【 夏 夢2.中夜 −あたや− 】

 ふと夜中に目覚める。俺の背中にある四魂の欠片から感じる微かな光の波動。昇天されたはずのあの方の存在を、こんな形で感じている。確かにこの清浄な欠片は、この世に残したあの方の魂の一部。その慈悲深い波長に惹かれ、今も俺の周りにふわりと漂うモノ達の幻影(かげ)を見る。

 そう、俺がまだ桔梗様と行動を共にしていた時の、あの頃のように。


  * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


 ――― そろそろ夜半刻だろうか?

 こんな森の中じゃ鐘の音などは聞こえないが、あの方の周りを見ていればそのくらいは判る。丑三つ時を待てなくて、桔梗様の周りに集まる不成仏霊達。
 
 桔梗様の体は裏陶(うらすえ)と言う鬼女が、その鬼の術で墓土と骨とを材料に焼き上げた『人器』だそうだ。見た目や何かの折に触れた手などは、生きている人間と少しも変わりがないように思えたのだけど。そう言う俺も、『生きている人間』と言うには抵抗がある。俺の命は、『四魂の欠片』で繋がれているだけだからだ。

 桔梗様は俺と違い、その人器の中を死魂で満たさないと動けないという弱点がある。その為に、死魂虫で若くして亡くなった娘の死魂を集めては、人器を満たす。若い娘の死魂だけを ―――

( ……まぁ、判らないでもないけどな。何と言っても桔梗様は清らかな巫女様。ごつい男の魂なんかは入れたくないよな、やっぱり )

 そうなった最初の頃は知らないけど、俺が神楽に逃がしてもらって姉上の所に一旦身を寄せ、俺の体の中の四魂の欠片が命ずるままに桔梗様と同行するようになった時には、すでに桔梗様は動く霊場のような存在になっていた。
 桔梗様の体に取り込まれた浮かばれない死魂は、しばらくすると桔梗様のお力で浄化され、やがては昇天してゆく。死魂虫がひっきりなしに死魂を運ばなくても、何時の間にか桔梗様に向かって霊達が行き交う霊道がついてしまっていた。

 今もまた、桔梗様と霊達の話が聞こえる。

「……巫女様、どうかわたくしの話を聞いてださいませ」

 しくしくと涙を流しながらか細い声で語りかける霊は、まだ十五・六歳頃の美しい武家の姫のように俺の眼には見えた。俺も死者に近い立場だからか、それとも桔梗様のお力の影響なのか、以前には見えなかったこの手の霊体を見ることが出来るようになっていた。

「私で良ければ、話してみるが良い。それでお前の気持ちが安らぐのであれば」

 その姫の姉のように、そして導くもののように桔梗様は言葉をかけられる。姫の肩にかけた桔梗様の右の御手からは優しげな光がゆらゆら揺らめく。

「わたくしはお家の為に、顔も知らぬ今まで敵同士であった家の若君の許に嫁いだ者です」
「……戦乱止まぬこのような時代だ。両家が争わぬ為の手段とすれば、武家の姫に生まれた因果だな」
「はい、わたくしも武家に生まれた者として、その事は覚悟しておりました。いずれ他家に嫁ぐ事あらば、両家の架け橋として生きる所存でした」
「そうか。しかしその若さでこの世を去り、その思いを果たせぬ事が心残りであったのだな」

 なんと家思いの姫であるかと、俺も感心する。しかし ――――

「いいえ! それが心残りだった訳ではありませぬ!! それより以前に、わたくしの『女』としての矜持を傷つけられ、それが恨めしくて恨めしくて……」

 今まで楚々としていた姫の形相が凄みを帯びたものに変わる。

「姫……」
「若君には既に寵愛される者がおありだったのです! それも幾人もっっ!!」

 ああ、これは……、と俺は思った。俺の生業は妖怪退治屋だけど、里に持ち込まれる話の中には妖怪の仕業に見せかけた、人間の悪企みが幾つもあった。その中で一番多かったのが、この手の武家のお家争いになりそうな正室と側室とのゴタゴタだった。あれは里の誰だったか…、たしか産婆のお清婆の言葉。

( やれやれ、またそんな話かい。種さえ蒔かなきゃ、後で騒動の芽も吹かぬものじゃのに……。よいか、琥珀。お主も男じゃ。いつかお前も女の肌が恋しくなる時が来る。しかしじゃ、そんな時こそ相手をよくよく見定めるのじゃぞ )

 まだ俺が五・六歳の時の事。言われている内容はとても『大人』の話だと判っていたから、もう俺は顔が真っ赤で……。

( お、俺には関係ないよっっ!! )
( 今は、な。性悪な女にかかれば一生を棒に振る。下手をすれば、ほれ今話を持ち込まれたお屋敷のように、同じ父を持ちながら兄弟同士で殺しあわねば成らん。浅はかな事じゃ。生まれてくる子に親は選べぬのにのぅ )

 多分、お武家には良くあること。いや、身分高い男の家では当たり前の事だとも聞いた。

「悲しくて、遣る瀬無い事であったな。姫が嫁ぐ以前より若君と深い仲であるにも関わらず、側室に甘んじねばならぬその者らも遣る瀬無かろう。男が戦場で命を賭けるように、女はそんな男の目に見えぬ『心』を得んと、命を賭けて争うのだな」

 ぽつりと言葉を零した桔梗様のその声には、いつにない響きが篭っていたような気がした。どこか苦々しく、それでいて切なげに。

「……それも心得ております。寵を競って殿にご負担をお掛けするのは武門の女の恥でございます。殿の身を案じ、お家を絶やさぬよう子を産むのが大事な勤め。情は二の次、三の次でございます!」
「それでは、先ほどのお前の言葉と相反するが?」
「女同士であれば、まだお互い分かり合える事もございます。悔しい思いを感じても、それは自分が誰かに感じさせている思いかも知れませぬ。しかし ―――― 」

 その歯切れの悪い姫の言葉に、俺はぴんと来るものを感じた。これはもしや……。

「あのぅ、もしや姫の嫁がれた若殿は衆道を嗜まれる方なのでは……」

 ぴくんと姫の体が震え、その後怒気で少し膨らんだような気がした。

「それもまた良くある話ではないのか? 戦場に女は連れてゆけぬ故、陣屋での伽の相手を側衆に勤めさせるのは。男相手では家も絶えよう。今まで男で間に合っていたのが仇で、側に女を置いた事がなく女にひどく初心なだけかもしれぬぞ?」

 桔梗様はなんとかその姫の気持ちを宥めようと、言葉を尽くす。

「わたくしもそう思いました。男と女ならもとより争うのは無駄な事。女を知らぬ殿であれば、わたくしがこの身をもってお教えするまでの事、と。大殿や北の方様方もわたくしを応援してくださいますし。なのにそのつもりで色々誘いをかけても、するりするりと逃げてしまわれます」
「そ、そうか。それはまた、なんとも辛いものだな。つまりその若殿は女に触れる気が毛頭ないお方と言う事なのか」

 人器だから、血も涙も通ってないと以前寂しげに笑われた桔梗様の額に、うっすらと汗が浮いているように見えたのは俺の気のせいか?
 姫の様子はまだ話し足りない、だが何かひどく心にかかる事があって中々言い出せないように見える。口を開きかけてはまたつぐみ、拳に力を込めて己を律しようとしている。

「姫…、辛いなら全て話してしまわれるがよかろう。それが妄執となって姫が成仏出来ない理由になっているのだから」

 桔梗様に促され、姫は思い切ったように言葉を迸らせた。

「……恥ずかしさを忍んで、女のわたくしの方から若殿に寝所で迫ったのです。どうぞ、抱いてくださいましと。そうしたら殿、慌てて布団から飛び出し部屋の隅に逃げてしまわれて。もうわたくしも引くに引けなくて、さらににじり寄ったらこの世のものとも思われぬ悲鳴をあげ、ぶるぶる震えているのです」
「………………………………」
「その時殿がなんと言ったか、ええ一生忘れませんとも!! このわたくしに○○されると、殿の情人方の名を叫ばれたのです。これほどの屈辱を味合わされるなんて、わたくし悔しくて悔しくて ――― 」

 確かに世の武将の中には正室よりも寵愛した家臣を持つ者もいるが、この場合はちょっと……。

「あんまり悔しくて、わたくしそのまま屋敷を飛び出したのです。外は生憎の大雨でしたが、もうこんな屋敷には一刻も居たくなくて、厩から馬を引き出すとそのまま自分の実家に向かったのです。ただ途中で雷の音に驚いた馬が山道で足を滑らせ、崖下に落ちてしまったのですが」
「そして、そのお姿になってしまったと言われる訳か。道理で嫁がれた身にしては、いまだ純なままでおられると ―――― 」

 巫女様であることにも関連しているのだが、桔梗様の元に来る霊たちは殆どが未婚者ばかりだ。中には理不尽な理由でそうでなくなったと同時に死者になる者もいる。それだけこの世が乱れ荒んでいるからだろう。そんな場合は桔梗様が相手を厳しく断罪処罰される事で、その霊たちは恨みを忘れ昇天してゆく。ただこの場合は、どう対処したらいいのだろう…?

「すみません、横から口を挟む無礼をお許し下さい。えっとその若殿は、簡単に言うと『受け』なんですね? だから抱かれ方は知っていても抱き方は知らない、と。そんな若殿の性癖に家の大事を感じた舅姑が何が何でもと姫をあてがった、と言う訳ですね」

 ぐちゃぐちゃと回りくどく言っても埒が明かないので、ここはずばりと言い放つ。俺自身、こんな身になってからの色んな体験や実際に見聞きした事がここまで自分を変えるとは思いたくなかったけど、多かれ少なかれ『時』は人を変えてゆくものだ。

「本当に姫を馬鹿にした話だな。それでは姫、その姫を馬鹿にした若殿や舅連中をどうしてやりたい? 私の力で取り殺してやろうか? それとも死魂虫にその国中を襲わせようか?」

 美しい桔梗様のお顔に鬼気が滲む。その気に押され、憤慨していた姫の怒気が鎮まってきた。

「あ、いえ…。その、あの家の者にそこまでの恨みはないんです。若殿は確かにアレでしたが、義父上も義母上も良くして下さいましたし、家臣の方も私を軽んじたりはしていませんでした。むしろ、期待を込めた眼差しで見つめて下さっていたような…。だから、あの方たちを酷い目に逢わせて恨みを晴らそうと言う気は少しもないのです」

 『気』の色が変わった姫の様子に、桔梗様もご自分の気を抑えられる。

「ただ、自分でも持て余してしまったこの『気持ち』をどうしたら良いかと ―――― 」
「ふむ、今ではその『気持ち』が重くて成仏できぬと言うわけか……」

 差し出口だな、と思いつつも俺はもう一言口を差し挟む。

「あの、こう考えてみては……。 姫は女の身であったからこそ、そんな目に遭われた。ならば、来世では『男』として生まれて来たらどうでしょう? 若殿のような手合いの性癖は年を取ったとしてもそう変わるものではないそうです。姫が早く成仏されて転生を果たし、立派な若者となればその若殿も熱を上げる事でしょう。その時に、思いっ切り振ってやればいいんです」

 きっぱりはっきりそう言い切る。こーゆー事態すらこなせるようになった自分が少し怖いかもしれない。一瞬、目をぱちくりとした姫だけど、次にはにこやかな可愛らしい笑みが姫の美しい顔に浮かんでいた。

「そうね、それは楽しそう。女としては生き難い世の中だったけど、今度生まれ変わったら男として生き抜いてみる。その後で、もう一度今度は女として……。わたくしの魂はここで終わりではないのね」

 妄執が晴れ、姫の身を包んでいた陰の気が薄らいで行く。桔梗様が右の御手を高く天にかざし、光を呼ぶ。天上から降りてくる一筋の光が姫に触れるや否に、姫の姿はまばゆい光の珠と化し光の筋を螺旋を描きながら昇っていった。



「今夜の客は、ここまでのようだな」
「はい、もう一刻もすれば東の空が白らみましょう」

 ともに『人でない』主従、淡々と言葉を交わす。

「桔梗様、死魂は満ちておりますか?」
「ああ動くには足りているが、最近は死魂の落ち着きがなくてな。やはり原因はあれだろうな」
「仕方がありません、もともと桔梗様はお力のある巫女様。その力に触れ、死魂が浄化してゆくのは当然の成り行きでしょう」

 仕方がないといった表情を浮かべ、少し前のご自分を振り返られたのか自嘲気味に呟く桔梗様。

「この姿で目覚めた時は、もっと死魂達もこの体に居ついたものだが…。私の力とこの体の釣り合いがいつまで保てるか、怪しくなってきたな」
「桔梗様……」
「琥珀、その時はお前はお前自身の判断で、自分の居場所を見つけよ。まぁ、今のお前なら上手くやれると思うが」
「それは、どう言う意味ですか?」
「迷える霊すら、お前の言葉で成仏してゆくようになった。私でさえ良く判らぬ事をお前は良く知っている。世知に長けるとはこう言うことなんだな」
「……褒めてもらっているんですよね? 桔梗様」
「ああ、正直巫女という役目柄男女の深い仲など本当の所では判っていなかった。ましてや男同士の関係など、知識と知ってはいてもだからどうだとは言えない。お前のようにああもあっさり納得させるような弁は中々な。でも…、まさかお前、奈落のもとで……?」

 俺の少しむっとした口調を軽くいなす桔梗様。いなすどころか、桔梗様…、性格変わってきてませんか?

「まさか! 冗談は桔梗様らしくないですよ!! そりゃ、あいつのもとでロクでもない事させられましたが、どうやら俺はあいつの好みじゃないみたいで」
「ほぅ、あいつの好みまで熟知しているとは……。抜け目のない事だな」
「抜け目どころか、あんな誰が見ても判るような執心ぶりを見せ付けられれば、判らない方がおかしいですよ、桔梗様?」

 語尾の疑問符に少し力を込めて、そう言ってみる。

「その言葉は私に対してかな? 琥珀」
「それは桔梗様のお考えにお任せします。奈落に追い回されている桔梗様や殺生丸を見ていれば判る事です」
「可愛くない性格が好みと言う事か。男女見境のない奴だな」

 同意したくとも同意しにくいその台詞。いつの間に、こんな風に話せる様になったのだろう。奈落のもとを飛び出した時は、こんな風に心を寛がせる事が出来る日が来ようとは思わなかった。それがつかの間のことであっても。

「……私は、知らないことが余りにも多すぎたのだな。知らなくて判らなくて、大きな禍の種を蒔いてしまった」
「桔梗様……」
「もしこの私が『男』として生まれていれば、鬼蜘蛛などに懸想される事もなく、『奈落』がこの世に生まれる事もなかったかもしれぬな」
「……………………………」
「犬夜叉と出逢っても、ただすれ違うだけで…。いや、半妖と人間では闘うことにはなるかもしれぬが、少なくとも想いあい裏切られたと思って、自分の巫女の矢で愛しい者を封印するなどの愚行はするまいな」

 先ほどの口調と打って変わって沈んだ声。色々変わられて来た桔梗様でも、この事実、想いだけは変える事の出来ない事なのだろう。ふと、桔梗様がこの姿で留まっているのは、桔梗様のこの想いが昇華してない、晴れてないからなのではと俺は思った。

「桔梗様……」

 夜明け前の一番深い闇の中で、桔梗様が見つめている光はなんなのだろう。


  * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


 あれから ――――

 桔梗様は俺の身を守るために結界を張られ、ご自分は奈落との闘いに赴かれた。俺に、この欠片を守り抜けときつく言い置かれて。奈落の分身の白夜に見つかり、欠片を穢されそうになったところを殺生丸様に助けていただいた。

( ――― その時は、お前はお前自身の判断で自分の居場所を見つけよ )

 桔梗様の言葉。
 そして、今。

 誰よりも奈落を倒すに相応しいと俺が思えるお方、殺生丸様。

 その時より、俺は殺生丸様一行に同道させてもらっている。過酷な状況は変わらないが、それでも時折俺の心に触れてくる温かなもの。妖怪である殺生丸様や邪見様とりんの間にある、不思議な関係。

 それが、何かの『答え』のように思える事がある。

 奈落を倒す為、天生牙を鍛えようとされて冥界に踏み入られた殺生丸様。その時、冥界の底で見た光こそ、桔梗様が探している光なのかもしれないと思った。


 温かく清らかで、そして厳粛なあの光。
 そこに、『救い』がある ――――


 俺の肩口がぽぅと温かくなる。ふと手をやり、四魂の欠片の波動を感じる。夜の闇の中で、俺の視界の端に揺れる幽玄な光。微笑むようにふわりと光る。

「あっ……」

( 気付かれたか。全て浄化すると思ったが、やはり残ってしまったな )

 光がゆらりと揺れて、かすかな光の輪郭で桔梗様の姿を貌(かたち)づくる。

「桔梗様!!」

( お前が、この世とあの世の境の住人だからだろうか? 本来なら見えぬはずのこの姿が見えてしまうのだな )

「桔梗様…。それでは今でもそのお姿で、奈落を追われているのですか?」

( ……いや、これこの身は過ぎてしまった幻影のようなもの。せめて見守りたいと思った想いが残ったにすぎぬ )

「桔梗様……」

( お前には相応しい主のようだな。ただ、問題もありそうだが…… )

 ひそめた口調はどこか微笑も含んでいるように感じられた。桔梗様は、どこまでご存知なのだろう? それを、どうご覧になっているのだろう? 
 「人でないもの」に心迷ったその答えを、身をもって知っている桔梗様。今は、それすらも受け入れられておられるのだろうか?

( 相手が相手だけに、早まらせぬように。真っ直ぐな想いで、全てを受け入れるだけの覚悟があるのなら、後はなるように任せるのが自然かも知れぬが…… )

「桔梗様、それは全てご存知と言う事で……?」

 ほんの少し光の輪郭が強く瞬き、笑いながら肯定を意味した。

( 目付け役は他にもいるしな。お前一人、肩の荷を重くする事もなかろう )

 ああ、本当に軽やかになられたなと俺は思う。もう闘う事は出来ないけど、桔梗様の想いを受けた皆が動き始めた。それを見守る桔梗様。まだ桔梗様の残された力が、どこかで発現する事があるのかもしれない。

「あ〜、桔梗様も気付かれていたんですね」

( 婀娜なな割りに初心なことだな。そしていじらしい。あの者も、あの姿になって初めて自由になれからな )

 その意が伝わったのか、ふっと風がそよぎどこからともなく羽毛が夜の闇を舞う。

「俺も助けられました。りんと仲が良いみたいですよ」

( 不思議な娘だな、りんは )

 真闇で語らう、生なき者達の会話。
 それからしばらくして、俺の周りから二つの気配が消えた。

「ああ、そろそろそんな刻限なんだな」
 
 まだ、夜明け前には間があるが。
 いつか溢れる光の中で、目覚める新しい世界を夢みて今は眠りにつこう。
 きっとその日は来ると信じて。


【 二幕目 完 】
2007.9.28



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=あとがき=
夏の納涼シリーズ(笑)の二幕目、桔梗様と琥珀君の話です。オリキャラの姫も絡んでちょっとアレ気味(…^_^;)ですが、基本お笑いって事で。
この設定のまま、三幕目に繋がります。



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