【 ふたり 】





―――― 春のような躍動感も、夏のような華やかさもないけれど、今静かに深まる想いを見つめる、秋。

夜明けは遅くなり、この暖かな温もりを共有出来る時間が少し長くなった。
俺の腕の中で眠るお前は、今どんな夢を見ている?


―――― もしもふたりが すれ違うだけで
      出遭わなければ
      どんな未来を どんな人生を
      誰と生きたろう ――――


思いもしなかった。
こんな『時』を過ごす事が出来様とは。
初めての『安らぎ』。
何者にも替え難い『愛しさ』

かごめ、お前の笑顔に。

お前の優しさに。

温もりに ――――


だけど…。


―――― 確かなものは何もなく
        抱えた夢さえ遠い
        君を守り続けることも
        時々不安に変わる ――――


それでも、だからこそ!!


―――― たった一度だけの
        ふたりを生きるのなら
        どんな迷いも
        残らず抱いてゆこう ――――


「う、う〜ん、犬…夜叉」

お前はまだ、夢の中。
小さく身じろぎ、俺の名を呼ぶ。
触れ合った素肌に、微熱が生まれる。

お前をここに引きとめたい、と言う想い。
お前を『お前の世界』に返さなくては、と言う思い。

…まだ、答えは出ない。

俺の『知らない世界』の話をするお前。
お前の『大事なもの』がたくさんある世界。

こんなにも、お前が欲しいと思っていても…。


―――― 時が過ぎれば ときめきもいつか
        穏やかになる
        ふたりでいても 寂しく思える
        夜もあるだろう ――――


だけど、これだけはお前に誓う!!

―――― たとえ僅かな永遠でも
       たとえ忘れ去られても
       君と歩く今を未来を
       僕なら悔やみはしない ――――

かごめ。

…俺の、かごめ。


―――ー たった一人ずつの ふたりをただ寄せ合い
     君と歩こう 未来を重ねて

     たった一度だけの ふたりを生きるのなら
     どんな迷いさえも抱いて

     ONLY THE TWO OF US 明日を
     ふたりを生きるのなら
     君と歩こう 未来を重ねて

     君と… ふたり ――――

「犬夜叉」
「なんだ、目ぇ、覚めちまったのか」
「うん。ねぇ私の寝顔、ずっと見てたの?」
「うっ、ああ、まぁ…」

そう答えた瞬間、かごめの顔が赤くなる。
それにつられて俺も…。

「………せ」

俺の胸元で、小さくかごめが呟いた。

「かごめ?」
「…うん、なんだかそう思っちゃって。幸せだなって」
「かごめ…」

恥ずかしそうに耳まで真っ赤にして、俺の胸元にその顔を押し付ける。
そっと、その肩に手を回し力を込める。

この手の中の確かなもの。

そう、この一瞬がなにより確かなものならば、お前とふたりで造っていけるかもしれない。

俺達の未来 ――――


【完】  

STARDUST REVYE 『 艶 −TSUYA−』より −ふたり−




【 あとがき 】

10000HIT御礼のDLFのSSです。

ちょっと前に書いたのが犬君の死にネタだったので、今回は同じアーテ
ィストの唯一と言われているマリッジソングで、犬君の決意のようなも
のを書いてみました。完全な楽曲とのコラボですがよろしかったらどう
ぞお持ち帰りくださいませv

( よ〜し、甘々書くぞ!! と思いましたが、玉砕で〜すっっ(^^;
所詮、杜だとこんなものです。(滝汗) )




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