【 現代版パラレル小ネタ1 】
【砂糖菓子】
10月31日、今日は万聖節前夜。
日が暮れ始めたので慌ててりんはかごめに用意してもらったハロウィンの衣装に着替え始めた。
今年、初めて参加するハロウィンのパレード。
かぼちゃと黒猫をイメージしたその衣装。
黒ベルベットの袖は大きく膨らんだパフスリーブにスクウェア・カットのブラウス。勿論、猫の首輪と鈴を付けて。
下も、かぼちゃの様に大きく膨らんだバルーンパンツに、レースの靴下、つま先のとがった黒の革靴。
ウエストは猫の尻尾付の赤いサッシュベルトを大きくリボン結びにする。忘れちゃいけない猫耳カチューシャ。
「じゃ、いってきま~すv」
かぼちゃのランタン片手にドアを出ようとしたりんを、ちろりと冷たい視線で、現在は保護者、将来は配偶者たらんと考えている殺生丸が一言、何か言葉をかけた。
「えっ、何? 殺生丸様?」
りんがもう一度問いかけると、
「Trick or Treat」
「ん??? 何、その言葉?」
「ハロウィンでの決まり文句だ。お菓子をくれなきゃ、悪戯するぞ、と」
「ふ~ん、そうなんだ。え~と…」
「Trick or Treat」
「ト、トリッ オア トリ…?」
「違う」
「トリック オ トーリ?」
「違う」
上手く言えないりんに業を煮やしたのか、殺生丸が座っていたソファーから立ち上がり、玄関の側に立つりんの近くにやってくる。
「殺生丸様の意地悪!! りん、まだ英語の勉強そんなにしてないもん!」
「お菓子をくれなきゃ、悪戯するぞ」
「だからっっ!!」
「お前は、何をくれる?」
そう言いながら、殺生丸の手は玄関の鍵をロックする。
「…りんがあげるの? 何っ…!!」
りんの言葉は途中まで。
啄ばまれてしまう、砂糖漬けのサクランボ。
それが殺生丸の言う、『菓子』だったのかそうでなかったのか。
…結局、可愛らしいりんのハロウィン姿を見たのは、殺生丸ただ一人。
【おしまいv】
…在りがちなネタで、ベタな展開^_^;
単なる年の差、バカップルな話ですね。
ページに仕立てるほどの内容ではないのですが…
そして、もう1本。
これは完全に、別物と成り果ててます(笑)
* * * * * * * * * * * * * * * *
【犬と殺し屋】
――― ドジを踏んだものだ、この私が!
相手を仕留めるのは当然だが、手傷を負わされるとは不覚を取った。
夕暮れの人気のない公園。
折りしも霙になりそうな、冷たい雨が降ってきた。
まだ、ターゲットの死体は発見されていないのだろう。
ここで人目につく訳には行かない。
それにしても…
( 左腕の感覚が無くなって来た… )
死に物狂いの犠牲者の反撃も、その死を遠ざける事は出来なかった。ただ、その男の左腕を傷付けたのみ。
血が、止まらない ―――
( 忌々しい。動脈をやられたか… )
先程、犠牲者の息の根を止めたばかりの自分の獲物、銀色に輝く極細のワイヤーを取り出し、左の二の腕辺りを結窄する。たちまち、その下が紫色に変色し始めた。
( 時々、血流を通さねば、壊死してしまうだろが… )
男は、寒いと思った。
霙が降りそうな気温と、冷たい雨に濡れた体。
流した大量の血 ―――
く~ん。
ふと、意識が遠くなりかけた男の頬を何か暖かなものが舐めた。それで気を取り戻すと、男の目の前には黒い瞳のみすぼらしい子犬が一匹。さんざん周りに苛められて来たのだろう、ひどく痩せこけ、あちらこちらに傷を負っていた。
雨が激しくなっていた。
男の左腕の出血は止まっていたが、二の腕から下はもう「モノ」に成り果てていた。
「…これで、この血も洗われるな」
出血多量の身を、気迫で起こし雨の中を歩き始める。
その足元に、あのみすぼらしい子犬。
男はなぜか、子犬が付いて来るを追いもせず ―――
やがて、夜の帳が一人と一匹の姿をその闇の中に飲み込み、激しい雨が、そこに居たものどもの痕跡を洗い流して行った。
…って、固有名詞は出してませんが一応、殺りん現代版パラレル^_^;
原作からかけ離れているので、あくまでもネタとしてだけですね。
りんちゃん、犬だし(苦笑)
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