志村雅章土地家屋調査士事務所
〒298−0004 千葉県いすみ市大原1188番地1
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「登記」って何?
みなさんは、今まで、「登記」をしたことがあったり、「登記」という言葉を耳にしたことがありますか?一体「登記」って何を行い、「登記」をすると何が起きるのだろうか?ピンと来ない方もいらっしゃるのではないかと思います。私も正直な話中学生の頃に父が亡くなった際に「登記」というものに初めてお目にかかりましたが、土地や建物の名義が、母や兄や私の名前になることとだということを中学生なりに理解できたのですが、それ以外は、何をするのかわかりませんでした。ただ、「司法書士さんが、登記をしてくれたおかげで、少し気分的にも楽になった。」と当時母が安心していたのを鮮明に覚えています。
では、一体「登記」とは何をするのだろうかと言いますと要約しますと、各土地や建物がどの所在地番で宅地であるのか?田や畑であるのか面積はどのくらいの大きさであり、所有しているのは誰であり、所有する権利以外にも担保や借地の権利が設定されているかなど、法務局保管の不動産記録(登記記録)内容が、新たに発生した場合や変更が生じた場合に法務局というところに申請をすることにより証拠として記録することをいいます。
これは、今、「登記」のうちの「不動産登記」について説明したものでありますが、このほかにも会社の登記や商号の登記や後見人の登記や船舶等の登記などいろいろな「登記」があります。みなさんが一般的に触れる機会が最も多いのが、おそらく「不動産登記」である事かと思われます。会社の登記(商業登記)も一般的にお目にかかることもあることかと思いますが、ここでは、「不動産登記」について、説明させていただきます。「不動産登記」をすることにより、例えば、あなたの買った土地は、今回の売買行為によりあなたの所有するになったと第三者に主張することもできますし、仮にこの土地は私の所有だという者が現れても排斥することも可能です。ただ、時効取得という制度も民法上に規定がありますので、その土地の登記記録があなたの名義であるからといって土地を粗末にせずに、普段から自己の土地は、管理を怠らないことも大切であります。
登記をしないとどうなるの?
では、この「登記」をしないとどうなってしまうの?と思われる方もいらっしゃる事かと思います。「そんなものは、ほうっておけばいいじゃねえか!」とお考えの方もいらっしゃる事かと思います。
では、例えばの話ですが、Aさんという方が、ある土地を所有していたとします。Aさんは、高齢となり亡くなってしまいましたが、Aさんと同居もしくは実家近くに住む子供は、誰一人いなく、子供たちは、皆、都会の方へ出て行ってしまっており、Aさんの土地を管理する子供も一人もいなく、相続登記によりこの土地の名義を引き継ぐ者も誰もいませんでした。
そして約50年後、東京に住んでいたBさんは、会社を退職したのを契機に自分の先祖について調べてみると、千葉の小さな町から東京都の現在自分が住む場所に移り住んだことがわかり、さっそくその地へ足を運んでみると何とそこは、竹林になっていました。さっそく地元の法務局でその土地について調べてみました。登記事項証明書(旧登記簿謄本)を取り寄せ調べてみますと、ひいおじいさんであるAさんの名義となっている事がわかりました。
さっそく、東京の自宅に帰り近所の司法書士Cに自分の名義にできるか相談をしてみると、「あなたのお話と私が調べた結果でいく限りおそらく法定の相続権をもっていらっしゃる方があなた以外に約30人いらっしゃるので、皆で協議してあなた単独での所有権の移転で異議がないという実印付きの協議書その他を添付して中間省略で相続の登記を行うか、事情を知りつつも約20年その土地を管理して時効取得する以外にないのでは。」といわれました。つまり、この約30人の親戚を集めて認めてもらうか、もしくは時効取得という特殊な制度を使うしかないという回答でした。
では、しょうがないから誰かに売ることは、できますか?と質問すると「死んだAさんが他人に土地を売ることができますか?あくまでも御健在する子孫のどなたかに相続の登記をいったん行いそれからでないと売買による所有権移転の登記もできませんよ。」という回答でした。Bさんは、このとき、先祖のAの子供たちが相続登記をしておけば、いちいちこんなことに無駄な時間と経費を使わずに済んだのになと思いました。
このような事もあり得ます。
Kさんは、千葉の小さな町に住む電車通勤のサラリーマンであり土日となれば田んぼも耕すバリバリの働き者。人がいいのがたまにキズ。この休みもせっせせっせと耕していました。するととなりのLさんが「Kさん、お宅のとこと俺の田の境が少しいびつだからさ、ちょいとばっかりお宅のの田んぼの一部を譲ってくれないかな?金はあとで払うからさ!」と話を持ちかけると、人のいいKさんは、「ああいいよ!」と一言返事でオッケーしてしましました。
それから数年後、田の脇の道も狭いという話が周辺で持ち上がり、道路を少し拡張してKさんとLさんの田んぼも一部を道路用地として町に提供することになりました。
道路用地として町の名義とするには、田の土地の一部分である道路用地になる部分を分筆という登記をすることにより土地を分けけたうえで、その分けた部分につきKさんもしくはLさんから町への所有権移転の登記を行わなければなりません。また、この最初の登記となる分筆の登記を申請するためには、通常の場合、その土地と隣接する部分すべてについて境界の立会いを行って、隣接の者から同意をもらって立会の証明書を作成して、初めてすることができるのです。
そして、境界立会いを行うとなんとずるがしこいLは、「なんだこの公図は!ここの田んぼは昔からまっすぐだってうちのじいさんも言ってたな!」たまげたKさんは、「何を言うんだ!Lさん!。何年か前にまっすぐの方がお互いに使いやすいから一部譲ってくれないかな?金は後で払うから。って約束してくれたばかりじゃないか!。」このときKさんは、近所の土地家屋調査士に分筆の登記を頼んでおけばよかったと後悔の念にかられました。分筆の登記を済ませた後に農地法3条の許可申請を行政書士Mさんに頼み、司法書士Nさんに所有権移転登記を頼んでおけばこんな事は起こらなかったのでした。小さな町の小さな田んぼは違う意味で泥沼と化し、激しい口論は日が沈んでも終わることはなかったそうです。
結論からいきますと、登記をしないということは、必ずあなた本人やあなたの子孫に影響を及ぼしますので、登記をしといた方がよろしいかと思います。
登記をしないということは、人間の体に例えると風邪をひいているのに、薬も飲まずに喫煙を繰り返し肺炎になるようなものです。
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