくい。おまけに1対子だけ数牌だったりすれば、混一色の6pがプラスされて30ポイントとなる。清老頭も似たりよったり。清老頭七対子は最低、四帰一が一つからむ。するとロンアガリでは26ポイント。なんと、断幺七対子とおんなじだ...
では緑一色七対子はどうなるのと問えば、これはリッパに複合可となっている。そこで下記の形は緑一色・七対子・四帰一で114pになる。おひ....
現在、七対子と複合することがはっきりしている手役としては推不倒・大于五・小于五・混一色・清一色・全大・全中・全小。また無形手役は缺一門と無字。偶然役では妙手回春(牌底ツモ)・海底撈月(牌底放銃)・自摸と複合する。これほど多くの手役と複合する、ましてや役満である緑一色と複合するのに、どうして字一色と清老頭は中麻ハズレなのかいな。
※五門斉との複合は団体によって異なる。参照
また花牌と複合するが、花牌は日本の中麻ではほとんど使用されないらしい。
複合することがはっきりしている手役に挙げなかった手役がある。それは混老頭。混老頭は清老頭と同質の役。したがって清老頭の複合が不可なら、混老頭も不可となる。そこで仮に日本の中麻では複合が認められるかもしれないが、中国の中麻では認められない可能性がある。
チン思ふに、この曖昧さは七対子の歴史に関係がある。
和了役No.29七対子で述べたように、もともと中国麻将で七対子はアガリ役ではなかった。1920年代にアメリカ主流で認めるようになった。しかし中国麻雀伝統の役ではなかったため、大正時代、日本に麻雀が流入してからかなりの期間、日本の麻雀団体では役として採用していなかった。
昭和8年、当時の中心的麻雀団体であった日本麻雀連盟ではじめて採用されたが、役の複合はいっさい認められなかった。そこで混一色、清一色はおろか、字一色であっても、ただの七対子として同じ得点であった(子で160点)。この設定は戦後も続いたが、昭和27年になると七対子そのものが採用されなくなり、現在にいたっている。
もちろんこれは日本麻雀連盟のルールのことで、ちまたでは不採用どころかすべての複合が認められ、現在にいたっている。
そして中麻もルール起草段階において、もともと手役形が無い缺一門・無字や偶然役はもとより、順子を含むことが可能な9種の手役とは複合可とした。しかし字一色や清老頭は1雀頭4メンツ段階で順子を含むことはない。そこで複合不可という認識で、複合が明記されなかったと思われる。その点は混老頭も同様である。そこで日本の中麻では混老頭七対子可とされることがあっても、中国の中麻では不可とされると思われる。
いずれにしても中国で起草された中麻ルールの話なので、σ(-_-)はクレームをつける気はない(って、つけてるじゃん....)。しかし「お遊び」のつもりならどうでもいいが、少なくとも“国際ルール”と銘打つ以上、字一色形が並七対子と同ポイントとか、字一色形より混一色形の方が高ポイントなどというのは問題がある。ましてや同じ構成牌6種の清老頭と緑一色で、片方が26pで片方が114pなんてのは論外の気がする。
理屈というものは非常に不思議。筋を通すことは非常に大事であるけれど、細かいところで通しすぎると全体ではゆがみが生じる。そういうゆがみを全体的に調整するのが、整合性を高めるという作業。じっさい日本麻雀でも、ピンフツモをめぐっていろいろ論じられているが、要はこういう細部の筋道論と全体の整合性論との論争である。
余談はさておき、中麻には他にも思うことがあるけれど、このような点が「中麻ルールは、まだ未成熟」と思う理由の一つである。そこで問題をこの点に絞った対処法としては
1.七対子との役の複合をすべて認める。
2.七対形の字一色・清老頭・混老頭を可とする。ただし対々和同様、七対子は計算しない。
の2方法が考えられる。
五門斉は「1雀頭4メンツに分けて」という趣旨から云えば複合不可が順当である。しかし五門斉は刻子形のアガリに限定されていない。そこで複合を認めてもいいけどさ。
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05.07.28
このコラムをupしたあと、読者よりメールをいただいた。それによると、下記のHPに七対子と字一色の複合問題が取り上げられているそうだ。
http://www.flowstones.com/mj/Cmj/China-index.html
さっそく拝見すると、アガリ役の複合・字一色の項に、「“中国麻将競賽規則”という中麻解説本に、七対形の字一色が示されている。そこで字一色と七対子は複合する」という主旨のコメントがあった。その流れで、清老頭や混老頭の項にも「複合するとした方が自然」とあった。
たしかに字一色と七対子が複合するなら、清老頭や混老頭も「複合するとした方が自然」。しかし日本側がいくらその方が合理的だと思っても、“中国麻将競賽規則”の清老頭や混老頭の項には、“並並和は不可算”とあり、七対形については例図も明記もないわけである。
そこで“中国麻将競賽規則”に厳密にしたがうとすれば、七対形の字一色は88p+24p=112pで、あくまで対々形の字一色は88pのみと云うことになる。これはこれで何か変。またいくら、「七対子と字一色が複合するなら清老頭と混老頭も複合するのが自然」と云っても、“並並和は不可算”という明記を無視してしまうのもおかしい。
そこでチン思ふに、“中国麻将競賽規則”に七対形の字一色が示されており、そういうアガリが認められているとすれば、これは「七対子と字一色の複合可」ということではなく、七対形の字一色を認める。ただし七対子のポイントは不加算ということではないかしらん。つまり対々形と同じ扱いということ。それなら理屈が通る。
清老頭や混老頭においては“中国麻将競賽規則”に七対形の例図はないということなので不明であるが、これも当該HPの解説にあるように「字一色が七対子と複合するなら、清老頭や混老頭とも複合」ということではなく、「七対形の清老頭や混老頭のアガリも認める。ただし七対子のポイントは不加算」ということになる。
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r@PCLabo 投稿日:2005/08/06(Sat)
中麻七対の話ですが。
緑一色の説明を見てみると「混一色は複合しない」と書いてありますが、その下に断幺九・清一色との複合例があります。
清一色は混一色の上位役ですが、24点と6点という関係はちょうど七対と対々和の関係と一致しているので、緑一色に清一色が複合するのと同じように七対を数えるのでは? と推理しましたがどうですかね。
(参考文献: http://ja.wikipedia.org/wiki/中国麻雀)
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あさみ 投稿日:2005/08/06(Sat)
こんにちわ、rさん
もちろん対々和との複合は不可でも、七対子との複合は可という可能性はありますね。そこで“ σ(-_-)が ”というか、日本人がルールを作成したのであれば、
「対々和との複合不可=七対子との複合不可」
「対々和との複合可=七対子との複合可」
となると思います。
しかし作られたルールをそのまま採用するということであれば、その解釈はルールを作成した中国人に聞いてみなければ分かりません。(-_-;
緑一色にしても、「緑一色は清一色になるとは限らない」という理由で、清一色との複合を認めているようですが、逆に言えば「混一色になるとは限らない」わけです。
そこでこれも日本人がルールを作れば、
「緑一色=混一色または清一色と複合可」
「緑一色=混一色または清一色と複合不可」
のどちらかになると思います。
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