* ―――― wow wow おまえを wow wow なくした  
         wow wow 夜には 雨に打たれて泣いたよ  ―――― *


      【  孤独の迷路 −ラビリンス− 】


 ――――  全てが、終った。

 あの日、お前を送って行ったその部屋で。
 何もなかった、お前の部屋。
 部屋の主である、お前の匂いさえ。

「…やっぱり、ね。そんな気はしたんだ」

 そう、ぽつりと呟いて。
 今でも思い出す。
 風の音にも、怯えていたその横顔。


 ……そして、お前は俺達の『時代』の住人になった。


 全てが終わり、四魂の珠を巡る因果の輪は閉じ、桔梗も満たされ昇天した。
 そう、自分の『未来』をかごめの中に見て。

 俺に寄り添うかごめを、かごめを想う俺を受け入れ ――――


   ――――  稲妻が走った空は
           この胸が 張り裂けた悲しみ ――――


 あの嵐の夜。

 俺の腕の中で消えていった、お前。

 青白い稲妻の光はその肌を淡く縁取り、明滅する光の中でその線は儚く、脆く消えてゆく。

 俺は、気付かなかった。

 お前がこの時代に来て、何故にあれ程も強く俺を求めたのか。
 日毎夜毎、壊れるくらいに抱き締めてお前を満たし……。
 それでもお前は、震えていた。

 こう言う事だったのか、かごめ?


 『全て』が終る、と言う事は。


 お前はあの時、それを確信し。
 そして『その時』が来るまで、俺と共に――― と。
 何も知らなかった、俺。
 俺には、もうおまえしかいなかった。

 たった一人の、たった一つの。

 【守りたいもの】――――


   *  ――――  今 最期の祈りを抱いて
                 今 瞳を静かに閉じて
                  今 最期の祈りを抱いて
                 愛の終わり 孤独の迷路(ラビリンス)――― 


       ―――― wow wow おまえに  wow wow 逢いたい 
             wow wow 夜には  夢の続きを 探すよ  ―――― *



 あれから ―――
 こんな嵐の夜は……

 確かにあった、でももう手の届かない過去(ゆめ)を思う。
 ああ、あの時のお前の顔に浮かんだ翳りの意味を、噛み締めながら。


 * ――――  ガラス窓 震わす風に
               横顔が怯えている 思い出  ―――― *


 最初から、これが用意されていた結末なのか!
 俺の求めるものは、光のように掴む事の出来ないものなのか!!

 ならば…、ならば 俺… は……

 何の為に闘った?
 俺は…、一体なんだっっ?
 おまえのいない俺は…  孤独(ひとり)

 これが、『答え』ならば……




   * ――――  もう 僕には祈れはしない
               もう 心 眠ってしまった
               もう 僕には祈れはしない
               時の出口 孤独の迷路  ――――

     ――――  今 最期の祈りを抱いて
               今 瞳を静かに閉じて
               今 最期の祈りを抱いて
               誰もいない この瞬間(とき) ―――― *


( かごめ、 かごめ…  かごめぇぇぇっっ!!! )

 俺は…… 孤独(ひとり)



  * ――――   愛の 愛の終わり 孤独の迷路(ラビリンス) ―――― *




 暗闇に響く、獣の咆哮。
 なくした者への想いを込めて。

 たった一つの『愛』を
 最期の祈りを





 『時代』−とき−は、流れ流れて……


 いつか

 その祈り



 叶う日まで ―――――




【終】
2004.11.14




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