■□ローンチソフト□■
Wiiと同時発売になった任天堂ソフトは4本。Wiiリモコンを使った新しい操作を楽しむ初心者向けソフトが多い中、最もゲームらしいゲームだったのがこちら。
もちろん、このゲームもWiiリモコンとヌンチャクを使った新しいタイプの操作感で、リモコンを振って剣で斬り、ヌンチャクのスティックレバーでリンクを動かす。
前作のゲームキューブ「風のタクト」はアニメ調だったが、今作ではまたリアル系に戻り、ビジュアル面も操作感覚もニンテンドウ64の「時のオカリナ」に近い。
しゃべる、ひらく、もつ、おす、などのアクションはその行動が取れる物の前に来ると、自動的に画面に文字が表示されてAボタンを押すと行動を起こす。
Zボタンを押せば盾を構えて、近くにいる敵の方を見て注目する。Zを押したままリンクを移動させても敵の方を向いたまま動けるので便利。また、アイテムを使う時も照準を合わせてくれる。
「時のオカリナ」をやっていれば違和感なくすんなりとプレイできるだろう。
■□操作感覚は?□■
新しいコントローラもさほど難しくは感じなかったし、慣れてしまえばとりわけ疲れるということもなかった。
リモコンにもスピーカーが付いているが、ここから剣を振る時の音だとか、ミドナが呼びかける声、仕掛けを解いた時のいつもの音が聞こえてくる。
リモコンを振れば適当に剣を振り、Z注目して近づいたら振るだけでガンガンやっつけてくれる。防御している敵には回り込まなきゃいけないが、それくらいの難易度はなくてはいけない。
当初、予測していたのは画面に表示されるポインターを下から上へと動かし、敵に照準を合わせて斬らなきゃいけないのかと思ったが、そんなことはない。リモコンを振るという動作に反応して剣を振っているので、斬るという動作は簡単だ。
これをやったあと「時のオカリナ」に戻ってみると特にわかるのだが、「トワイライトプリンセス」の方が難易度が低いと感じる。
制作していく上での経験が反映されているのか、ローンチソフトということでわざと難易度を下げたのかはわからないが、3Dのゲームでもやりやすい方だと思う。「時のオカリナ」よりもZ注目の反応もずっと良くて、すぐに敵の方へと向いてくれるのだ。
ダンジョンの仕掛けや入り組み具合、サブイベントの進め方やハートのかけらの入手方法なども「時のオカリナ」ほどではないので、じっくり自力でやるのがいい。
ブーメランや弓を使う時はリモコンを画面に向けてポインターで照準を合わせなくてはいけないが、Zボタンを押さえっぱなしでロックオンもできる。ただ、動く馬の上では多少難しい。
道具の使い方もいろいろだ。弓と爆弾を組み合わせて遠くの物も破壊できる。ブーメランだったら火がついている爆弾でも取り寄せられ、ブーメランをもう一度投げればブーメランに乗って爆弾が飛んでいき、遠方の壁を壊すことも可能だ。
また、爆弾を投げる時もZ注目しておけばそちらの方に投げつける。
アクションが苦手な人にはZ注目はとても便利な機能だ。
■□リンクが狼に□■
ハイラル王国の最南端に位置するトアル村。リンクはここの住人で、さらわれた子供たちを救い出すためにダンジョンへと向かう。
ハイラルは影の領域に浸食されつつあった。リンクは影の領域では狼の姿になってしまった。影の世界の住人ミドナにつれられ、ゼルダ姫の元を訪れる。元の姿に戻るには、光の精霊の力が必要だ。そのために光の滴を集め、ハイラルに光を取り戻す。
物語が進めば人間の姿と狼の姿を自由に変えられる。狼になると道具は一切使えないが、センスをとぎすまし、子供たちを捜すために匂いを追ったり、穴を掘ったり、亡霊を見ることもできる。
また、ミドナの力を借りて崖っぷちを移動したり、結界を張って広範囲の敵を攻撃したり、ポータルと呼ばれる空にあいた穴を利用してワープしたりといったことも可能だ。
■□奥義の修得□■
途中、穴のあいた石碑を見かけることがある。近づくとなにやら風の音が聞こえる。狼リンクになり音程通りにスティックを動かして遠吠えすれば、謎の狼と意思が疎通する。
そのあとマップに記された金色に光る狼に接触すると、この世を去ったかつての勇者から剣の奥義が教えてもらえる。ただ斬るだけじゃなく、居合い抜きやとどめ、盾を使って相手を押してひるませるなど、簡単な操作で出来る剣の技。
影の世界から来たミドナによると、影の世界では勇者は神獣の姿で現れるという言い伝えがあるらしい。普通の人間は影の領域の中では魂となってこの世をさまようのだが、リンクは狼の姿になるにとどまったのだ。
謎の剣士もどうやら、気高き獣の精神を持つ勇者だったらしい。亡霊のようで怖い人相だが、この剣のテクニックがあると楽になる。
今回オカリナはないが、人間リンクだと草笛を吹いてタカや馬を呼び寄せることが出来る。使われている音楽はこれまでのシリーズ作品と同じ物もいくつかある。
■□一騎打ち□■
ダンジョンの進め方などは基本的に変わっていない。アイテムがいくつか増え、謎解きもボスの倒し方もそれに応じたものになっている。
馬に乗ったままでも剣やアイテムが使え、攻撃できるが、やはり馬に乗って走っている分難しい。長い橋の上でチキンレースのような一騎打ちがあったり、馬車に乗った仲間を安全に誘導させていったり、そんなところが新しかった。
■□アイテムとミニゲーム□■
ダンジョン内で入手するアイテムは多くなり、あまり使わないようなアイテムも中にはあるが、どれを使えばいいのか、仕掛けを解くのは楽しい。
鉄球で氷の壁を破壊したり、フックショットで壁を登ったり、アイアンブーツで強風に耐えたり。3Dになるとつい見過ごしがちになるのだが、従来通りに遠く離れた場所から弓矢でスイッチを押したりと、様々。
ダンジョン内が広くなったので、簡単に抜け出せるアイテム「おばちゃん」が登場した。おばちゃんを使うとダンジョンから外へと出てセーブできる。もちろん中でもセーブできるのだが、電源切って再開する時は入り口からとなってしまうので、おばちゃんを使うとデータをロードした後、元の場所に戻ってこられるのだ。
ただし、おばちゃんはダンジョンクリアごとにいなくなるので、次のダンジョンで探し出さねばならない。
イベントとしてこなさなくてはならないミニゲームがいくつかあって、イベント後にチャレンジするとハートのかけらや消費アイテムの最大数を増やしたりしてくれる。
釣りは釣り竿を振るようにリモコンを前方へ振り、ヌンチャクでリールを巻く仕草をしたり、タカにつかまって空を飛び、フライトゲームのようなものがあったり、スノーボードレースのようなものがあったりと、ミニゲームを集めただけでも1つのゲームになりそうだ。
■□試練の洞窟□■
「時のオカリナ」にもクリアには関係ない修練場があったが、今回もある場所に試練の洞窟がある。クリアしなくてもチャレンジは可能。物語とは関係なく、難易度も高いので、クリア後に挑んでみるといいかもしれない。
ゼルダはダンジョンの最奥地にある物を集めて行くのがゲームの目的となるが、そのほかにもサブ的にいろんな物集めがある。
フィールドの特定の場所にいる金色に光る昆虫を集めている人や、魂を欲している人がいる。釣りは池などで出来るのだが、釣り日誌に釣った魚と大きさが書き込まれていくので、それをコンプリートするのもまた一興だろう。
クリアまで70時間程度を要したが、普通のRPGをやるよりも充実感がある。ゼルダにはレベルというものがないので当然レベル上げも必要なく、ひたすらに突き進んでいく。
適度な難易度で、やりやすいゲームではあるが、ハイラルを舞台にしたシリーズという束縛がそろそろ限界に来ていると感じた。聖地やトライフォースに関する争いごとが今回の軸ではなく、外伝的な要素を持つ物語となっている。
ただ、ラストシーンの切なさはシリーズ一かもしれない。
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